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最終更新日:2006年04月04日

 

新規採用職員任用式における知事訓示
(2006年4月3日)

部課長級辞令交付知事あいさつ(長野地区を除く現地機関)
部課長級辞令交付知事あいさつ(長野地区現地機関及び本庁舎)


  今日、皆さんをですね、この南北に220キロもある、そして、全国で4番目に広い県です。そして、脱ダム宣言の中でも謳っているように、日本列島の背骨に位置していて、そして、数多の水源を擁している、私たちの県から天竜川も、木曽川も、あるいは姫川も、そして、信濃川になる、犀川も、千曲川も流れ出ているんですね。写真  新規採用職員と固く握手1番最南端に、根羽村という村がありますけれども、ここは林業で知られる村で、小木曽亮弌さんというたいへんに意欲的な村長が、ネヴァーギブアップだと言って、根羽村だと言って、他の市町村と合併せずに、自律的に行ってますけど、ここから流れているのは、昔、皆さんが、小学校の社会科の授業で習ったかな、矢作川というですね、いわゆる愛知県の農業用水にもなっていく川であったりします。まさに、本県は、日本列島の、その真ん中にあってですね、多くの他の都道府県にも、川の水だけでなく、あるいは、県土の8割の森林を、占めているそこから出されるですね、新鮮な空気をはじめとして、多くの貢献をしている場所です。その場所で、更に皆さんが、先ほど、徳増和佳乃さんが宣誓されたように、人々のための公僕として働いてくださる、その一員として迎え入れたことをたいへん嬉しく思っています。
 公僕って言いますけどね、何か、公僕って言葉、何か堅苦しいなと、皆さん思うかもしれません。最近、私たちの職員の人に、繰り返し述べているのは、私という字がありますよね。私、つまり、日本は、みんな集団主義になったりするので、個人をちゃんと持たなきゃいけないよ。自分の考えを持たなきゃいけないよって、皆さんも教わったと思います。これは、とても大事なことです。そのことを私は、否定しませんし、むしろ、そうした思いを皆がもっと抱いてほしいと思って仕事をしていますが、この私という字はですね、中国で言うと、私という字の左側、ノ木偏といいますよね、これを中国では、「カ」と読んで、カ穀類と言うんですね。ですから、小麦であったり、そうした穀物のことをノ木偏は示しているんです。じゃあ、右側はムっていう字ですよね。あれは、どういう字の意味かというと、「ム」なんで、こうやって肘鉄を食らわすという意味なんですね。そうすると、昔は、穀物は、1番、人間が生きていく上で、大切なものですから、その自分の持ってる、自分が作った穀物は他の人にはあげないよ、ということで、肘鉄を食らわすという意味だったんだそうです。でも、だからと言って、私という気持ちを持つことは、何か自分の意見だけ言って、いがみ合うことなのでは、決してないんですね。
 皆さんは、県の職員になることを目指されて、そして、今日、私たちの新たな仲間となったんですけれども、世間では、よく、官から民だなんて言ってますね、それだけ聞いてますと、官は、悪者だったり、古めかしいものだったりして、民はとっても、なんか斬新なことをやったり、とても社会に貢献してくれるかのように思われてます。でも、これは、大きな間違いなんですね。というのは、よく、官対民の攻防戦だなんて言いますけども、皆さんは、世間的な意味で言うと、いわゆる官、官僚の官という字ですね、病院勤務の人も公務員ですから、官の一員になったんです。皆さんが、今後、ご自分のお家を建てたり、マンションを買ったりすれば、きっとローンを組みます。すると官という何か守られたところにいる人達というのも、実は一人一人はローンを抱えている、か弱い個人なんですよね。ですから官対民なのではなくて、そしていま皆さんの先輩で例えば民と呼ばれるところに行った人の中には、もしかすると何かコンピュータの上で為替の金額をちょこちょこちょこと叩いていると皆さんの初任給の何十倍もの給料をもらっている、なんて豪語している皆さんの先輩がいるかもしれません。この人たちは我々は民だと言っているんですね。でも、もしその人が民だといいながら「私」という言葉の肘鉄だけ食らわせているような生活をしていたら、それこそ民ではなくミーイズムになってしまうわけですね。ですからとっても大事なことは官とか民ではなくて、皆さんが自分というものをきちんと持ったうえで、おおやけ「公」という意識を持つことだと思います。
 先ほど公僕という言葉の「公」もですね、「僕」はですね皆さんが一生懸命働く人ということですね。でも、「公」というのは何かというと、これは行政とか官僚とかそういう組織じゃありません。はたまた私達の県は農業であったり林業であったり商業であったり、あるいは福祉の分野にも様々な税金から補助金をお渡しをしたり支援をしたりしております。でも、こういう私達が税金から予算を組んでその予算をお渡ししたりする中で付き合っている人だけが、私達が尽くすべき「公」ではありません。「公」というのはまさに下にムという字が書いてありますよね。だから肘鉄食らわせちゃうような気持ちを持っている人を、上にあるのは人です。それは人に肘鉄食らわせちゃうような人を包み隠しちゃってみんなに見せないようにしようということなのではなくて、時として「家のお米は家のもの」て言ってしまうような人の気持ちを開いていこうということです。ですから「公」というのは決して皆さんがお仕事をするときに直接お付き合いをするような業界の方であったり団体の方ではなくて、その人達もが一人一人の個人であるように220万人の県民、あるいはもっと言えば本県に魅力を感じて旅行に来てくださったり、あるいは本県に週末だけ住んでくださったり、あるいは更には本県に老後暮らしてくださるような方々、そうしたすべての信州・長野県に魅力を感じてくださる方々のために働くことが公僕の意識です。
 おそらく皆さんは長野県の職員になってよかったですね、ときっと親戚とか家族に言われたと思います。それと同時に皆さんは、もうおまえも学生ではないんだから大人の分別をちゃんと持って、失敗のないように、粗相のないようにするんだよ、ってなことも言われたかもしれません。でもそうした気持ちはあえて申し上げると一旦頭の中から消し去ってください。大人の分別って一体何でしょう。それは人に迷惑をかけるようなことは良くないことです。どんなに自分が急いでいても、歩いていらっしゃる方、それは例えば歩道を4人横になって歩いている人がいたら、何で4人も横になって歩いてるのよって、後ろから通れないよと思うかもしれないけれど、たぶん皆さんはそこで声をかけて、すみませんちょっと通してください、って言うと思うんですよね。そうではなくて4人並んでいるほうが悪いんだからと言って、そこをそのまま押し切ろうとすれば、もしかしたらその人達は転んじゃうかもしれませんね。そういう分別がない人に皆さんになってくださいと言っているんじゃありません。ただ、往々にして大人の分別というのはですね、さっき言ったように失敗をしないようにしよう、トラブルを起こさないようにしよう、他の人とは違うことをしないようにしよう、今までの人がやってきたとおりのことをしよう、というような私からすると後ろ向きの考え方が往々にして大人の分別というものであったりします。
 僕はどういうことを言っているかというと、ぜひ皆さんはこれから仕事をするときに、無論皆さんにいろいろなお仕事を教えてくれる上司や同僚がいます。何年か経てば後輩も入ってくると思います。で、そのときにその人達の意見を聞かないということではなくて、その人とだけ、和気藹々と仲良しな仕事をするのではなくて、常に皆さんが私は一人の県民として、あるいは一人の人間として、どういう社会がいいのかな、あるいはどういうところはもっと直していったらいいのかなという気持ちを決して忘れないようにしてください。本当の意味での大人の分別というのは、皆さんが今まで学んできた知識や経験、そしてこれから更に得ていく知識や経験、それをですね、より今不具合がある社会を少しでも、そして確実に変えていくために使う、ということが真の大人の分別です。今日いくつかの資料をお渡ししましたけれども、行政という場所はですね、往々にしてこれは私たちだけではなくて、例えば警察というような組織もそうかもしれません、学校の先生もそうかもしれません、こんなことはしちゃいけませんよとかですね、あるいは、こうしなさいということをよく言うんですよね。そうすると皆さんからすると、うーんそうかもしれないけれど、なんだかうざいなと思うかもしれません。先ほど、鎌田泰太郎さんが危機管理局長だと言いました、鎌田さんの部署には消防学校というのがあって、ここには県下の消防団、消防隊員の人達がですね、訓練に訪れます。長野市の郊外にあります。消防あるいは白い救急車に乗っている救急隊員の人達、この人達はもちろん法律を破ろうしとして動いているわけではありません。もちろん、私たちの法治国家の中で生きてます。でも、とても大事なことは、消防や救急の人は、これをしてくださいとか、あるいは前例がないのでこれはできませんとかということを言わない人達なんですよね。つまり様々なルールがあっても、その中で人を助けるためにどんなことをするのかということです。
 今からかれこれ11年前に阪神淡路大震災というのがありました。その時に私は当時38歳だったんですけども、半年ほど50ccのバイクを大阪で買い求め避難所だったりテント村だったり或いは仮設住宅の人達の所を訪れるいわゆるボランティアをしてました。そこで皆さんが言ったのは、行政の人というのは、例えば最初の日はみんな小学校のグランドに来ました。学校が避難場所というけど、地震が多発している場所であっても学校の先生が避難所として采配をふるう訓練を受けてませんね。知識もないですね。でもそうした地域の人達が地域の人のために各クラスの扉を開けて、電気も通らないし、水も流れてこないので、皆さんを新しく迎える式にはふさわしくないといわれるかもしれませんが、例えば、トイレが動かないわけなんですね。ですから、だれともなくグランドに穴を掘ってそこに汚物を入れるというようなことを、普段は少しおめかしをしている女性の方を含めてみんな行ったんですね。そこは何もマニュアルもないし、誰かが指図したわけではありません。一人一人が自分の勘を働かせて自分のすべきことは何かなとして動いたのです。
 ところが、そのようにして行っていたのですけれども、電話がつながるようになると、30階建の役場からこれはこういうふうにしてくださいといわれるようになっちゃう。あるいは、いままで自分の才覚で、自分勝手でなくみんなと相談しながら、走りつづけていた人達が、みんないちいち30階建ての市役所に問い合わせをしてから考えるようになっていっちゃった。するといつの間にか、これは前例がないから出来ません。或いはみんな一律にやるためには、これはしないでくださいといった話しになっていっちゃいます。でも、消防の人達や救急の人達はどういうことをしたかというと、例えば長田区というここはペッシャンコになった所は少なかったです。でも、ご主人はすぐに抜け出して、朝5時46分ですから奥さんは料理の準備をしていて火を消すほんの数秒の違いで奥さんは家から出られなくなってしまった。家が傾いてしまった。壁もはがれてしまったので、手を伸ばせば奥さんにはみんなが手を伸ばせるんですけれど木の家の梁がこんなになっているから助け出せない。仮に電動ノコギリが動いたとしても、1本木を切ると家が壊れちゃうかもしれないから、助け出せないわけですね。その中で大丈夫、今助けるからねと言っているうちに風向きが変わってそして火が押し寄せてくる。消防団の人も消防隊員の人も地域の人も川から水を運ぼうと思っても、冬で川に水があまり無かったり、或いは消火栓が地下に埋められてしまっているので消火栓から水が出せない。そうしたときに外にいたご主人が泣き叫ぶ中で、逆に奥さんが自分のお子さんや、或いは老人ホームに入っているおばあちゃんのことを面倒見てねと言って、ご主人はみんなに引きずられて去っていって、奥さんは火の中にのまれてしまう。でもそれは皆が法律の制約とかマニュアルとか誰かから指示をもらうのではなく、なんとか自分たちが自分たちの隣人のために尽くそうと思ってそれでも果たせなかった共通の無念さです。
 私は、今救急の人達の例を長々と挙げたのは、まさに前例がないからしないじゃなくて、一人の人間として人のために何をしたらいいのかという体温を皆さんには常に持ってほしいということです。それは私がよく述べることで、智性、勘性、温性と言います。知識と経験は実は同じなんですね。皆さんも何か机の上で学んだ知識の方が、汗を流して覚える経験よりも崇高だと学校の先生は昔言っていたかもしれませんが、そんなことありません。例えば佐賀県の唐津に住んでいる柿右衛門というような人間国宝のような人のところで陶芸を習うという人は最初に知識を教わります、つまり上薬はこういう原料ですよ、こういうふうに塗るんですよと習います。知識もらったからといってすぐにうまくいくかというとそんなことありませんね。ろくろをこういうふうに回すんですよといっても、経験しながら失敗してお尻をピンピンと叩かれながら知識と経験を得て段々一人前になっていきます。じゃあ勘性というのは何かというと、感覚ではなく勘所です。良い意味で知識や経験を自分のものとした上で、智性は知識の知の下に日にちの日を書く智子なんかの智ですよね、勘所があるかどうかです。
 例えば師匠を乗り越えるのはここでもう1回上薬を塗ろうとか、壷を作ったことがないからよく分かりませんが、或いはここの部分に持ちやすいように窪みを作ろうとかこれは理屈じゃないんですね。全然知識が無かったり、全然経験が無くてはできませんが、皆さんが知識や経験を持っている中で、ひらめくことがあるはずです。そして師匠を乗り越えられたら次には人間の体温を持つ必要があります。これを体温の温、温性といいます。つまり、新しく入ってくる弟子の人に自分が最初に戸惑ったときと同じ目線に立って教えて差し上げるということですよね。これはよく病院の看護師の人、この後国家試験に受かって5月あるいは6月に新たに皆さんの仲間になる人達もいますが、例えば比較的患者さんの目線に立って考える病院、とりわけ海外の病院は、病院のベッドの高さまで毎朝下りてお医者さんが回診をします。衛生部長の高山一郎さんも、副知事の澤田祐介さんも元々は救命救急の外科医だった人ですけれども、こうやって患者さんの所の目線まで降りて「こんにちはブラウンさん、今日の具合はどうですか」と言われると。皆さんもお姉さんのお子さんにおもちゃとかをあげるときに、上からあげたのではおもちゃが突如上から来ると子供が怯えちゃうかもしれませんね。同じ目線でおもちゃをあげると、子供はとっても喜ぶかもしれません。日本の病院は往々にして回診する時にこうやって上の方から「どうですか、山田さん」と具合を聞くので、すごく痛いと言えますけれども、ほんのちょっぴりだけ痛い所があったりすると、今日の具合はちょっと痛いんだと本当は言いたいのに「どう、大丈夫」と言われると「はい、大丈夫です」と言っちゃったりするんですね。ですから皆さんは、私達の県内にはとてもお年を召した人もいますし、あるいは小さなお子さんもいますし、それぞれの人の目線に立つということが必要です。
 先程、鹿田剛さんが今日は車椅子でいらっしゃったので私は前に出ましたけれども、でもあんまり上出来じゃなかったなあと思うのは、車椅子のところまできちんと屈まないでたぶん少し体を前のめりにしただけで鹿田さんに渡しちゃったと思うんですね。なかなか思っていても体が即座に動くと言うことは無いかもしれません。でも皆さんが例えばそれぞれの医療機関で働くとき、ベッドに寝ている人も、私具合が悪いんだから相手が目線を落としてくれて当然って思っていたのでは自分はなかなか向上できないんですね。
 今日は少し気分が良いから、具合が良いから、ベッドの上に起きあがって看護師の人とお話が出来るようにしよう、そしてそれは起き上がらなくても精神的な意味で自分も相手にしてもらって当然と思っているのではなくて、自分も相手に早く近づけるように相手と同じ目線でしゃべれるようにありたいなという気持ちを患者の方も持ってくださるということがとても大事です。その時に初めて、智性や勘性に合わせて温性をお互いが持てるようになると思います。ある意味では皆さんが行うことは、常々述べているように総合愛情産業です。県民への愛情を、あるいは総合奉仕産業、県民に奉仕する仕事です。それはあまり数字では明確には出ないかもしれませんが、でもぜひ皆さんが相手の目線に立って自分が公務員だからではなく一人の県民として、きっと相手はこういう事を望んでるな、今の相手の段階にはこうしたお話の仕方をしてあげれば良いなっていうことを感じて、果たせるかな相手からありがとうと言われたときに、それはきっと皆さんのお給料には換算できない、ああ人のために尽くしていて良かったなと思える瞬間だと思います。公務員というのはまさにそういう意味で一握りの人達のためにあるのではなく、まさに公というのが私というですね、強い意志を持ちながらも、強い希望を持ちながらも、時としてその自分だけを見てしまいがちな人たちの心をより広く開いて差しあげる存在、それが公務員という仕事なんだと思います。
 長々と話しましたけれども、でもぜひとも失敗を恐れないでください。そして皆さんが、あれ、どうしてこんな事するのかな、もっとこうすれば良いのにとか、もし私がそのおばあちゃんの立場だったらこうしてもらった方が良いのになと思う事があったら、皆さんの同僚や先輩にも決して遠慮することなく述べてください。もちろん述べっぱなしなのではなくて、だからこういうことしましょうよということをみんなに提案をしていくそうした人であっていただきたいと思います。もし仕事に悩みがあったりした時には、戸惑いがあった時には遠慮無くですね、私をはじめとするここに座っている人達、皆さんからすると少し遠い存在って思うかもしれませんけれども、私たちの県はこの数年間で、県民の誰もが、長野県をもっとこうしたら良いのになとか、これはちょっとこうだよねって自由に言えるようになりました。直接私をはじめとする職員にも、そうした言葉をかけてくだされるような開かれた形になってきています。ぜひ皆さんはその一員として、私達のこの信州・長野県がですね、多くの人にとって、より魅力のある場所、より人間的な場所となるために一緒に努めていただきたいと思います。今日、改めて皆さんをお迎えしたことを心から私達の喜びとして感謝を申し上げて、そしてともに本県民のために努力をしていく事を誓い合う場所でありたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

部課長級辞令交付知事あいさつ(長野地区を除く現地機関)
部課長級辞令交付知事あいさつ(長野地区現地機関及び本庁舎)

 
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