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11月8日(金)
県民文化会館
御遺族各位の御参列の下、長野県戦没者追悼式を本日、挙行するに当たり、県民を代表して式辞を申し述べます。
数多の尊き命が失われた先の大戦から、早57年の歳月が過ぎ去りました。筆舌に尽くし難き状況下で亡くなられた、5万5千名をも超える長野県関係戦没者の方々の御冥福を、心からお祈り申し上げます。
併せて、最愛の配偶者や御家族を突如、異境の地で失われたにも拘らず、今日まで社会の一員として御尽力下さった御遺族の皆様方に、改めて敬意と感謝を表します。
私は時折、一兵卒として24歳の短き生涯を南方のルソン島で終えた竹内浩三氏の、『日本が見えない』と題する詩歌を紐解く事があります。「がらがらどんどんと事務と常識が流れ 故国は発展にいそがしかった」と鋭くも戦後を見通した彼の、「この空気 この音 オレは日本に帰ってきた」の一文で始まる件の詩は、「日本よ オレの日本よ オレにはお前が見えない 一体オレは本当に日本に帰ってきているのか なんにもみえない オレの日本はなくなった オレの日本がみえない」と締め括られています。
物質的繁栄は遂げたれども、恒久平和への道程は遙か遠く、未だ覇権主義的な争いが絶えぬ21世紀に生きる私達への、それは警句と言えます。
無念の最期を遂げた、帰らざる人々の平和への願いを無にする事無く、長野県に暮らす私達は、戦争の世紀と呼ばれた20世紀の歴史に目を見開き、有りの儘に現実を見詰め、一人ひとりの市民が人として尽くし、人として遇される地球社会の実現へと向けて、全力を尽くして参ります事を、ここにお誓い申し上げます。
終わりに、戦没者の御霊が安らかなる事を御祈念申し上げると共に、御遺族の皆様方の御多幸と御健勝を心からお祈り申し上げ、式辞と致します。
平成14年11月8日
長野県知事 田中康夫
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