2月20日 部長会議録
H16(2004).2.20 9:30〜10:30
第1特別会議室
出席者:知事、副知事、出納長、経営戦略局長、危機管理室長、企画局長、総務部長、社会部長、生活環境部長、商工部長、農政部長、林務部長、土木部長、住宅部長、公営企業管理者、企業局長、教育長、教育次長、代表監査委員、警察本部長、副出納長、産業活性化・雇用創出推進局長、経営戦略局参事(3名)、地方事務所長(10名)
欠席者:なし
【平成16年度当初予算案及び2月定例会提出条例案の概要について】
(田中康夫知事)
大変に長時間にわたって多くの皆さんに参加してもらった平成16年度の当初予算案と2月定例会提出の条例案に関してであります。ご存知のように、小泉内閣は、構造改革あるいは三位一体改革という言葉だけの偽名のもとに、国の努力がほとんどみられないまま、地方自治体に対しては交付税の急激な削減を行い、多くの都道府県知事もこのことに対して批判しています。しかしながら、私たちの信州はいち早く財政改革推進プログラムを策定し、議会においては厳しすぎるというお叱りを受けましたが、持続的な信州であるためにプログラムを設けた訳です。もしこのプログラムを実行していなければ、他の都道府県と同様に膨大な財源不足に陥っていた訳であります。そのような努力をしてもなお、今回大幅な交付税削減ということがありましたが、私たちはコモンズから始まる信州ルネッサンス革命あるいは福祉・医療、教育、環境と製造業、農林業、観光業という、従来から掲げてきたスリー・バイ・スリーというものをさらに充実するための予算であるということです。
おそらく他の自治体は、福祉や教育に当てられると私は考えている交付税の削減によってこうした分野が削られる一方、さしたる議論が国会の場においてないまま自律的な福祉や子育てというものとは私の考えでは異なると思われるような、昔の他律的なバラマキ的なものが与党のみのお手盛りによって行われている訳で、これは交付税を削減して福祉や教育を後戻りさせることであろうと思います。交付税が削減される中で逆にヒモ付き補助金というような形のもので、いくつかの都道府県の例外を除いては予算規模は縮減されている訳です。しかしながら、大規模な縮減をすることによる財政再建団体への転落あるいは心理的なマインドとしての都道府県民の不安を取り繕うために、おそらくはヒモ付き補助金的な旧来型の全国一律型の均衡ある国土というような、もはや個性化の時代においては異なるものを行おうとして全体として帳尻を合わせるような自治体が出てくるのではないかと思います。結果として失われた10年どころか滅亡の20年へと日本が進んでゆくことだろうと思います。こうした中において財政改革チームの多くのメンバーが知識や経験ということをも乗り越えて設けてくれたこと、農政部に象徴されるように従来発想を超えて真にゼロから作り直すということを行っていただいたり、ご努力をいただいたことには感謝をしたいと思います。
(志村勝也参事<財政改革担当>)
平成16年度当初予算案について資料に基づき説明
※平成16年度当初予算案の概要
http://www.pref.nagano.jp/keiei/zaiseit/yosan/yosan16.htm
(宮津雅則政策チームリーダー)
2月定例会提出条例案について資料に基づき説明
(田山重晴企画局長)
信州土地利用条例案及びまちづくり条例案について資料に基づき説明
※2月定例会提出条例案の概要
http://www.pref.nagano.jp/keiei/seisakut/jyourei/h1602.pdf
(田中康夫知事)
その他に今日あるのは、新規事業等直接提案は当初予算の中に反映させるようにしたということですね。各部の中の一部の人たちなのか少なからぬ人たちなのか、自分たちで一生懸命議論してきたものが査定の場で全否定されたり半否定されたり、ほぼ否定されたりしているのに、このような抜け道のようにして一職員やグループが出してきたものはするりと通ってしまうという意見を述べている人がいるらしいですが、それは自ら弁証法に戻って自分たちの出してきたものがどうであったか顧みるということです。こういったシステムを作った訳でありまして、各現地機関や様々な研究所、あるいは各部の中においても、そうした提案をしたり行動したりしないでこちらに出してくるというようなことが次年度以降に生じた場合に、それはよい意味できちんと皆の認識や監視の下で淘汰され、この制度がよりよくなっていくということでありまして、従来、私たちは芽出しと言って何も行動しないで調査費をつけているようなものが今年もたくさんありました。本当に芽出しをしたいのであれば「まず隗より始めよ」で体を動かすということであって、そうではない予算に関して私は厳しくしたということです。ただ、私の目も万全ではないので、まだそれをすり抜けているような部局の予算は膨大にあるということであり、そのことを私は先般、農政部の試みというものを皆さんに紹介しましたが、しかしながら農政部の担当者のもとに各部局からそのことを問い合わせにきたという例は皆無に近いということであります。それは、皆さんが各部員の自主性に任せるのではなく、ちょっと調査して来いということは最初においては皆さんが言ってもよいということです。次年度以降においては、そうではない皆さんのアプローチがあるべきだと思いますし、課長たる者、係長たる者、あるいは心ある部局員たる者は、そのようなものがJSN(職員向け情報サイト)に載っているなら個別に問い合わせるという行動がほとんど見られないというところに、この組織の構成員の甘えがあるということです。そうした中においてこのような制度ができ、多くの現地機関員から出てきたものがほとんどです。それはよい意味での、調査費をつけましょう、啓蒙啓発費をつけましょうというのではない、具体的な行動を伴う芽出しのものであって、それらを私たちは高く評価して育てるということです。そうしたシステムが機能していくことによって、この建物の中にいるような人たちが、あるいは地方事務所の建物にいて現地に近いながらも現場に出ようとしない人たちが変わっていくことを促しているということです。このようなシステムをもって、抜け道を作るのはいかがかなどという者は、自らが本当に至っていたのかいなかったのかということをきちんと見ていただきたいと思います。
部長会議の内容はJSNにも載っています。JSNで不特定多数に内容を見られて、それが部分的にネット上等で出ているということであれば、この部長会議の内容もJSNに載せた後、速やかに県のホームページにも載せるという形にしたいと思います。これは会議でありますので、皆さんとの雑談ではありません。そのような形になることで皆さんの発言が精神的に妨げられるというようなことをおっしゃる方は、それこそが部局長の立場にあるということがふさわしくないということであります。JSNに載せるようにしたのは、部長会議で述べた内容が必ずしも正確に課長会議で伝わっていない、課長が課員に伝えていないという中での、齟齬の不幸を防ぐためにJSNにほぼ即日に掲載されるようになっています。今後、ホームページ上にも載せるという形にしたいと思います。それによって発言を控えるというのは自由ですが、それは部局の責任者として皆さんに戻ってくるということです。
【県税の課税導入検討について】
(阿部守一副知事)
政策税制検討員会で私が委員長ということで各部局にもご協力いただきながら、超過課税などの検討を進めてきています。各部局からどんな財政需要があるかということを出していただいて整理している中で、考え得る使途ということでは森林整備やまちの整備が考えられ、超過課税の税目としては、広く県民の方にご負担いただくということでは県民税均等割というものが今の時点では有力な選択肢ではないかと思っています。しかしながら、県民の皆様方に直接負担をお願いする話でありますので、県だけで決めましたという話にはできませんので、手順を踏んで17年4月以降の導入を目指してさらに検討をしてまいりたいと思います。県議会からも超過課税についてはいろいろなご提案が出ていますので、他県でもいくつかの取組みが進められてきています。冒頭でも予算の関係で三位一体の改革が、地方自治体の側からすると現場の実態を踏まえていない取組みではないかと、私自身も思っていますが、自治体の側でも自主的な税源確保の努力が必要ではないかと思います。
もちろんこういった議論をすることによって、県民の方からは本当に県の行政改革や歳出の見直しは真剣に行われているのかという、さらに踏み込んだリアクションが当然出てくると思うが、県民の皆さんとの議論を通じて、行政のあり方というものもさらに厳しい目で県民の方にさらされることになってきますので、税の話だけではなくて行政のあり方を変えるべく取組んでいく必要があると思っています。
超過課税については、導入を決定している訳ではありませんので、今申し上げた趣旨の中で、さらに広く県民に意見募集する中で考えていきたいという中間の報告であります。
(田中康夫知事)
税収の使途は、森林、まち以外にも考えたりはする訳ですね。
(阿部守一副知事)
想定されるのはこの辺が主ではないかと考えています。もちろん今の時点で絞って、他のことは考慮しないということではありません。
(田中康夫知事)
交付税の縮減のところで冒頭に言い忘れましたが、有り体の言葉で「ピンチはチャンスだ」という言葉は浅薄すぎて使いたくありませんが、このような財政危機というのは全部の都道府県に現れていて、千葉県や神奈川県や大阪府などは私たちのような改革を行わないでどのように凌いでいくのか手腕が問われていると思いますが、私たちはそうした中で逆に厳しい財政においても他の都道府県と違う予算構造、予算内容にしていけるという極めてチャンスだということです。交付税が縮減される中で財政規模だけ確保しようとするような自治体がもし現れてくれば、その時この信州は他と違う社会をより早く創りやすいというアドバンテージを得ているということです。
先程のまちづくり条例については、まだ文面は変わるかもしれませんね。
(宮津雅則政策チームリーダー)
発表資料からは落とします。これについては議論の最中ですので、今後、景観審議会等の議論を経て発表するという段取りになっています。
(田中康夫知事)
今後、審議会、委員会等は事前に一ヶ月前には知事、副知事、出納長、経営戦略局長がきちんと把握する形にします。それに対して、よい意味でどのような議論をしてもらうのかということを、トップのリーダーがハンコを押して皆さんに指示をした上で、委員会なり審議会を迎えるという形を徹底したいと思います。あらゆるすべての小さな会合も含めて、そこで何を議論するつもりでいるのかということを記した上で、担当の経営戦略局員が毎週金曜日に私たちのもとに届けますので、皆さんからは木曜日の段階で聞く形になります。それに対して月曜日の段階で指示を出すという形にしていきますのでご協力をお願いしたいと思います。
私が一つ引っかかっているのは、「まちづくり」という言葉が、どうも議員や首長の方々が「まちづくり」に非常に期待を込めていると思うのです。国庫補助がつき、私たちがコモンズからの再生ということで求めているそれぞれの地域の個性化とは異なる、均衡ある国土形成というような多くの税金が投入され、多くの旧来型産業構造を温存するというようなことに結びつく「まちづくり」というイメージがどうもその言葉にあるような気がします。そうすると逆にまちづくりに関しては自治体の人たちが―――自治体の人というのはコモンズの構成員でありまして、首長や議員や職員を指す訳ではありませんが、そこに関して何らかの規制が加えられてしまうのであろうかという、大変に誤った認識を持たれてしまう懸念があります。今回私たちがしようとしているのは、正にコモンズの人たちの気持ちが真の地元要望であり、同時に地元を愛する人たちが持続的な信州であったり、多くの人が訪れたり移り住んだり戻り住んだりしてくれるというために、この条例を設けて地域を勇気づけていこうということであります。ここが必ずしも、的確には表現者や審議会の委員に伝わっていなかったのではないかという気がします。正にそれは、私たちが民主主義を民主主義たりうるために、民主主義の成果をもたらそうということが、この信州の美しく豊かな風景を育成するという条例案になる訳です。文面は少し変わると思いますし、景観審議会が23日にあるようであります。ただ「景観」という言葉や「まちづくり」という言葉があると、旧来の行政に慣れ親しんできた人たちが極度の反応を示し、私たちが結果としての良い信州を創る上で、必ずしも好ましいとは思えない形になるおそれがありますので、さらに議論するところであります。
先週の朝日新聞の「くらし」の欄に軽井沢におけるマスターアーキテクトの取組みが大きく取り上げられていました。佐藤雅義町長と私が議論をする中でマスターアーキテクトというものを任命していて、あの中でも述べていたと思いますが、マスターアーキテクトというのは何か巨大な権限を持った人ということではありません。真の地域要望を、コモンズの人たちの願いを実現していくための、皆をインボルブする役目の人であります。そこをきちんと理解していただく必要があろうと思っています。その点で、今までの閉ざされた形の景観の審議やまちづくりの審議や都市計画というものを変えていこうということです。
(瀬良和征教育長)
中期財政試算の中で、17年度におきましては赤字になりますが、実際に赤字になった場合には借入をする訳ですね。
(志村勝也参事<財政改革担当>)
このままでは何らかの資金調達をするということです。
(瀬良和征教育長)
例えば、災害が起こった場合には何十億というお金が必要になりますが、実際に赤字では可及的速やかに予算が組めません。17年度で既に赤字になってしまうと、財政的には実際には破綻しているということになりますが、17年度対策を考えたときに、例えば16年度でも財政健全化債を発行し、17年度も発行できる訳ですから、いろいろな形で赤字にしないように今後対応していくということですね。
(志村勝也参事<財政改革担当>)
17年度以降どうするのかということで、一つ前提としてあるのは、国の地方財政対策がどうなるのか、地方財政の見通しを国がどう見るのかによると思っています。現時点でどうなるのか示されていない以上、数字として示すのが難しいという実態です。いずれにしても非常に厳しいものですから、かなりの金額の財源不足になる可能性があると思います。それはどのくらいになるのかある程度見極めながら考えていく必要があると思っています。まずは財政改革推進プログラムにある基本的な考え方や取組みを着実に行い、あわせて国の方に今後どうなるのかを示してもらい、その上でどういった対応をするのかを考えていくことになります。
(瀬良和征教育長)
今回の地方財政対策をみても去年の12月に出てきている訳で、地方団体は他律的な形で財源的に依存せざるを得ない体制に置かされています。17年度対策においても、年末頃に出されても17年度はどうなるのかとなってしまい、国頼みということを離れて、県のレベルでどうできるのかということを、ある面から見れば極めてシビアな数字のもとで、企業が再生するのと同様に、大きな見直しを歳入に見合った形でどうやるかを考えないといけないと思います。
(志村勝也参事<財政改革担当>)
できるだけ早いタイミングでいろいろ考えていきたいと思っています。
(丸山勝司代表監査委員)
監査の立場から申し上げますが、実際には県が連結決算を採用したら実際には外郭団体にはものすごいものが隠れている訳です。監査委員は財政支援団体という所へ監査に行っているが非常に苦慮しています。というのは、従来型の不正なく予算が運用されているかということだけにフォーカスしていれば、適正意見が出せますが、適正に予算が運用されているかということを見た場合に、はっきり言って外郭団体の状況で、このまま従来どおりに適正意見を出していいのかと、今、監査委員の中で悩んでいます。おそらく今回からの監査意見書というものについては、意見書やどういう対応をお願いしたいという形のものを出していかざるを得ないであろうと考えております。その中でバブル期に土地を抱えてしまった外郭団体については、県が連結決算をみたいな形でやったら大変なものがあり、実際に財政はもう少し厳しいということをご理解いただいて、特に関係部署については外郭団体が抱えている問題にもう少し積極的に関与していただいて、健全化というものをもっと責任をもってやっていただきたいと思っています。まだ十分ではありませんが、監査委員には外郭団体へ行った時に、数字的にこうなっています、こういう問題があります、と言う意味で、資料を提供できることもありますので、利用を考えていただきたいと思います。
(阿部守一副知事)
外郭団体の見直しについて丸山代表監査委員からお話がありましたが、知事部局でも見直しをしている途中ではありますが、再三、各部局長がしっかり対応していただきたいとお願いしていますので、今のお話も含めて対応していただきたいと思います。専門委員会の報告も出て、それを最大限尊重してはいく訳ですが、存続となった団体でも県として踏み込んで見直すべき点がまったくない訳ではないと思っていますので、今一度各部局長には改めて認識して取り組んでいただければと思っています。
(高見沢賢司松本地方事務所長)
まちづくり条例は追加提案するということですか。
(田中康夫知事)
そうです。景観条例を廃止するという意味ではなくて、景観条例で補えなかったところをより良くしていくという意味です。高見沢さんから提案いただいたような、例えば、屋敷林のようなものであったりそうしたものが、正にコモンズの個々の構成員の願いというものの中で、よい意味で保全できたり育成できたりしていくという条例であります。国土交通省の責任ある立場の人も非常に好意的に注目していますし、飯田市と長野県で行われている川路地区のマスターアーキテクトの制度に関しても画期的なものだという見解を示してくれていますので、ぜひ皆さんにもご理解をいただいて従来のまちづくりや景観というような言葉を超えたものにしたいと思います。
(宮津雅則政策チームリーダー)
一点訂正ですが、追加提案ではなく初めから提案します。
(金井範夫長野地方事務所長)
こういったものを検討する上でお願いしたい点がありますが、長野市の建築審査会の委員になっていて、昨年の11月にあるスーパーが第二種の中高層住居地域のスーパーを大きくしたいという話があり、大きくするためには長野市が特に許可しない限り大きくできないものですから、建築審査会の審査でかかってきて審査をしました。その時に出てきた話は、建築審査会としては法の趣旨から公益上必要であること、良好な住環境を守るというところで審査をしました。建物自体は違法性がないが、明るさや騒音等が問題だということで審査をしましたが、建築基準法の建前からすると建物がちゃんとしているか、明るさや騒音がクリアできれば許可してよいという内容ですが、特にその時に私が問題にしましたのは、スーパーができて営業時間が深夜1時までなっていて、住宅地域の中で夜中まで営業しています。一部の住民からそれは困るということで反対がある訳ですが、個別の法律からいくとどうしても一定の基準があってOKが出てしまいます。11月にそういう提案があり、こういう審査の仕方に問題があると問題提起し、建物の使われ方自体もどういう使われ方をするか、今回ですとスーパーが夜中の1時までやるということは良好な住環境を守ることができないので、その部分については反対とし許可すべきでないと言ったが、結局、私の意見は通りませんでした。いくつかの個別法があり、個別法の中でややもすると捉えきれない問題がいくつかあると思います。今回の問題ですと、住宅の中に深夜1時まで営業するスーパーがあって、それを大きくすると、地域の人は周りにもコンビニがないのでその役目も果たせ、夜中に買い物もできて結構なことじゃないかと遠くの人は思うが、近くに住んでいる人にとっては困ります。また、一定の騒音が出続けている間はいいですが、断続的に音がしたりしなかったりというのは気になります。建物が造られた時にそれがどういう使われ方をするのかという部分が重要かと思いますが、それを個別法の中では捉えきれないけれども何とかできないかと思っています。まちづくり条例とは関係ないかもしれませんが、検討するときに全体として適当なのか適当でないのかということを何とかできないかと思いました。
(田中康夫知事)
とても大事な指摘だと思います。数値がクリアしているかどうかは大事なことですが、それをしていると葉を見て木すら見ない、森全体を見ないということになっていきます。こうした中で強権的なのでは決してなくて、個人が思っているとまどいや疑問や願いを何とか実現していく、反映していくために今回の新しい条例があると考えて準備をしてきています。それに対して今言ったように景観やまちづくりといった旧来の行政用語に何らかの一部の人たちのメリットが発生するという捉え方をする人たちは、従来の景観条例で十分ではないかと言っていると思います。
(中村芳久住宅部長)
私たちも景観条例を運用する中で一番悩みをもっていた訳です。景観ということについて10年前位に初めて条例ができて、定着してきましたが、金井さんが言われるように、そこで何をするかということも重要な要素を持っていると思いますが、たまたま景観で限ってしまうとそれもできなくなり、他の法令でもできないということで、まちづくり条例をお願いしてきました。まちの人たちが、景観ももちろんですが、行動そのものまでも含めたような、住民の人たちの自律的な取組みをも県の条例で吸い上げて対象にしていこうというものですから、確かに景観は重要な要素を持っていますが、もっと違ったものに目を転じてきたのが今回のまちづくり条例の主な部分であろうと思います。地域の人たちが願うことを県の条例の中で吸い上げて、かつては住民協定のようなものがあっても、ごり押ししてくる業者がいればお手上げで、地域の人が無力感を持っていたわけですが、そういったものを条例で取り上げていこうということです。私たちが従来悩んできたことがようやく解決する気がします。
(田中康夫知事)
この問題については、みなさんの多くも法の遵守と執行に携わる狭間で感じていることだと思います。この点は会議終了後に漠然とした考えでもいいですので担当者に伝えていただきたいと思います。
(松林憲治参事<広報・広聴・政策・行政システム改革担当>)
外郭団体に対して所管課に遠慮がある気がします。住宅供給公社の新聞報道もありましたが、住宅部が住宅供給公社の状況を把握していたのかは良く分かりません。少なくともあのような情報が住宅供給公社から流れたのであれば由々しき問題であり、住宅部において情報を収集したりコミュニケーションをとっていただく、それくらいの指導や所管課としての責務は必要と考えています。他の外郭団体についても遠慮せずに責務として所管課の立場を出していただきたいと感じています。
(田中康夫知事)
やはり今後こういう会議の場で、他者をおもんぱかるのではなく、おもんぱかることが結果として、県民に及ぼすマイナスがあるならば部長会議というものは内容が公開されるにしても、よい意味での侃侃諤諤の議論をしないといけないと思っています。
住宅供給公社に関しては、過日、信濃毎日新聞の一面に記事が載り、住宅供給公社への資金的な点に関して金融機関が渋ってきているというような記事でしたが、その前日に花岡勝明理事長が阿部副知事を訪れ、今回の外郭団体の見直しは性急であり、極めて健全な運営をしてきて、県民益に寄与してきて、いたずらに県民益を損ねるのではないかという不安をもたらすという申し入れがあった訳です。その段階で翌日の信濃毎日新聞に載っているような点は何らお話がない訳です。また、翌日になっても一切連絡もありません。それに関して住宅部が何らかの調査を行い報告したのかというと、私が知る限り報告はないし、結果として調査はなかろうということです。私たちは新聞の後追いをしたり先んじて動いたりする訳ではありませんが、それぞれの長が訪れ直訴をしながら、伝えたこととは異なる内容を伝えられてくるとなると、私たちは一体誰のために働いているのかということになります。外郭団体に関しては多くの人たちが阿部さんや松林さんに協力して行っていただかなくてはならないということを皆さんに強く求めます。
当初予算がほぼこうなったからといって、皆さんが検討してきた事業は1年間先延べしたとか廃案したとかいうことではありませんから、皆さんが自立的、自発的に努力をすれば、6月補正や先決予算ですら組むかもしれないということです。ですから常に日々皆さんは企画をし、行動をする、検証をするということですから、そのことを肝に命ずるように各課長、係長に伝えていただきたいと思います。
もう一点、しなの鉄道に関して、減損会計について当初慎重であった国が理解を示しています。当初予算にこの減損会計を実行するための事務的な費用は計上していませんが、私は早期に実行すべきであると考えています。これは何故かというと、鉄道の上下分離というものは英国で見られましたように、保全・保守が行われず多くの事故を生み出し、他方で上下分離をしてメリットがあった上の方は上場をして利益を得ていくということがイギリスでも行われて、それに対して批判が出ている訳です。こうした中で私は上下分離ではなく減損会計ということを終始一貫申し上げてきました。減損会計に関しては多くの交通の学者や経済の学者もアナリストも、しなの鉄道に導入することに期待をしていました。当初国の側はなかなか踏み出すことができない形でしたが、ようやく理解を得られています。上下分離と比べて減損会計をすると、固定資産が市町村から奪う形になりません。地元の市町村にとっては、むしろ自律的に一緒にしなの鉄道を支えていく上で大変なメリットであるということです。他方で長野県の側はランニングコストや故障費を負担する訳ではありません。きちんと債権の株式化をする訳ですから逆に減損会計をすることで経営責任が明確化になっていくということです。上下分離をすると経営責任が明確化していくというのは実は経営責任の回避やあいまいにつながっていくことだと思います。ただ、この点に関して議会の中にはご懸念をお持ちの方がいるようですが、私は市町村にきちんと理解をしていけるよう説明を、今までは国の動きを見据えていたところがありますので、そうした中で市町村に説明しないで当初予算で出すとご理解いただけない部分があろうかと思って出しませんが、理解をいただいて年度途中において減損会計を実行していくということであり、早ければ6月の補正であるということであります。そのことを皆さんにもご理解いただき、皆さんが県民や市町村長や県議会議員とお話になる時に、上下分離と減損会計のプラス・マイナスの表というものを早急に皆様のお手元にお配りしますから、しなの鉄道は大きな問題であり他の都道府県も今後直面してくることですから、皆様の大きな協力をいただきたいと思っています。
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