プロフィール
神奈川県出身。山村での暮らし方として農林業を志向。平成 12 年、仲間とともに企業組合「山仕事創造舎」を設立。長野県林業士。大北林研グループ会長。県林業士会大北支部長。県林政協議会評議委員。県森林保全条例検討委員。
 活動内容

・自然を生かした有用広葉樹の育成を、「適地適作業」を合い言葉に、針広混交林の推進に取り組んでいます。

・森林者所有者に対し森林施業計画樹立業務を率先して行い、施業の実施に係る協定(森林整備実施協定)の受託施業者として北安曇地方事務所管内最初の締結者となっています。

・自ら、森林ボランティアとして、地域の森林林業行事(ふるさとの森づくり県民の集い、みどりの少年団交流集会等)に参加して、森林施業の普及を図るとともに、森林ボランティアを指導する先生として、大町市のグレースの森等で除・間伐作業の技術指導を行っています。

・林業に関心のある若い人達の集まりである大北林業研究グループの会長を務め、自ら技術向上に努めるとともに、林業分野以外の人達とも地元(八坂村)情報誌『やさかむら.ネット』を月 1 回発行( 400 部)し、八坂村全戸に無料配布することによって、地元のよさを再認識してもらう取組みを行っています。
森林浴とか、山菜採りとかができる山を取り戻したい

―香山さんは、最初から林業をやっていらしたわけではないんですね。以前は、国会議員の秘書だったとか・・・。

「ああ、それはね ( 笑 ) 。そういうこともやったことがある、ということだね。でも確かにもともと林業をやろうとしてたわけじゃなくて、学生時代に「アジア井戸端会議」って海外支援の NGO で活動をしてた。その関係でずっとフィリピンの田舎ばっかりと付き合ってて、なんとなく日本の都会にいるのも合わないなっていうかね。やっぱり田舎での暮らし方。日本の都会中心じゃなくて、やっぱり田舎。特に農林業とかを大事にしなくちゃいけないし、自分もそういうくらしをしたいものだなぁと。結婚した人がたまたま大町出身だったんで、こっちに来て、田舎ならではの仕事をしたかったけど、資本金がないから農業はできないし。とりあえず林業でもやってみるかな、と。そんな感じでちゃんと林業をやりたいと思ってたわけでもない。で、入った林業会社は林業の仕事をやってたんだけれども、伐採の技術を活かしてゴルフ場やスキー場をつくる。建設工事の前に木を切るっていうそういう仕事をやってた。でもさすがにゴルフ場をつくりに来たわけじゃないぞと思って(笑)、一年ぐらいでやめて大町の荒山さんという、専業林家の人のところに入った。それで本格的に林業の勉強を始めましたね。

 林業の世界っていうのはね、おもしろいことに木を植えて育てる仕事と、収穫する仕事がはっきり分かれてるんですよ。で、荒山さんのところは日本の林業家では珍しく、自分の山林を自分で経営して、植えて育てるところから収穫までを一貫してやるということを目指してる人だったので、林業のことが全部分かる。それと、荒山さんの山づくりの考えというのが、針葉樹の人工林一辺倒ではなくて、森林が本来持ってる多様性を活かしていこうというものだった。今ではむしろこの考え方が主流になってきたけれども、 10 年前はまったく異端児だったね。 」

―今林業をやる意味というのはどういうことなのでしょうか?

「ひとつは環境のことだね。単に緑のことだけじゃなくて、里山っていうのは農地のすぐ上にあるものだから。そこが土をつくってるところだから、里山をよくしていくことが、トータルに考えてその地域の環境をよくしていくことになる。里山を良くしていかないと農地はよくならない。それと今注目されているバイオマスの利用かな。ただ、それよりも現実問題として一番大きいのは山にはいって森林浴とか山菜採りとかができる山がなくなってしまったので、そういうものを取り戻したいという都会の人のニーズがかなりあるね。身勝手ともいえるけど、そうした人たちの一部が、森林ボランティアになったり林業家になったりしている。 」

―香山さんは森林ボランティアの仕事にもかかわってらっしゃいますよね。

「我々の考え方っていうのが、要するに山全体を捉えたいということ。木材生産の場としてだけ山を見るんじゃなくて、トータルにその地域の環境も考えて、木もあれば虫もいれば人もいるという。ボランティアの人たちもそういう視点だから、我々とあってるんでしょうね。森林整備全体ってものを考えると基本的にはプロの仕事。ただ、プロだけではできないものが絶対あるもんで、そこをボランティアが担ってくれる。木材生産の場としての森を考えるならボランティアはほとんど戦力にならない。だけど、人が楽しめる空間としての森をつくるのならボランティアがいなくちゃできない。仕事としての林業を考えると、作業を早く進めて赤字にならないように経営をやらなくちゃいけない。ところがボランティアの人たちは、あそこに遊歩道があればいいなとか考えるわけだ。そういう視点が入ってきたほうがプロとしても面白いしね。プロとボランティアが協力してやるっていうことが、これからの森づくりに必要だと思います。例えば、仕事としてやるには採算がとれない、めんどくさい仕事もある。電線のあるところの木を倒すときとかね。ワイヤーで電線を引っ張る仕掛けをつくらなくちゃいけないんで、そういうことをボランティアにやってもらって、伐採はプロがやると。そういう組み合わせを考えたりしながらね。実験的なことではあるけれど。で、来年はもうちょと本格的に、ボランティア団体が自治体から仕事を受注して、それを我々が一緒にやっていくってことを考えてます。 」

―これから林業を目指そうとする人に一言お願いします。

「林業に限らないと思うけど、これは仕事だぞ、と。これを仕事にして食っていくんだぞと。覚悟っていうかね。いろんなものがある中でこれを選んだわけじゃない、これでいくぞということかな。うちはみんなそういう気持ちできてる。これが自分の仕事だよって気持ちをもってやんないと。特に林業ってむちゃくちゃ危険な仕事なんで。危険度からいえば、他の仕事とは比較にならない。木一本切る瞬間も本当に真剣じゃないと命なくすかもしれないしね。単に給料もらってやってればいいやっていう感覚じゃできないんだわ。」