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最終更新日:2004年05月04日

「脱ダム」宣言に関する知事県議会答弁

(2月28日(水) 県政会代表質問に対する答弁から一部抜粋)


(治水の考え方)

長野県のみならず日本に於いては、ダムという選択肢の存在を前提に進められてまいりました。けれども先に出されました河川審議会中間答申案では、「都市水害の防御域は、人口、資産や社会経済活動の中枢管理機能が集積する地域であるため・・・・・・水害が起こることをあらかじめ想定した対応をとっておく必要がある」と述べています。詰まりは、ダムを含む従来の治水政策がすべての水害を回避し得るとは限らない、と河川行政の方針も大きく変化し始めております。浅川ダム計画に関する住民集会の場でも私どもから御説明申し上げましたように、浅川下流域の水害はダムのみにては防ぎきれず、最早、ウルトラCは存在し得ないのです。

先ほども議員からご紹介がありました「アメリカに於けるダム開発の時代は終わった」とアメリカ合衆国開墾局長を務めていたダニエル・ビアード氏が「国際灌漑排水会議」の場で発言したのは1994年です。そうして天竜川の佐久間ダムを始めとして世界中のダム建設に資金提供をしてきた世界銀行が「世界ダム委員会」を運営し、「大規模ダムの建設は河川流域の生態系に悪影響を及ぼす。……ダム建設はしばしば予算を超過し、調査対象とした81のダムの平均予算超過は56%である。多目的ダムでは特に顕著で……洪水調整ではかえって流域を洪水の危険にさらすこともあり、……10%のダムでは堆砂によって保水機能が50%以下に落ちている。気候変動で降水量が増加し、ダムの耐久性を見直す必要が生じたと同時に、洪水対策のあり方も抜本的な変更を迫られている」との最終報告書を発表したのは、昨年2000年の11月でした。

「脱ダム」宣言でも述べましたように、「数百億円を投じて建設されるコンクリートのダムは、看過し得ぬ負荷を地球環境へと与えてしまうのです」「縦しんば、河川改修費用がダム建設より多額になろうとも、100年、200年先の我々の子孫に残す資産としての河川・湖沼の価値を重視したい。長期的な視点に立てば、日本の背骨に位置し、数多の水源を擁する長野県に於いては出来うる限り、コンクリートのダムを造るべきではない」と私は考えます。

こうした世界的趨勢とも言える理念の下、「100年確率の降雨に対応した治水対策」を前提として、下諏訪ダムを建設する場合と建設しない場合に要する概算費用を比較して、御説明申し上げます。

利水分を除くダムによる治水は、202億円のダム建設費用、延長3.2kmに及ぶ河川改修費用としての18億円と合わせて約220億円。ダムの維持・管理経費が1年間に約1800万円見込まれております。

これに対して、ダムを造らず例えば拡幅のみによる河川改修で対応した場合、改修区間は8kmに及び、費用は約280億円。本来はダム湖に沈殿される筈の土砂の浚渫費用が1年間に、ダムの維持・管理経費と同額の約1800万円見込まれています。

従って、ダム計画に於ける一つのメルクマールとされております100年間というスパンで捉えますと、ダム建設の場合は約238億円、ダムに拠らない場合は約298億円となります。但し、下諏訪ダム ダム湖の計画堆砂は100年間で達すると見込んでおります。その後ダム湖に堆積する土砂の浚渫・除去作業に年間6000万円相当、100年間で60億円を要すると試算しています。

因みに、三峰川に位置する美和ダムは1959年に完成しましたが、1985年までに1850万立方メートルの土砂が流れ込み、それはダム計画時に100年間で溜まると想定した「計画堆砂容量」の3倍近い分量が、ダム完成後26年で溜まった事を意味します。

猶、拡幅のみによる河川改修を行う場合は、約5万平方メートルの用地買収、約200戸の家屋移転、橋梁の架け替え等、地域の皆さんの御理解と御協力を得る必要が生じます。但し、ダム建設を前提としても、併せてセットで拡幅改修すべき区間は、市街地に於いても今までの計画で1kmを優に超えると試算しています。又、ダムを造った場合の環境に与える負荷に関しては、日本の行政に於いては算出を試みる事無く、今日に至っております。

さらに計画にありましたダムは、砥川、東俣川流域一帯に降る雨の1/9、約1/10のコントロールを行うという計画のものでありました。ダム建設を見据えて長野県は計画を策定して参りましたが、代替案としては河川改修を基本と考えております。これには、嵩上げ案、掘り下げ案、遊水池案、放水路案、引堤案、土木工学上、幾つかの治水対策が存在し、かつ、これらを複合的に組み合わせた治水案の検討も必要です。この点に関しては今後、住民参加の下に合意形成されていくべきと考えます。

平成9年の河川法改正によって新しい河川整備計画の策定時に地域の意見を聴くことが定められ、住民参加型の河川行政へと変化しつつつあるからです。

例えば川幅を拡げる場合にあっても、両側均等ではなく、どちらか片側を拡げるという案も、議論のテーブルに載せるべきです。

更には、この場合に留意すべきは、百分の一という治水安全度なる数値であります。この下に計画立案する事は、長き歴史を有する河川工学において確立された手法で、敢えて異を唱えるものではありません。けれども、仮にそれが五十分の一でも河川法その他に抵触しないとするならば、百分の一という数値ありきではなく、その数値の持つ意味を住民の皆さんに判り易く知らしめ、御質問にもありましたように費用対効果の観点も勘案しながら、合意し得るレベルでの河川改修を行うべきと考えます。

なお、河川改修以外の第二、第三の対策として河川の基本であります堆積した土砂浚渫をつね日ごろから粗漏なく行うこと、また上流域の森林整備を積極的に行うことも肝要であります。

本治水案におきましても、土木部を主体に、関係部局の協力のもと、更なる技術的な検討、視点の付加を行ってまいります。

(2001年3月15日掲載)

「脱ダム」宣言

社会県民連合代表質問に対する答弁

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