―中村先生が現在の活動を志したきっかけは何ですか。
「やっぱり一番のきっかけは地域が好きだからね。
リハビリテーションには、筋の働きといった機能的分野と、全人的な、つまり人間に対する全てのつながりがあるんだよ。後者の例でいうと、膝が痛い患者さんがいらっしゃってもさ、その方には膝が痛くなる前にも人生があって、その後ろにも人生があるよね。そういうところを支えているのは結局どこなのかなって調べてみるうちに、色々な所に顔を突っ込みたくなったんだ。そこでまた得るものがあり、ああ面白いなって。
理学療法士になってからは、人の人生を見ることで、こういう地域があるべきじゃないかとか、あったほうがいいなということを頭の中で思い浮かべると、じゃあまたこういう分野に広がってみようかと思うようになったんだ。」
―長野に活動の拠点を移されていますが、長野で活動される意義や利点、欠点は何ですか。
「長野が地域医療の先進地だと思ったからだね。長野は地元だから、地域医療や病院のことも知っていたし。もう一つは、健康増進分野を広めたかったからだね。
地元だから、住民のみなさまのできることも熟知している。地域の慣例や風習もよく分かる。それが活動するにあたっての一番のメリットだね。デメリットは、知り合いが多いということ。田舎のつながりは、ポジティブなつながりだけじゃなくて、親戚や縁者のつながりが多い。そういうものがストレスになることもあったよ。」
―活動の中で苦労したこと、またそれを乗り越えるために行なった事は何ですか。
「病院という単位に入っていて、病院外(地域)での活動というのは、病院の時間なのか、自分の時間なのかということをよく言われた。しかし、『患者さんは地域にもいるのだよ』『地域に帰るのだよ』ということを説明し、納得してもらうまでに時間がかかった。でも、僕の勤務していた病院はすべて理解があった。それで、活動を推進できたんだよ。
それから、僕は後身の育成を始めたんだ。理学療法士の育成。五年計画をいつも立てるようにしてたんだけど、その中で後身の育成をして協力者をあおぐということ、同じリズムの人間を育てるということをしているんだ。仕事は、一緒にやって楽しいほうがいいと思うんだよね。だからそのために人間関係を作るのが一番大変だった。僕の一生課題だね。だから本当に、人のつながりを大切にするということと、ふれあいってことが一番大事だと思っている。
僕は極論としては、コミュニティーの大切さという事を地域で話してるんだ。これからは長野県もコミュニティーがだんだん少なくなっていくよね。これは情報化社会になったことと、もう一つは、情報が世代間で共有できていないということが原因。おばあさん達から教わるべき情報が子供に入ってこないから、今の子たちは困ってるよ。僕は、コミュニティーの中で世代間交流が少なすぎると思うんだよ。いろんな世代が同一の場所にいて、楽しく納得してそれで触りあってという、そういうコミュニティーを大切にしようかなって思っているよ。だから、そういうコミュニティーをね、手を変えしなを変え、人に伝えたいと思うんだ。長野県らしさを。昔の長野県てこうじゃなかったのってさ。別に昔に戻そうっていうわけじゃないよ。温故知新っていうね。」
ー現在の活動を続けていく上で特に心がけていることは何ですか。
「やっぱり、続けられることだね。継続。継続のポイントは、納得する、笑う、ふれあうということが、必ず全てにいえること。それは理由があって、僕が講師として講演会に行ったって、地域の方々は納得できないと来ないんだ。講師で呼ばれたって、なんだこれっていううさんくさい顔してるからさ。講演会の帰りには全員が、ああそうだったのかって納得して帰れることが大切。もう一つは、ある程度笑えるということ。つまりは、その会場の人たちとの統一感。自分たちで新たなコミュニティーを作ろうと思えるような統一感が大切だと思っているよ。」
―今後さらに挑戦したいと考えている事は何ですか。
「やっぱり県内で NPO がどんどんできるべきだと思う。僕が作った NPO は、全県対応ではなく、御当地対応にしたいんだ。この当地のね。専門職はあまり全県を回らないほうがいいと思うんだよ。その土地にいる人たちが専門職に変わっていってほしい。スペシャリストは、呼んでくるものじゃなくて、育成するものだと思うから。だから、
NPO はあくまでもきっかけであると思う。今、単位数でいうと、各保健所単位くらいの数で
NPO があるんだ。そこで専門職を育成したい。若い子がその人達を目標に、その地域で活動したいと思うような人を。
これから町がどんどん合併になるよね。それで自主財源がなくなってくると切られるのは医療、保健、福祉の分野からだと思うんだ。そのときに、住民が一つ気づくべきなのは、自分のお金を使って、医療、保健、福祉の分野にどれだけお金をだしていくかってことなんだ。それをどこにだすかは、
NPO でもなんでもいいんだけど、そこで自分で自主活動を運営してくっていう力をつけなければならない。そのために、
NPO はきっかけとなると思うんだ。
長野の情報管理は、データーベースをそろえておけば、自分達の地域でやっているこの活動はどうだということを精査できる。情報は使われるより使う。長野にある情報の使い方って、絶対あると思うんだよな。それを
NPO を通してやりたいな。これがそうなんだっていうような、新しい地域を作りたい。」
―これからこのような活動に取り組もうと考える若い世代の方々に向けてメッセージをお願いします。
「皆さんに伝えたい事はですね、やっぱり人を好きになってほしいということ。もう一つは、面白いもの探しができるようになるってことだね。あいさつが、『もうかる?』じゃなくて、『なにか面白いことない?』となったら、なんか楽しくなるよね。」 |