プロフィール

1960 年
長野県軽井沢生まれ

1983 年
慶應義塾大学経済学部卒業
その後、コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了
日本航空開発(現JALホテルズ) 、シティバンク銀行

1991 年
現職

 活動内容

物質的に豊かになった日本に「精神的豊かさの実現」を担うリゾートを実現するため、 28 万坪という広大な敷地のもとで「自然と共にある」という基本理念を軸に、結婚という感動的な場面や自然に親しんでもらうネイチャーウォッチングといったイベントを提供している。
「エコリゾート経営のカリスマ」として「観光カリスマ」(国土交通省「観光カリスマ百選選定委員会」)に認定され、自然との共生をテーマにニッチ戦略をとり、新しい形のリゾート経営を確立している。

リゾート経営の達人が語る、これからの時代の人材とは?

―多彩な経歴をお持ちですね。星野リゾートの社長に就任するまえに、何度か転職なさっていますね。

「多彩というほどでもありませんよ(笑)。日本は人材の流動性が低い といわれていますが、 たぶんそれは戦後のことでしょう。会社に対する所属意識 が きわだってきたの も 、やはり戦後 ではない でしょうか?明治時代とかにはベンチャー企業がたくさん ありました 。やりたいこと が できる時代だった の でしょう。しかし、戦後、日本が経済大国として発展していく中で、所属意識 という ものが出てきた のでは ないでしょうか? ホテル業界は社員の定着率が低い。同じところで働 き続ける 人はあまりいません。全員が自分の会社を持ちたいと思っています。私はこれが健全な状態だと思いますよ。

人材の流動性が高い方が、社会が活発になると思います。例えば、フリーターですが、私はフリーターというのは、やりたいことを探している人達で、やる気がない人達だとは思っていません。自分の夢を実現する環境を探そうとしている人達 なの でしょう。既存の雇用形態とか社会の価値観が、彼らにあっていない。要するに多様な生活価値観を、会社が作れていないだけです。彼らが活発に活動することにより、新しい価値観が生まれたり、新しい仕事が生まれたりして、社会の活性化になると思いますよ。」

―フリーター歓迎?

「そう。やりたくもない仕事をやるよりも、やりたいことをやるがためにフリーターでいるというのはむしろ健全でしょう?今後、フリーター層はとても重要になってくると私は考えています。だから、社会はこのフリーター層に積極的に声をかけていくべきだと思います。」

―そのお話でいうと、最近は就職してから 3 年間で、やりたい仕事ではないと会社を辞めてしまう学生が 5 割を超えるといわれていますよね

「大学 4 年間で就職先を探さねばならないということが間違っていると思います。大学生が、外から会社を評価するのはすごく難しい。会社としても、 1 回や 2 回の面接で学生を評価することは難しい。そういった意味で、就職や採用なんてすごくアバウトなシステムだと思います。お互いよく知らないまま採用、就職するわけですから、離職してしまうのは当然なことでしょう。

『内』から評価するといった意味で、インターンシップ制度はとても有効な手段だと思います。一緒に働いてみないとわからないことがたくさんありますから。それに学生にしても「やりたい」とイメージしている仕事が、 本当に やりたい仕事かどうか判断することができますからね。ただ、今あるインターンシップではだめだと思います。 2 , 3 週間では、何もわかりません。もし、星野リゾートでインターンシップを受け入れるのなら、少なくとも半年は働いて いただく ことになると思います。そして、プロジェクトなどを任せ、責任を持つ立場についてもらう。そうすることによって、学生が自分に必要なことや自分の『やりたいこと』と『仕事』との関係をつかむことができると思います。ただ、大学生に半年も働いて いただく ことは無理なので、 星野リゾートでは現在 インターンシップを行っていません。

―なるほど。ちなみに星野リゾートさんはどんな学生を採用するのですか?

「価値観があっていることですね。星野リゾートでは、基本的に現場の人間が経営判断 を できる 組織に してあります。これは、現場の情報というのは現場の社員が一番持っているし、仕事のスピードも現場の社員のほうが速いからです。社員の経営判断の基準となるのが価値観です。社員一人一人が、私と同じ価値観を持っていれば、コミュニケーションが円滑になるし、私の判断とのブレが少なくてすむ。会社はスムーズに動く。だから価値観を共有することが 星野リゾートの 組織の基本となります。この価値観というのは会社のミッションといってもいい ですね。 」

―若い人たちも、ある意味地域の資源だと思いますが、この資源を活用すべく、地域は若者達に対し、どのように働きかけていくべきですか?

「特に何もすることはないと思います。それよりもっと若い、小中学生に目を向ける べきです。 小学生や中学生に将来、自分のやるべきこと 、 やりたいことが何かを、意識することができるような教育をするべき でしょう。 そんな教育をすることで社会が変わってくると 思います。 そうすれば、高校 や 大学で自分を深めたり見つめ直したりすることができる。今の学生にはそのプロセスがないから、高校や大学を卒業したあとフリーターをしながら、自分探しをしている。いままでの教育は、高度経済成長をささえる企業戦士を作るための ものでした 。しかし、時代は変わり、高度成長は終わりました。だから教育も変わるべきだと思います。」