―「金崎さんちのお米」を売り出した経緯をおしえてください。
「最初は知人とか親戚関係かな。それで食べてみて美味しいと口コミで広まってね。パンフレットをもって配ったり、マスコミを使うとか消費宣伝はしなかった。直販(直接販売)をはじめたときは系統出荷 7 割、直販 3 割ぐらいだったんだけど、その割合がだんだん逆転してきて、今では 100 %直販。米っていうのは食管制度のもとでずっとやってきたから、農家が直販するのはいけなかった。だからうちでとれたお米がどこにいってどういう人が食べるか分からなかったわけだよね。でも、農家としては自分で作ったものを、誰が食べてどういう感想を持つのかすごく興味があったんだよね。だから食管制度が廃止されたときから、売り始めたから歴史はそんなに長くない。今は米に限らず、いろんな農産物について「顔がみえる」ということが言われるよね。やっぱり消費者の人も誰が、どんなとこで、どんあ方法でつくっているか気になってると思うし。直販だと注文のときの FAX や HP なんかで、お客さんの声が聞ける。系統出荷をしてた頃より、つくりがいがあるよ。ただ、そのかわり自分がつくったものに対しても責任が伴うようになったからね。系統出荷をしてたころは、どれだけ量をとるかってことを考えてたんで、安全とか味とかはあまり考えてなかった。やっぱりお米の場合は量をとると味が落ちてしまって。今では量よりも質のほうを重視するようになったね。 」
―質の高いお米をつくるためにどのようなことしてらっしゃるんですか。
「農薬の回数を減らすことだね。この辺一体は農薬が特にすくない地域なんだけど、うちではもっと、それ以下に減らしていこうってことを努力してる。予防処置じゃなくて雑草が生えたらとるっていうふうにして。種もみの消毒にしても、前は消毒剤をつかってたけど、お湯につける温湯殺菌ができる機械を導入した。そういうのは時間も手間もかかるんだけどね。消費者の人たちには、農薬がどのくらいまかれてるかとか全然分からない。でもわからないから農薬使うとかじゃなくて、自分達も消費者の人も安心して食べれるようなものをつくるっていう気構えをしっかりもたないとね。 」
―系統出荷のような方法には反対してらっしゃるということですか。
「いや、反対してるってわけじゃなくてさ。系統か直販かっていうのは農家の側からすれば自分達の経営がどうなりたつかって問題だし、どれがいけないということではない。消費者の人たちにしても、たとえば俺が大家族でとにかく食べていければいいってなったら、やっぱり普通にうってるお米を買うと思うんだよね。うちのやりかたが万人に受けるとは思ってないし。うちのお米を求めてるお客さんに一生懸命対応していければいいかな。お米にもいろんな種類があって、消費者の人が選んでいけばいいんだと思うよ。 」
―家族経営でやってらっしゃるわけですが、大変じゃないですか。
「家族経営だから難しいというのはないよ。むしろ家族だからうまくやれてるかな。家族だから、支えあいお互いを尊重したりで。ね。支えあうっていうのがもともとあるからさ、あいつ今日は具合悪いみたいだから、その分おれが頑張ろうとかさ。そこらへんは融通しあってできるよね。会社だったら、俺があいつの分働いたんだから、残業代くれよって話になるでしょ(笑)。仕事の話とかも、朝夕の食事の時間とかにできるしね。 」
―これからはどのような展開を考えてらっしゃいますか。
「農業の高齢化がすすんでいて、今やってる人が引退したらその農地は誰がうけもつのかっていう問題があってね。実際うちにも、来年からお願いしますっていう申込みがあるんだよね。ここらへんの地域のことを考えると、引き受けていかなくちゃいけないと思うんだけど、家族ぐるみだから限界があって。これ以上面積が増えたときに家族経営のままいくか法人化するかって問題がある。農業のいいところって自分のしたいときに仕事して、自分の休みたいときに休んでって、自分で自由に時間を使えるところかな。もちろんその日にこれはやらなくちゃいけないっていうこともあるんだけど、会社みたいに明日は風引いたら絶対だめっていうのはないから。気持ちに余裕がある。でも法人化すると、勤め人になっちゃうわけだから。それがいいとか悪いとかじゃなくてね。なんか農業の本当にいいところがなくなってしまうんじゃないかなって思うんだよね。この問題はもうじき決断しなくちゃいけないんだけど、その辺がどうなるかなぁ。」
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