Web Site 信州
トップページ戻る目的でさがす分野でさがす組織でさがすサイトマップ使い方ガイド
                                  知事コーナーのトップへ  議案説明のトップへ


平成18年2月県議会定例会における知事議案説明要旨  

知事追加議案説明要旨(2月28日)はこちら
知事追加議案説明要旨(3月10日)はこちら
知事追加議案説明要旨(3月27日)はこちら


 最早(もはや)、私たちの日本は高齢化社会、少子化社会の段階を超え、文字通り、高齢社会、少子社会の真っ只中(ただなか)に突入しています。それも、有史以来、世界的に類を見ない速度で。別けても、平均寿命が日本一の信州・長野県は、その最前線に位置しているのです。220万県民の為の総合愛情産業に従事する特別職も一般職も、常勤、非常勤を問わず、その厳然たる事実を深く認識した上で、的確に迅速に対処していかねばなりません。
 25年前に上梓(じょうし)した「なんとなく、クリスタル」は、「豊かな戦後」に生きる“青春の光と陰”を描いた私の処女作でした。巻尾には442に及ぶ註(ちゅう)と共に、人口問題審議会「出生力動向に関する特別委員会報告」と「五十四年度厚生行政年次報告書(五十五年度版厚生白書)」から引用した、老年人口比率、合計特殊出生率、厚生年金保険料の予測推移値を列挙しています。
 ご承知のように、国際連合が定義する高齢化社会とは、65歳以上の老年人口比率が7パーセント以上の場合を指します。既に日本は36年前の1970年(昭和45年)に7パーセントを超えています。更に予想より6年も早く1994年(平成6年)には、その倍の数値の14パーセントに到達してしまいました。現在は20パーセント台。本県に至っては一昨年(2004年)段階で23パーセントを超えています。県民の4人に1人が、65歳以上の「お年寄り」なのです。
 合計特殊出生率は、女性の年齢別出生率の合計で、1人の女性が15歳から49歳の間に平均何人の子どもを産むかの推計値です。病死、事故死等を勘案し、概(おおむ)ね2.07人を維持した場合に人口は横這(よこば)いを辿(たど)ります。
 第一次ベビーブームだった1947年の4.54人を頂点とする日本の合計特殊出生率は、丙午(ひのえうま)だった1966年の前後を除けば、2.07人を上回ってきました。けれども、その数値は1974年に割り込み、一昨年(2004年)には1.29人へと落ち込んでいます。
 のみならず、2月21日の昨日、厚生労働省が発表した2005年の人口動態統計速報でも、出生数から死亡数を差し引いた自然増加数が、マイナス4361人と減少へと転じました。それは、1899年(明治32年)に統計を取り始めて以来の出来事です。
 昨年9月に公表した「長野県の将来人口の推計」でも、2001年の222万人をピークに減少へと転じ、2035年には現在の約82パーセントに当たる181万6千人になると見込まれます。本県の人口減少は全国平均より早いペースで既に現実のものとなっているのです。
 また、人口減少と併せて、2035年には3人に1人が65歳以上の高齢者となる一方、14歳以下の年少人口は僅(わず)か10人に1人程度に留(とど)まると予測されています。まさに、高齢社会、少子社会です。

 量の拡大から質の充実へ。物質的に満ち足りた私たちの生活は、果たして何時まで保っていけるのだろうか? 女子大生の主人公・由利が物語の最後で、同好会の仲間と共に表参道の坂道をジョギングしながら心の中で呟(つぶや)いた“恍惚(こうこつ)と不安”は、爾来(じらい)25年間、現実から遊離する事無く、寧(むし)ろ現実そのものに自ら積極的に関わる中で自由な主体として生きるジャン・ポール・サルトルが提唱し、実践した“アンガージュマン”たる自分を目指し続けた私のモチーフでありました。
 2000年10月26日に信州・長野県知事に就任した私は、奇(く)しくも真珠湾攻撃から59年目の同年12月8日、この議場の演台の前で、パブリック・サーヴァントであると同時にサーヴァント・リーダーとして数多(あまた)の困難に立ち向かう気概の程を述べた記憶が蘇(よみがえ)ります。以来、終始一貫、物質主義から脱・物質主義への発想の転換を訴え、その実現に努めてきました。
 翌2001年2月20日に発した「『脱ダム』宣言」は、造る・造らないの○×式二元論を超えて、さらには「緑のダム構想」に代表される環境問題の範疇(はんちゅう)を超えて、21世紀における税金の使い方、社会の在り方を考え直す一大転換点となりました。この5年4ヶ月、信州・長野県における変革は、常に「在り方」を問うてきたのだと言えます。
繰り返しますが、歴史上、類を見ない速度で日本は高齢社会、少子社会に突入し、信州・長野県はその最前線に位置しているのです。
 乳幼児外来診療の補助対象、即(すなわ)ち乳幼児医療費の無料化を4歳未満から就学前へ引き上げるとともに、所得制限を撤廃するのは、こうした本県の現在と未来を踏まえての決断です。福祉医療費給付事業に留(とど)まらず、小児初期救急医療体制整備事業、就学時前児童むし歯ゼロ事業、保育対策等促進事業と、少子社会に対応した施策をご用意申し上げました。

 こうした中、我が国の財政状況は、国と地方を合わせた長期債務残高が年々増加し、平成18年度末には775兆円程度に達する見込みで、世界一の借金大国です。既に国家的破産状態といっても過言ではない状況なのです。この瞬間も1時間に凡(およ)そ66億円の割合で日本国家の借金は増え続けています。小泉純一郎内閣発足後の5年間で、債務残高は250兆円も増大しました。
 私が知事に就任した平成12年(2000年)、本県の財政状況は、県債残高1兆6401億円、起債制限比率は全国ワースト2位でありました。平成16年度には財政再建団体への転落も予想される危機的状況だったにも拘(かかわ)らず、その有りのままの実態すら、県民の圧倒的大多数にはインフォームド・コンセント(情報開示)されていませんでした。
 財政改革推進プログラムを策定し、比類なき財政改革がスタートしました。県民各位のご理解とご協力の下、財政の健全化に向け果敢に取り組んでまいりました。その結果、普通会計で平成12年度以降6年連続、プライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字とし、12年度から16年度の4年度に亘(わた)って連続で計547億円の累積債務を減少させることができました。これらは何(いず)れも全国47都道府県で唯一の実績であります。この間、東京都と長野県以外の道府県は何(いず)れも、累積債務が増加しています。
 が、それでもなお、起債制限比率の数値は依然としてワースト2位であります。それは即ち、過去における財政運営が、いかにバブル状態であったかの証左でもあります。当初予算案をご説明した2月17日の知事会見でも申し上げたように、様々な理由はあったにせよ、過去における本県の予算構造、あるいは行政執行が結果として無定見(むていけん)であったことのツケを、今後も県民のご理解とご協力の下に、引き続き、軽減・解消していかねばならぬ、その途上にあるということであります。公職者、あるいは公職経験者として少なからず関与された方々は、私を含めて是非とも良い意味での慚愧(ざんき)の念を持って、共に信州・長野県の財政再建のためにご協力をいただきたく、この場をお借りして、お願い申し上げるところです。

 信州・長野県では、福祉分野を始め、全国に先駆けた施策を推進してまいりました。高齢になっても、障害をもっても、できる限り住み慣れた地域で暮らし続けたいという願いに応(こた)えるために、地域ケアの拠点として本県が整備してきた宅幼老所などのコモンズハウスは、今回新たに改正された介護保険制度における小規模多機能施設のさきがけとなっております。西駒郷の地域生活移行から始まった障害者のグループホームの整備や、身体、知的、精神の三障害の相談窓口を一本化した障害者総合支援センターの設置、就業支援ワーカーの配置など、障害が重くても自分らしく暮らすことができる住まい・生活介助・就労にいたる一貫した施策は、平成18年2月9日に開催された厚生労働省の「第30回社会保障審議会障害者部会」において、信州発「サクセスモデル」として紹介されるなど、高い評価をいただいています。
 また、ひとり親家庭に対して、経済的な基盤を確保することが極めて重要なことから、就業支援員による就業相談、無料職業紹介など重点的に取り組み、母子家庭の母親の就職数は全国トップクラスとなっております。
 教育関係では、1学級40人という学級編制の全国的な標準を独自にきめ細かくする「30人規模学級」を小学校で実施しています。小学校4年生までは全額県費負担で、5年生及び6年生については、市町村との協働で取り組んでまいりました。この結果、小学校における30人以下の学級の割合は、平成13年度の約5割から本年度は約7割へと充実してきております。小学校低学年だけでなく全学年を対象としている点、1学年1学級でも対象としている点は、県民の皆様の声に応(こた)えんとする教育委員会の気概でもあります。
 また、平成16年度から、小・中学校に地域のお年寄りと子どもたちがいつでもふれあえる場をつくる「お年寄りといつでもふれあえる学校づくり支援事業」に取り組んでいます。おじいちゃん、おばあちゃんの智恵は、地域社会全体の財産です。次代を担う子どもたちが、そうした智恵を会得できるように、県下すべての学校に広がるべく、応援してまいります。
 また、本県では、乳房等の手術を受けられた女性の方も、ゆったりとした気分で信州の温泉を愉(たの)しんでいただけたなら、との思いから、体の傷跡をカバーする入浴着を着用しての入浴を歓迎する小振りのポスターを作成し、県内の入浴施設に順次配布しております。先日、このポスターをご覧になった方から、お礼のお便りを頂戴(ちょうだい)しました。多くの方々にとっては目にも留まらぬ、ささやかな気遣いかも知れません。けれども、その方にとっては、たった一枚の小さなサイズのポスターでも、嬉(うれ)しい出来事だったのです。そして、一枚の葉書は、総合愛情産業に従事する悦(よろこ)びを職員にプレゼントして下さったのです。

 続いて、信州に安全・安心・安定をもたらす5億円規模の県民応援減税、並びに3億円規模の減税・奨励金についてです。
 国の税制改正に伴い、いわゆる恒久的減税の縮減、廃止や個人住民税の老年者控除の廃止など、実質的増税の動きがあります。であればこそ、現下の厳しい財政状況の中においても、自律的に努力している皆様を応援し、より多くの皆様に希望を見出していただくことが肝要だと考えました。そのために、従来の「事業」という発想に留(とど)まらず、「減税」という新たな手法を加えることにより、県民の皆様の実質的な負担を減らす独自の取組を行います。
 県内で新たに創業をする方々、あるいは環境に配慮する方々、安全・安心・安定を推進する県の認定を受ける方々、さらには、障害者等が地域の中で暮らしていけるための応援、とりわけ母子家庭、あるいは障害のある方、こうした方々の雇用を確保促進していくための減税であります。また、今後、今国会で法律改正が予定されている自動車税のグリーン化制度において、国が定めた軽減率を超えてこうした環境に配慮した車への自動車税の軽減を行う予定です。これらを含めて想定で5億円規模の減税を予定しております。同時に、県民応援減税だけでなく、既に創設している、環境配慮型の企業投資応援助成金などの支援事業もさらに充実します。
 さらに、高い勤労意欲を持つ方々に、県の組織において働いていただく、行政パートナーの雇用を、現在の30人から200人へと拡大します。とりわけ、母子、父子といった家庭の方々に、行政組織で働いていただくことにより、雇用の拡大を実現するとともに、こうした県民の方々と共に職場で働くことを通じて、私たち職員が刺激を受け、ひいては組織の活性化へと繋 (つな)げられれば、と考えております。

 アメリカでは1990年代後半から2000年代初頭に減税を実施したサウスカロライナ州を始めとする数州では、産業活性化により雇用が伸び、個人所得が伸び、消費が拡大し、さらには隣州からの流入により人口が増加する変化がもたらされています。残念ながら日本の場合、アメリカの州知事のように極めて大統領的な権限を持って税を創設したり、税の改変ができるという形には必ずしもなっておりません。先の減税に関する検討の中でも、知事権限の制約が議論となりました。今後、さらに検討を深め、ガソリン価格の適正な価格表示を行う事業者や24時間営業を短縮するなどの省エネを進める事業者、ご高齢の方にも配慮し、 温かい洋式便座にしている飲食店や土産品店、あるいは農薬を今までの半分以下に抑える「レスザン50」を導入する農家、こうした方々の取組を報奨すべく、3億円規模の減税や奨励金を鋭意検討します。広く県民の方々からも、こうした社会的に前向きな取組をしている企業や個人、一隅を照らす善行を地道に行い続ける方々を報奨すべき、といった形でのご意見を募集したいと考えております。
 これら本県独自の取組により、県民のみならず信州を訪れる皆様も「優しさ・確かさ・美しさ」をより一層実感できる長野県を目指します。

 昨年12月からの県北部を中心とした豪雪は、県内各地に大きな被害をもたらしました。この大雪によりお亡くなりになられた8名の方々に、心から哀悼の意を表します。また、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
 いわゆる「59豪雪」以来22年ぶりと言われる今回の豪雪は、飯山市、大町市、信濃町、野沢温泉村では、12月の最大積雪深としては、気象庁観測開始以来の記録を更新したほか、他の箇所においても、平年値の約4倍、少ないところでも約2.5倍の記録的な大雪でした。
本県は、こうした状況を踏まえ、昨年12月23日に、「大雪警戒本部」を設置、年明けの1月4日には、副知事の澤田祐介を本部長とした「豪雪対策本部」へと体制を強化し、対策を講じてまいりました。1月6日には、飯山市からの要請を受けて、全国で最初に自衛隊の災害派遣要請を行い、翌7日の早朝から飯山市内で陸上自衛隊第13普通科連隊及び第306施設隊による除雪作業が開始されました。この度の災害派遣要請については、自衛隊側との間で、双方が把握する現地の情報を踏まえ、綿密な連絡を取り合い、政府の寒波・雪害対策についての方針発表、さらには気象状況などを総合的・統合的に判断し、県として責任を持って行ったものです。また、1月7日と12日には災害救助法を8市町村に適用し、豪雪に立ち向かう地域への支援をさらに強化しております。この間、市町村や関係機関とは密に連携を取り、県のホームページにも被害状況、県や市町村の対応状況、ヴォランティア募集など的確で迅速な豪雪関連情報の提供に努めてまいりました。    
 国道405号の通行止めにより、孤立状態となった栄村秋山地区へは、県立須坂病院及びこども病院のスタッフによる医療チームをヘリコプターにより3回派遣するとともに、配達できなかった郵便物や緊急支援物資をお届けしました。加えて、日々の生活を送られている皆様の目線に立ち、牛乳や卵などの生鮮食品や、新聞、子どもたちへの本、スケッチブックなどを「まごころ宅配便」として全124世帯にお届けいたしました。かねてから高橋彦芳村長からも要請されておりました、秋山郷の皆様が冬期間も新潟県内の国道405号を通らずに学校や職場へと向かえる道路の改良に向け、具体的に取り組むべく、県道認定の事件案並びに所要の予算案を今議会に提案させていただいております。
 雪に埋もれ孤立状態となったお宅をお尋ねした折、堰(せき)を切ったように話しかけてこられる一人住まいのお年寄りがいらっしゃいました。心を和(なご)まし、時には対話の相手にもなりうるテレビが、残念ながら栄村秋山地区では未(いま)だにNHK一局しか映らない現状なのです。放送法で難視聴地域解消の努力義務の課せられている県内民放4局に対し、引き続き難視聴地域の解消を働きかけるとともに、有線放送回線を利用したIPマルチキャスト方式によるテレビ受信の実証実験を行う栄村に支援してまいります。
 今回の豪雪災害で思いを新たにしたのは、災害などの緊急時こそ、国から県、さらに市町村へのピラミッド型垂直指示・垂直依存では、きめ細やかな相互扶助は難しいという事実です。栄村に象徴される、地域コモンズの人々が自ら手を携え合って努力し、そこに地元自治体も県も国も一緒になって地域の人々の暮らしを支える、水平的な災害支援・水平補完の取組が必要なのです。
 1月12日、国土交通省や総務省など関係省庁に対し、物質的のみならず、精神的にも成果をもたらし得る支援の実質を、地方政府と中央政府が対等の目線で構築していく水平的災害支援の取組が極めて肝要なこと、また、国の災害対策本部を被災現地に設置し、的確な状況把握及び迅速な対策実施を、と要望したのも、こうした思いからです。
 私たちの取組は、日経BPホームページ「現代リスクの基礎知識」においても高い評価をいただいております。今後とも、豪雪による被害の深刻な地域の皆様に、適材適所・適宜・適量の支援を行ってまいります。

 医療・福祉・環境・教育・・・。私たちはあらゆる場面においてよろず承り係の精神で「人」が「人」として「人」のために温かさや優しさを発揮できる、「総合愛情産業」としての行政サーヴィスを目指しています。職員一人ひとりが、目の前で展開する情報に過去の経験や知識を重ね合わせ、体温と勘性を働かせ、様々な制約を乗り越えて「人」に尽くしていくのです。
 「優しさ・確かさ・美しさ」を目指す信州・長野県においては、県民の皆様の喜びと幸せを守るために何よりも大切なこと、それは、確かな「安全」と「安心」と「安定」のアンサンブルを皆様にお届けすることと考えます。
 アスベスト対策、耐震強度問題、ガソリンの価格表示問題、牛肉偽装表示問題、温泉表示認定制度、ヤミ金融対策等も「確かさ」で結ばれた取組です。とりわけ、一連のヤミ金融対策は高い評価を受け、結果として国の金融庁も同様の措置を取るに至りました。インフォームド・コンセント(情報開示)することで風評や差別をなくし、その上でインフォームド・チョイス(情報選択)を消費者の方々に行っていただく。こうした取組を今後も広い分野で展開してまいります。  
 アスベスト対策では、昼夜・週末を問わず24時間体制で相談に応じ、県民の皆様の不安に対応する「アスベスト110番」を開設しました。今議会で提案申し上げる「廃棄物の発生抑制等による良好な環境の確保に関する条例」に、全国でも類を見ない「廃アスベスト等処理施設」の届出制度を盛り込み、全ての廃アスベストを扱う処理施設に大気汚染防止法に準じた管理基準を適用してまいります。
 牛海綿状脳症(BSE)に関しましては、輸入再開から1ヶ月余の本年1月20日、成田の新東京国際空港で、米国産牛肉からBSEの感染源となる特定部位、脊柱(せきちゅう)が見つかり、輸入禁止措置がとられ国民の食の安全・安心に対する不安を増幅させました。信州・長野県では全国に先駆け、「安心シールシステム」や「トレーサビリティシステム信州モデル」を構築し、安全で安心な「信州産牛肉」の供給を進めております。国レベルでは、BSEの検査対象を21ヶ月齢以上とする厚生労働省令が施行されましたが、本県は、食肉に供する牛のみならず、羊及びやぎの全頭検査も継続して実施し、消費者の食に対する安全・安心を確保してまいります。
 子どもの安全対策につきましては、防犯カメラ等ハード機器による物的手段を用いて子どもを守るという、予算ありきの考えから脱却し、登下校時に教職員や警察官が全ての小中学校の通学路で子どもたちを見守る、人的な助け合いのソフト・パワーで子どもの安全を守る取組を進めております。こうした助け合いの精神が地域の人々やヴォランティアの方々にもより広く浸透していく中で、まさにコモンズにおける人間の絆や信頼を取り戻すことにも繋(つな)がるものと期待しております。
 全国47都道府県に先駆けて設けた再計算制度により、平成14年4月以降に建築確認を受付けたビル等の耐震強度を徹底検証しています。県独自に購入した構造計算ソフトにより、計算結果の再点検を行うだけでなく、物件によっては設計者への聞き取り調査等も行い、二重三重のチェックを進めており、対象物件274件の内、21日までに254件の検証を終えています。検証結果は全物件について完了次第、まとめて公表致します。
 検証を重ねる中で、異なる計算ソフトを用いると結果数値も異なるという現象が起こり得ることが明らかになりました。いずれも国土交通大臣認定プログラムであるにもかかわらず、同一のデータを入力しても耐震強度の評価が異なり、しかも、その中のいずれを選択するかは、設計者の裁量に任されているのです。例えば治水において、計算値としての流量が最大になる降雨パターンを選定すべきとされる一方、より甚大な人命への被害が想定される建築物の耐震強度に関し、同じ国土交通省所管であっても、安全追求のレベルは斯様(かよう)な現状なのです。
 常に起こり得る災害への対処について、天災、人災を問わず、抜本的なあり方の再構築が求められている、と今回の豪雪を踏まえて1月12日に関係省庁等へお渡しした緊急要望書にも記しました。数値至上主義とも言える机上の議論に陥らず、現地の実情に即し、行い得る具体策を的確に迅速に実施することこそは、防災という局面において、真の安全・安心・安定を国民に提供すべき私ども行政の責務なのだと考えます。
 それは、治水対策に関しても同様であります。既に砥川においては、50年確率の河川改修を今後20年間で実施するとの河川整備計画が、諏訪圏域の全市町村長の同意の下、国土交通省において認可され、今年度より改修工事に着手しております。ダムを破棄した他河川においても計画策定が進む中、残る浅川に関し、早期の河川整備計画認可に向けて対策案を提示しております。
 いわゆる外水対策としては、河川改修、遊水地、既存ため池の活用により、将来的な目標数値に対する達成度70パーセントから87パーセントの洪水防御を、今後20年間で行います。加えて今回、旧ダム計画では到底対処し得なかった、昭和58年の既往最大規模の床上浸水を根絶し得る内水対策を発表しました。
 抜本的な内水問題の解決には、合流先の、国管理下の千曲川の改修を待たざるを得ない側面もある中、県が実施し得る可能な限りの対策を徹底検討し、遊水地、二線堤 (輪中堤)、そして下流地域への影響を考慮した上での排水機場能力の向上、これらを併せて行う計画としております。
 排水ポンプの増設のみで対応せよ、との長野市の意向が巷間(こうかん)、伝えられています。しかしながら、遊水地、二線堤を設けず、機械力のみを以(もっ)て全量を千曲川へ放出すべしとの考え方は、謂(い)わば、未改修の千曲川を経て中野市、飯山市等の下流域へ、より大きな水量負荷を与えてもなお自地域のみは守りたいとする、「一国平和主義」に他なりません。浅川流域に何らかの浸水被害が発生する際には、千曲川沿いの他の多くの流域でも同様の被害が生じている現状を踏まえれば、床上浸水のみならず床下浸水まで、浅川という一流域のみ、解消しようとする考えは、他地域の人々の理解を得られるものではない、と考えます。
 全国各地では既に、私どもの計画より10倍近くも規模の大きい遊水地が国の事業として、北海道、岩手、山形、茨城の各県で、しかも地役権(ちえきけん)設定という形で造られ、農地としての機能を保ちながら治水に貢献しています。浅川流域にお住まいの皆様も、上・中・下流の地域差を乗り越え、さらには他の河川流域にも配慮しつつ、深く熱心に議論を続けておられます。必ずや全国に誇り得る内水対策の実現が可能になると確信しております。
 ダムに拠(よ)らない、ダムを造らない浅川の治水対策はまさに、行い得る具体策を集積して、着実に地域の安全性を高める理念の具現化です。旧計画への賛否を超えた多くの方々の議論、忌憚(きたん)のない提言を踏まえ、河川整備計画案の確定、国への申請、そして認可へと進めてまいります。

 我が国の経済動向に目を向けますと、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれておりますが、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要があります。
 一方、県内では、産業機械向けの生産が高水準を維持している中で、自動車向けの生産がさらに増加、IT関連財の生産も回復しており、長野県経済は、緩やかな回復が続いています。経済産業省が昨年12月27日に発表した2005年10月−12月期の「中小企業景況調査」によりますと、前期(7月−9月期)に比べ、業況が好転したと回答した企業の割合から、悪化したと答えた企業の割合を引いた「業況判断指数:DI(ディフュージョン・インデックス)」が、長野県は10.3ポイントと、全国1位の改善幅となりました。製造業に加えて非製造業も、全国トップの改善幅です。中小企業の方々がネットワークを組み、良い意味で横一線に集積をして助け合うという、大変な努力が本県経済の活性化に繋(つな)がっている証(あかし)であります。
 全国の有効求人倍率が昨年12月にようやく1.00倍に達したのに対し、県内では平成16年6月に1倍台を回復して以来、その水準を保ち続け、昨年12月には1.16倍となりました。とりわけ中南信地域では1.3から1.4倍と高い水準で、県全体の完全失業率も全国3番目に低い数値を維持しています。


 今議会に提出しました平成18年度の当初予算案とその他の案件に関して、ご説明申し上げます。
 平成18年度の当初予算総額は、一般会計8250億2147万8千円、特別会計2523億2310万7千円、企業特別会計386億9565万6千円であります。特別会計は公債費特別会計など10会計、企業特別会計は病院事業会計など4会計であります。

 昨年8月、飯綱高原に位置する自治研修所に部局長と地方事務所長が一堂に会し、高齢社会、少子社会に突入した信州・長野県の近未来の姿を正面から見据え、物質的のみならず真に精神的にも豊かな社会を目指す「事業構築ドック」の議論を進めました。その後、塩尻市の丘陵に位置する総合教育センターでの合宿による議論などを重ね、これらの議論の過程で、「ゼロベース予算」すなわち、今までの縮み思考のシーリング型の予算査定ではなく、ゼロベースから全てを組み立て直す発想が職員から生まれてきました。これまでの事業に捉(とら)われることなく、すべての事業を一旦白紙に戻し、原点に立ち返ってその事業効果や緊急性等をゼロベースで検証するというものです。効果の上がらない事業や役割を終えた事業を大胆に見直すとともに、「選択と集中」の発想を徹底し、事業を再構築した結果、783件の事業を縮小または廃止し、その削減効果は37億円に及んでおります。他方で、真に必要な事業を厳選して実施すべく、156件の新規事業を創設いたしました。また、地方事務所長からは、地域発の職員からの事業提案制度創設を、との提案があり、応募のあった128件の事業提案の中から、7件の事業が関係部局と連携検討の上、予算化されております。平成18年度予算編成のための2006年度施策方針は、少子高齢化社会を支える総合愛情産業を目指し、部局横断的な発想を重視した上、今年度に引き続き、県の施策を9つのフィールドに描きました。また、施策の大きな方向性として新たに2つのベクトルを定めました。
 第一として、経済、福祉、医療などの社会システムを地域中心に変えていこうとするベクトルです。物質的な拡大志向と訣別(けつべつ)し、身近なエリア、確かさを体感できるネットワークで消費活動を営み、福祉や医療などのサーヴィスを享受可能な、コンパクトで高品質な社会システムを構築しようとするものです。いわゆる郊外型大型店舗、単体の問題に留(とど)まらず、郊外への居住が進み、「まち」自体が無計画に拡大(スプロール化)していく、県内でも都市部において多く見られる現象が、今後の人口減少社会において本当に望ましいことなのか、問い直すことは急務です。車の利用を前提とした店舗がバイパス沿いに建ち並ぶ、そうした「まち」よりも、歩いて日々の買い物ができる「まち」を取り戻すことの方が、利便性を差し引いたとしてもなお、今後確実に重要となるに違いないからです。第二として、付加価値の高い産業を地域から育てていこうとするベクトルです。量の拡大から質の充実によって、真の生産性・利益率=イールドを、人々の幸せ度も含めて高めようとするものです。技術力の強化、サーヴィスの差別化などにより、農業、製造業、観光業を始め、付加価値の高い産業を地域から育成していこうとするものです。
 この2つのベクトルに全ての施策を連動させ、「未来への提言〜コモンズからはじまる、信州ルネッサンス革命〜」の理念に基づき重点的に施策を展開すべく、「選択と集中」の発想を徹底し事業を再構築してまいりました。が、その「選択と集中」は昨夏から年初に掛けて日本を席巻(せっけん)し、今や急激に失速状態へと陥った、小泉純一郎・竹中平蔵コンビによる新自由主義という名の弱肉強食、優勝劣敗で羊頭狗肉な「構造改革」とは異なります。対極に位置するのです。パブリック・サーヴァントである職員と共にサーヴァント・リーダーである私は、「総合愛情産業」としての行政サーヴィスの充実を目指し、施策の展開を図ってまいります。
 具体的施策方針に沿って、個別に事業をご説明申し上げます。

 まず、「自律」した住民の信頼と絆(きずな)により、地域から広がる活動を支える『絆(きずな)』です。
 豊かな個性に満ちた地域づくりのため、県民一人ひとりが自律的に判断し、意欲を持って主体的に地域に関わり行動し得る社会を目指し、地域や市町村の自律的な活動を積極的に支援してまいります。
 従来型の垂直補完的自治から、未来志向の水平補完的自治へと転換するため、自主性・裁量性の尊重、縦割り行政の是正、政策評価の徹底といった観点を重視し創設した「信州ルネッサンス革命推進事業(コモンズ支援金)」は、創設年度にもかかわらず、市町村や県民等から予想を遥(はる)かに上回る要望をいただきました。数多い要望の中から、複数の構成員からなる選定委員会における審査を経て現在、それぞれの地域が持つ潜在能力や多様性を活(い)かした540もの取組が、県内各地で展開されています。 
 コモンズ支援金の定着の年ともなる18年度は、とりわけ春の花咲く時期にふさわしい取組も支援できるよう、去る1月下旬から事業の募集を始めています。事業主体の大小、取組の新旧、事業費の高低を問わず、自らが主役となって自律的に地域づくりを志す多くの皆様からの具体的な要望にお応(こた)えするべく、引き続き地域発の創意工夫ある取組を支援してまいります。
 また、信州・長野県のほぼ中央に位置し、善光寺街道をはじめとする史跡や豊かな自然に囲まれた筑北・生坂の地では、地域の各村及び地域住民の皆様と松本地方事務所の職員が協働して、観光と農業を連携させた地域の魅力を全国に発信することにより、交流人口の増加を図り、地域全体の活性化を目指す「曼陀羅(まんだら)の里」活性化プロジェクトをスタートいたします。
 「国際化」という言葉があります。得てして、海外に目を向けた施策が中心になりがちな中、信州・長野県で暮らす4万4千人を超える外国籍の方々や、海外から観光などで信州を訪れる方々の目線に立った、「内なる国際化」を進めます。県内で暮らす外国籍の方々も、いきいきと活躍することのできる多様性を尊重した「多文化共生社会」の実現に取り組んでまいります。母国語で対応できる相談窓口「多文化共生くらしのサポーター」や、地域とのパイプ役「地域共生コミュニケーター」を引き続き配置し、サーヴィスの提供に努めてまいります。また、先般、県民各位のご協力をいただき設立した「外国籍児童支援会議」の活動を、外国籍児童就学支援プロジェクト(サンタ・プロジェクト)を推進する上でも、強化してまいります。とりわけ、経済的理由や言語の違いなどにより、学校に通えない子どもたちへの支援に、より一層努めてまいります。
 昨年NHK「クローズアップ現代」でも紹介されましたように、全国に先駆けて長野県では、アジア諸国からの出稼ぎと称した不法就労を強制された方々について、人道的見地から被害者として認知するとともに、一時保護などの支援を、警察とも連携する中で行ってまいりました。この取組をより一層強め、帰国までの間、被害者の保護の強化を進めるため、人身取引被害者支援事業により民間シェルターでの保護に要する経費を支援します。
 加えて、案内標識等に統一した分かりやすい多国語表記やサインを導入し、県内で暮らしている外国籍の方々のみならず、海外からのお客様をも温かくお迎えしてまいります。
 地勢的にも四方を山に囲まれた信州・長野県には、日常生活だけでなく、非常時の情報伝達手段としても欠くことの出来ないテレビが、県域の民間放送に関して全く、若しくは殆(ほとん)ど難視聴状態となっている山間地集落が、県境地域を中心に現在でも複数箇所、存在します。こうした中、本年度に引き続き木曽広域連合が実施するケーブルテレビ整備を支援する、木曽地域デジタル・ディバイド解消総合支援事業を実施してまいります。また、先程も豪雪に関連し申し上げた、栄村における既存有線回線を利用したIPマルチキャスト方式によるテレビ映像配信の実証実験を、県境地域テレビ難視聴解消実証実験事業により支援してまいります。免許制の下で県域放送事業を営まれる各社におかれても、深いご理解とご協力を求めるところです。

 県内各地の消防団の皆様には、地域の防災力の要(かなめ)として出火の際ばかりではなく、今回の豪雪に象徴されるような自然災害の際にも献身的に活動していただき、また、地域の安全を守るという意味で、子どもの安全対策にもご協力をいただくなど、多大なる活躍、貢献をいただいております。消防団充実強化支援事業により、コモンズを守る消防団の更なる充実・強化に努めてまいります。消防団も、団員の確保や高齢化に悩んでおります。そこで、これからの消防団の担い手としても期待される女性消防団員も含め、広く団員募集のため、各事業所に消防団活動への参加・協力をお願いしていくほか、私ども県の職員も、消防団とともに、火災予防運動や年末の警戒活動を行ってまいります。
 さらに、コモンズに根ざして活発に活動されている消防団に対し、県消防ポンプ操法大会等を引き続き開催していくとともに、新たに各地区での消防ポンプ操法大会へも支援してまいります。

 次に、川上から川下に亘(わた)るまで、持続可能な社会システムの基盤を創(つく)り、確かな信州を支える『環』です。
 地球温暖化防止のための世界的な枠組みを定めた京都議定書が発効となった平成17年2月16日、奇(く)しくも昨年2月定例会の初日、この議場において、数多(あまた)の水源を有する美しき我らが信州・長野県に課せられた使命=ミッションの一環として、全国の都道府県に先駆け、地球温暖化対策を具体的に進めるための条例の制定を目指すことをお誓い申し上げました。
 その後、平成17年5月9日には、長野県環境審議会に信州大学の高木直樹助教授を委員長とする9名のメンバーからなる「地球温暖化対策検討会」を設置し、10回を数える検討会や、県下14会場における県民への説明会、17団体との意見交換会など、大変な熱意と使命感を持って条例に盛り込む内容を検討していただきました。そして、平成18年1月13日、環境審議会の北條舒正(のぶまさ)会長から答申をいただき、今定例会に「長野県地球温暖化対策条例」案として提案 に至りました。地球温暖化対策に関する都道府県の単独条例では、昨年9月定例会で可決し大阪府、12月定例会で可決した京都府に次いで、全国で3番目となります。
 この条例には、「24時間営業者との営業時間等に関する協定の締結」や「事業者に対する従業員のマイカー通勤削減の努力義務」など、本県独自の項目が盛り込まれています。これはまさに、平成14年5月に市民、学識経験者、経済界、行政等、様々な主体からなる「信州・地球温暖化対策研究会」から頂戴(ちょうだい)した「地球温暖化対策『長野モデル』第一次提言」の中に込められた人々の想(おも)いが結実したものといえます。一方で京都議定書の発効を受け、他の都道府県でも、既存の環境関連条例に地球温暖化対策を組み込み始めています。本県の地球温暖化対策が全国に後(おく)れを取らぬためにも、また、地球温暖化防止を未来の子どもたちへの贈り物とするためにも、本定例会での可決を心から願います。
 併せて、この条例を県民、事業者、行政などすべての主体の参加と協働により推進するためにも、条例の制定趣旨、内容等をより多くの県民の皆様にご理解いただくよう周知定着を促進し、県のすべての機関において環境管理システム「エコアクション21」を導入し、県自らが率先して地球温暖化対策に取り組んでまいります。軽井沢、上高地等に引き続き、県警察本部と連携し、コモンズによる景観形成の先進地、小布施町のすべての交通信号機を、見やすく、消費電力を大幅に削減できる発光ダイオード式に交換いたします。
 続いて、廃棄物対策について申し上げます。
 豊かな自然に恵まれた信州・長野県は、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の経済社会から脱却し、環境と経済の両面から、廃棄物による環境への負荷の軽減を目指しております。そのためには、廃棄物の発生を抑制するとともに資源化を推進し、「できるだけ燃やさない」、「できるだけ埋め立てない」方向へ政策を転換すること、また、現行の法令などでは解決できない廃棄物に係る課題に対応するため、県民の皆様との協働による施策を展開することが不可欠です。
 上智大学の北村喜宣(よしのぶ)教授、丹沢やまなみ法律事務所の梶山正三弁護士、武蔵工業大学の青山貞一教授の3名をアドヴァイザーとして迎え、2年半に亘(わた)り新たな条例の検討を行い、本定例会で「廃棄物の発生抑制等による良好な環境の確保に関する条例」として提案する運びとなりました。
 条例中、廃棄物処理施設の設置計画の早い段階から、排ガスや排水による環境影響のみならず、立地上の問題や自然災害に対する安全性、周辺住民に対する説明責任をも検討する、「廃棄物処理施設計画協議」制度に関し、市町村が設置する一般廃棄物処理施設も対象とするのは「市町村の権限を侵害する恐れがないか」と述べる向きもおられます。けれども、産業廃棄物処理施設と一般廃棄物処理施設は、どちらもごみを処理する施設に変わりはなく、まさしく、これから生を受ける未来の信州の担い手のためにも、環境影響等に対する配慮は同等になされることが望ましいのです。行政の垣根を越えて、そこに暮らす人々の目線で、廃棄物処理施設の建設コスト及びその後の維持管理費が将来に亘って市町村の財政を圧迫しないためにも、県と市町村が水平補完、水平協力の形で、より良い施設建設計画を推進することは、これからの廃棄物行政が地域住民から信頼される上でも極めて肝要です。真に持続可能な社会を本県が目指す上で、喫緊の課題となっている廃棄物行政を大きく前進させるべく、議員諸姉諸兄の歴史に恥じぬ聡明なるご判断を伏してお願い申し上げます。
 私は以前より、21世紀を牽引する環境行政とIT行政が共に、その美名の下に、旧来と変わらぬ公共事業的利権を生み出すやも知れぬ新たなハコモノ行政として跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)したのでは、安全、安心、安定のアンサンブルに背くばかりか、国家的財政破綻(はたん)の奈落の底に陥るのみ、と繰り返し指摘してきました。
 「実は住基台帳ネットワークシステムというのは、壮大なむだの仕掛けですよね。住基台帳ネットワークシステムというのは目に見えませんけど、もし可視的な装置であったとしたらペンペン草が生えていますよ。なるほどなと思ったのは、南部町内で調べてみたら、1件当たりの利用が200万円以上になっているというんでしょう、単価で割り戻したら。そういうのは財政破綻(はたん)とか、むだなものを強いていることになっているんじゃないですかと(町長が)言っていましたよね。そのとおりなんです。壮大なむだですよ」。
 旧自治省出身の改革派として耳目を集める鳥取県の片山善博知事が、2月15日の知事会見で発言した科白です。時代遅れな重厚長大産業の代表格として捉えられていた製鉄や造船のメーカーが息を吹き返した理由の一つとして、溶融炉建設への参入を挙げられましょう。ゴミ1トン当たりの焼却炉建設費は、アメリカやイギリス、シンガポール、韓国等の国々では約1200万円から2000万円の範囲であるのに対して、日本のみが5000万円を上回る金額なのです。監督官庁の環境省ですら遅蒔(ま)きながらとは言え、廃棄物処理施設建設費の高止まりに関する研究会を設置する程なのです。
 岳北広域行政組合が計画している新しいごみ焼却施設は、人口の減少が本格的に進行する中、同地域における人口が今後もほぼ横ばいで推移するとした推計に基づき施設規模を設定していること。また、前述のように環境省においても検討が開始された現在、建設時及び今後の維持管理に係る財政負担等について、既存施設の活用も視野に入れ、十分な検討と住民への説明が必要ではないか等々、計画についての県としての懸念を申し上げたところです。
 実は南信州広域連合においては、平成14年12月から他地域に先駆け、ゴミ処理施設として、ガス化溶融炉の稼働を開始しています。が、高温での稼働を維持するため、灯油などの助燃剤が大量に必要であること、高度な運転管理技術を要するため特定の業者に高額な運転管理委託費を支払わざるを得ないことなど、市町村にとって想定外の重い負担が圧し掛かっています。また、焼却炉の24時間連続運転を維持するため、大量のゴミを投入しなくてはならず、減量化へのインセンティヴが働いていない地域も本県内に留(とど)まらず、全国に数多いと聞き及んでおります。
 なお、阿智村に計画していた廃棄物処理施設については、最終処分量の激減により、最終処分場の逼迫が緩和されたこと、事業を実施した場合の県の財政負担額が当初見込みの29億円を遥かに上回るものとなることから、将来に亘(わた)っての重い財政負担を回避するため、県として様々な試算を行う中で、Uターンする勇気を持って、計画の中止を決断したものです。
 また、飯山市の有限会社飯山堆肥センターは、登録済の汚泥発酵肥料と称して、異物が混入した粗悪な肥料を製造し、センターの役員や関連会社に対してその肥料を無償譲渡する形態を取って、農作物が作付けされていない農地に、大量の肥料を投入し続け、著しい土壌汚染を招くとともに、まさに「マネーロンダリング」ならぬ「汚泥ロンダリング」により、不当な利益を生み出していたと推察されます。巨額の税金が投入されながら、まともに汗をかくことなく、浮利を得ようとするものを許すことはできません。今後も不退転の覚悟を持って、この問題の根本的な解決に向けて取り組んでまいります。
 また、廃棄物の不適正処理・不法投棄を防止するべく、県警察本部のご協力もいただき、全国トップクラスの監視・指導体制を敷いている本県は、今回の条例の精神に則(のっと)り、来年度は不法投棄監視連絡員を増員し、また、大量に廃棄物が放置された箇所については、住民の皆様の不安を解消するため、廃棄物の排出元等の徹底調査を行い、原因者、関係者等に対する撤去指導を推進するとともに、周辺環境への影響調査や放置廃棄物の保全対策を実施してまいります。とまれ、今回の条例は、およそ信州人の民度とは掛け離れた一部の面々によって、東洋のスイスが有害物質の山に包まれる事態を未然に防ごうとするものです。それは、必ずや、基礎自治体を運営する首長や議員に対しても、福音をもたらすに違いありません。聡明なる県議諸姉諸兄におかれましては、是非とも後世に範を示す冷静なる判断を求めます。

 次に、本県の美しく豊かな自然や景観を大切にし、誇りを持ち続けられるよう、景観の維持、育成、地域づくりを進める『美』です。
 社会的共通資本としての地域ごとの景観を守り育(はぐく)むため、有機的に機能する制度的な基盤を確立し、実効ある運用を行うとともに、県民や市町村の自律的な取組を支援してまいります。
 民間の研究機関「ミツカン水の文化センター」の「水にかかわる生活意識調査」によると、「もっともおいしい水が飲めると思う都道府県」は、調査を始めて以来、11年連続で長野県がトップとなっています。まさに名実ともに、本県は数多(あまた)の清らかな水源を有する水源県といえます。しかし一方で、その源流域に存在する県内181箇所の山小屋のうち、61箇所については、未(いま)だし尿処理施設が整備されていない状況がございます。そこで、「長野県から汚れた水を一滴も流しません!」を合言葉に、日本の最上流部に位置する信州・長野県の山岳地域の水環境を浄化すべく、自身も数々の山へ登り、山を愛する副知事の澤田祐介をキャップとして立ち上げた、「信州の水浄化プロジェクト」により、県下の山岳地域に環境に優しいトイレの導入を積極的に進めてまいります。来年度は民間企業と山小屋の皆さんの協力の下、再生可能エネルギーを利用した信州モデルとも言える最先端のし尿処理システムの実証実験を行い、可及的速やかな整備に繋(つな)げてまいります。また、信州が誇る山岳環境に憧(あこが)れて訪れる多くの登山者に安全・快適を提供するため、登山者からの協力金を活用し、山小屋関係者がヴォランティアで行っている、管理者が不明確な登山道の日常的維持・補修に必要な資材の購入に対して支援してまいります。
 信州型木製ガードレールを始めとする、県産材を活用した数々の道路用製品が、公共空間において、我が県の進める主要施策、即(すなわ)ち、森林整備の推進、良好な景観の保全・創出、地球温暖化防止の促進等々を複合的に象徴する存在として広く認知されていることを、大変嬉(うれ)しく感じています。一昨年、県も支援して開発、認証に至った木製ガードレールの中には、長野県内のみならず県外からも高い評価を受け、多くの自治体へ国内「輸出」された製品もございます。ガードレールの設置に関しましては、危険箇所等緊急的に鋼製ガードレールの設置や修繕を必要とする区間について滞りなく実施した上で、さらに各種の道路用木製品の利用を普及促進すべく、「信州の木でつくる信州みちづくり事業」を予算案に計上しております。世論調査等においても過半数の方々が促進を望まれている信州型木製ガードレールに関し、議会の皆様の良識ある判断を願うところです。
 新たにスタートさせる都市(まち)づくり地域活動支援事業は、県民主体の自律的な地域づくりを支え育(はぐく)むべく、既にゼロ予算事業として行ってきた出前講座や都市計画キャラバンに加え、地域リーダー育成のためのワークショップ等を実施するソフト事業です。都市計画決定されながら何十年経(た)っても事業化されない道路計画の抜本的な見直し等と併せ、ハードなハコモノ志向のまちづくりから脱却し、人の息遣い、温(ぬく)もりが感じられる都市(まち)を創(つく)り上げていこうとする職員の心意気が、こうした事業を生み出しています。
 景観とは、単なる数値的な要素の集合体ではありません。守り育(はぐく)んでいこうと願う哲学を有する人々の熱意、誠意、行動(パッション・ミッション・アクション)、その温度の高さこそが、次世代にも誇りを持って受け継ぐことのできる風景を創(つく)り出すのです。景観法の制定に伴ってこの4月1日より改正施行される、長野県景観条例、屋外広告物条例の運用においても、まずは行政機関の私どもがそうした観点に立ってこそ、自律的な地域の取組を支援できるのだと、意識を新たにしているところです。
 このように美しく豊かな本県の自然や景観を今後も守り育(はぐく)んでいくためには、県土に係る基礎的なデータが不可欠です。特に、地質の理解と活用は、環境保全や防災、産業振興の土台となるものです。一方で、本県の地質図は、私が生まれた1956年に長野県地学会によって編纂(へんさん)されて以来、とりわけ1980年代以降、めざましい地学研究の進展と蓄積がありながら、残念なことに情報がひとつに集約されず、現場での活用に耐えうる地質図とはなっていないのが現状です。そこで大学、地域研究者、応用地質調査技術者等に呼び掛け、その知識や点在する情報を結集し、あらゆる現場で使用可能な縮尺10万分の1の地質図を作成してまいります。

 次に、誰もが住み慣れた地で暮らし続けられるコモンズの実現を進める『心』です。
 児童虐待、自殺、青少年犯罪の増加などの問題を根本的に解決するために、カウンセリングなど自律に向けての支援を充実するとともに、健やかで優しいこころを育(はぐく)む体制を整備してまいります。
 また、人口減少時代においても、心豊かに暮らすことができるよう医療や福祉を充実してまいります。昨年末には副知事の澤田祐介を中心に「少子化対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、仕事と子育ての両立支援、地域(コモンズ)における多様な子育て支援、子育て世代の経済的負担の軽減等、少子化の流れを止めるための具体的な方策の検討に着手し、その実現のための予算を計上しております。
 多様化する保育ニーズに対応し、子どもを育てながら保護者が安心して働き続けることができるよう、国の基準(6:1)を上回る概(おおむ)ね園児4人に1人の保育士を配置して、市町村が行う1歳児保育への助成を引き続き進めてまいります。障害児保育も、重度障害児には1:1、中度障害児には2:1の保育士加配を行うとともに、乳児保育も、国の基準が6人であるのに対して、本県では3人以上の乳児の入所が見込まれる民間保育所を対象に、市町村への経費補助を実施しています。また、認可外保育の自由保育所への県単独助成、園舎を有さぬ子育てサロンで野外保育を行う場合にも、同じく県単独助成を引き続き行ってまいります。
 また、子どもたちが就学時間以外にも安全・安心に過ごすことができるように、小学校などの既存施設の改修などをして「児童館・児童クラブ」を設置する場合に助成を行い、子どもたちの安全な居場所を設けていくとともに、地域が一体となって子どもを育(はぐく)む拠点となるよう支援をしてまいります。児童数10人未満の小規模児童クラブへ県単独助成を行うとともに、自宅から程近い公民館等の身近な場所で親子が寛(くつろ)いだり交流を深められる小規模施設としての子育てサロンにも県単独助成を行ってまいります。空き教室に畳を敷き詰め、元気な高齢者が集う空間に多感な子どもたちが訪れて甘えながらも老人から智恵を学ぶ「お年寄りといつでもふれあえる学校づくり」にも引き続き、支援してまいります。
 冒頭で申し上げましたように、少子社会における子育て世代の医療費負担を軽減するため、福祉医療費給付事業の乳幼児医療費に関し、外来診療の補助対象年齢を4歳未満から引き上げ、入通院とも就学前まで補助対象とするとともに、内なる格差を生じていた所得制限を廃止し、すべての保護者と乳幼児を対象といたします。
 また、虐待などにより、心の傷を受けた子どもが一緒に生活する諏訪湖健康学園では、集団での生活に適応することが難しい子どものための生活の場として、地域の方のご協力により民家をお借りして、子どもたちが自分の部屋を持って家庭的に生活できる「分園型グループホーム」を設けてまいります。子どもたちが家庭的な落ち着いた空間で、一人ひとりが尊重されていることを実感できる家族的な落ち着いた場を創出し、人との信頼関係を取り戻せるよう支援を始めてまいります。
 さらに、中央児童相談所及び松本児童相談所に専任の職員を配置し、新たな里親候補者の掘り起こしや、里親の悩みを分かち合う里親サロンを開設するなど、子どもと里親の出会いから里親委託までの一貫した支援を行います。施設に入所している子どもたちが家族的な絆(きずな)を深め社会性を育(はぐく)むよう、子どもたちを家庭に受け入れて交流するホストファミリーへも支援をしてまいります。
 他方、高齢社会における大きな課題は高齢者の孤独への対策です。先程も申し上げましたように、中越地震やこの度の豪雪災害の際、被災地の高齢者が心待ちにしていたものは、自分の話に耳を傾けてくれる話し相手の訪問でした。これは、阪神・淡路大震災後に仮設住宅や復興公営住宅に暮らす独居老人のもとを訪れていた私の実感でもあります。在宅の高齢者のお話の聴き役となる「心友(しんゆう)・傾聴ヴォランティア」を育成し、同世代の中高年の方々を中心に宅幼老所“コモンズハウス”などで具体的実習を積み、同じ時代を生きてきたからこそ分かり合える謙虚で親切な聴き役として、悩みや相談をお聴きできる体制を築いてまいります。
 また、災害時に支援を必要とする在宅の高齢者や障害者の方と支援をする方の所在を示した地図「災害時住民支え合いマップ」の取組は、現在46の市町村に拡(ひろ)がってきました。この事業を行うことで育(はぐく)まれたコモンズの絆(きずな)を一層確かなものとしていくため、平時の高齢者や障害者の見守り活動、要支援者避難訓練の実施など住民支え合い活動に積極的に取り組む市町村に対し支援を行ってまいります。
 このように地域で支え合う福祉サーヴィスの拠点となる宅幼老所“コモンズハウス”は、全国に先駆けて平成14年度よりスタートし、既に、県内で250か所にまで拡(ひろ)がってまいりました。「仕舞(しも)た屋(や)」を改修し、小規模で多機能、制度にとらわれることなく地域の実情に応じて必要なサーヴィスを提供する活動は、今や 我が国が介護保険制度に取り入れるまでとなりました。居住地から離れた場所にデイサービスの施設が建設されるのと比較すれば、着実な進歩です。しかしながら、国からの補助が受けられるのは新築、若しくは改修の場合も運営主体が所有していることが条件です。手元不如意なれど、福祉に対する高い見識と意欲を有する人々が借り受ける形でスタートする宅幼老所“コモンズハウス”への財政的支援は、国から は見込めないのです。今そこにある既存の建物を活用し、ハコモノ福祉からの脱却を目指さねば益々(ますます)、国家財政は破綻(はたん)への道を辿(たど)ることとなります。借り受ける形でスタートする福祉施設への支援に関しては、私が代表を務める新党日本として質問主意書を提出し、政府の公式見解を引き出すこととなっています。とまれ、本県では引き続き、質の高いサーヴィスの提供ができるコモンズハウスの充実に努めてまいります。
 施設に入所されている障害者の地域生活への移行につきましては、グループホーム、授産施設等の整備を進めるほか、身体、知的、精神の三障害すべてに対応できる障害者総合支援センターを中心に、生活及び就労の相談・支援体制の充実を図るとともに、西駒郷では、居住環境を重視した居住棟の改築に着手をしてまいります。
 また、障害者の就労支援につきましては、障害者総合支援センターに配置した11名の就業支援ワーカーと地方事務所に配置した10名の求人開拓員がハローワーク等とネットワークを構築し、職業訓練から就職、職場定着にいたるまでを連携して支援しております。障害のある方の個々のニーズや地域の特性にあわせて全ての圏域に専門スタッフを配置して支援しているのは、全国的に例がなく、平成16年度から現時点までで300名を超える障害者雇用を達成しました。今後は、引き続き障害者雇用を促進していくことに加えて、授産施設等で働く障害のある方の収入を増やすために、企業からの受注開拓や一般市場で売れる製品づくりを支援し、障害のある方の経済的自律を更に促進してまいります。
 さらに、在宅で重症の心身障害児や障害者が、医療的ケアと機能回復訓練を受けられる通園施設を利用する希望が年々高まっていることから、施設の整備や職員の加配等に支援を行うなど、受入人員の拡大を図ってまいります。
 また、昨年の10月に自律と共生の社会づくりを目指して成立した障害者自立支援法により、18年4月から、障害の種別にかかわらず、より身近な市町村がサーヴィスを一元的に提供する制度に変わってまいります。同じく介護保険制度も、予防を重視した制度へと改正されております。市町村が行うこれらの事業に対して引き続き支援を行うとともに、県が担う人材育成や啓発事業などを積極的に実施してまいります。
 本県には、盲・聾学校4校を含む18の自律学校があり、2098名が学んでいます。近年社会的な要望を受けて高等学校が拡充されてきており、現在では843名が在籍しています。この方たちとご両親にとって、最大の問題のひとつが就職です。昨年の就職実績は、希望者の25パーセントにとどまり、決して満足できる数字ではありません。県では、教育委員会、社会部、商工部などが共同して、各企業に対しての依頼を通年にわたって行うとともに、例えば「障害者就職支援フェア」といった行事を県主催で行い、積極的に障害者の社会進出を支援してゆきます。
 さて、従前にもまして、住み慣れた地域で誰もが「いつでも」、「どこでも」安定した医療サーヴィスの提供を受けられるように、県民の皆様、一人ひとりの『心』に揺るぎない安心をお届けする医療体制を築き、「健康長寿 長野県」を継承いたします。
 本県は広い県土の中に三つの日本アルプスの山々が広がる自然豊かな土地柄である一方、その厳しい自然の中に置かれた山間地には複数の無医地区が点在しております。一人ひとりが生まれた地域で安心して医療サーヴィスを受けられるように、医師・医療機器などの限られた医療資源を10の「医療圏」内で有効に活用する「信州新医療圏構想」を引き続き進めてまいります。
 本県に存在する19の無医地区と19の準無医地区、合わせて38地区の解消への取組として、この問題を抱える市町村が自律的に行う通院支援車の導入や、出張診療所運営に係る経費を補助し、無医地区で暮らしている人々にとって、医療サーヴィスをより身近なものへ変えていきます。
 さらに、地域医療に関心を抱く医師の、県内への定着に向けた取組を進めてまいります。地域医療に貢献したいと考える医師を全国から公募し、病気やけがを総合的に診療できる家庭医を養成すると同時に、首都圏において、県内臨床研修病院との共同による説明会を開催し、県内外出身の臨床研修医をより多く確保してまいります。
 また、地域医療への志のある若き学生を支援するために、学校や出身地を問わず全国の医学生を対象として、月額20万円の修学資金と必要に応じて高額な授業料をも貸与し、将来に向けて長野県の地域医療を支える医師の確保も図ってまいります。
 これは、医師ばかりではありません。木曽・阿南といった地域では看護師の確保も大きな問題です。木曽看護専門学校においては、准看護師から看護師への進学課程の寮を既に個室化していますが、さらに彼ら 彼女らに奨学金を貸与し、学業時間にゆとりがあれば、土日祝日などには、准看護師として働いていただく制度を設けました。これによって、自活しつつ准看護師として働き、学び、看護師への道が拓(ひら)けます。県内ばかりか県外からも多くの方々に利用していただける制度ではないかと自負しています。
 既に本県では昨年9月から、すべての医療圏に一つのがん診療連携拠点病院を整備する準備を進め、遅滞している国からの整備指針の公表を待っておりましたが、去る2月1日にようやく「がん診療連携拠点病院の整備に関する指針」が厚生労働省より公表されました。来年度はその指針を受け、がん診療連携拠点病院の整備を本格的に進め、よりクオリティを高めた医療サーヴィスを提供してまいります。
 続いて、本県の将来を担う大切な人財である乳幼児を守る医療サーヴィスへの取組についてです。保護者の不安を和らげるため夜間に小児医療を提供する市町村や病院への助成を引き続き行うとともに、18年度は新たに小児科医・看護師が電話相談を受ける体制を築きます。このことにより、適切な助言で保護者の不安を取り除くと同時に、早期の治療の必要性を判断し、不足する小児科医に対応したトリアージな小児医療サーヴィスを提供します。また、こども病院は、小児高度専門病院としてのみならず、より一般的な小児科や産科診療に門戸を開き、県の小児科診療の要の役割を果たすよう、 大きく改革を進めてまいります。この改革を推進するため、より強力な牽引車としての力を発揮いただける院長を始めとする首脳部の一新をも考慮しております。
 新しい医療サーヴィスを提供することに取り組む一方で、昭和56年から実施しているウイルス肝炎医療費給付事業の見直しを行います。ウイルス肝炎はかつての「不治の病」から「治る病気」へと変わってきており、病状により入院が必要な場合の補助を残す形で給付の全体像を見直します。とはいえ、外来通院患者さんであっても過去の経緯を踏まえ十全な治療を受けられるよう、個々に対応してまいります。なお、ウイルス肝炎への医療費給付事業を行っているのは全国で5つの都道県だけであります。今回の見直しを行った後も引き続き、非加熱製剤の使用歴のある方の通院医療費について、給付対象とします。こうしたきめ細かな対応によって、長野県の給付は今後も全国で最も高い水準を保ちます。
 こうした医療体制の整備に加えて、受動喫煙による健康被害をなくすための取組を引き続き進めてまいります。
 ご存知のとおり、本県では平成15年5月の健康増進法の施行を契機として、同年9月には学校を含む県有施設の建物内禁煙を実施し、翌16年12月には敷地内禁煙へと移行するなど、全国に先駆けて受動喫煙の防止を進めてまいりました。昨年は県本庁舎正面に禁煙タクシー乗り場を設置し、終日禁煙の飲食店を「おいしい空気のお店」として認定して県のホームページで紹介するなど、「たばこによる害のない信州」を目指した取組を展開しており、来年度にはホテルやデパートなど、飲食店以外の事業所にも拡大し、市町村も巻き込んだ県民運動へと展開してまいる所存です。県民の代表であられる県議会議員の皆様にも、各会派控室での禁煙を始めとして改めて深いご理解とご協力をいただきたく存じます。

 子どもたちが、一人ひとり持っている自分の個性を伸ばし、子どもの将来の礎(いしずえ)となる『育』についてです。
 未来を見据える確かな視点で、教育の「今」を常に振り返り、家庭・地域・学校が連携し、子どもが人間として自分らしく生きていく権利を尊重し、守り・育てる環境づくりを目指してまいります。
 学校では、教員の温かい目線が児童・生徒一人ひとりに届き、子どもの個性を育(はぐく)む教育を実現していくため、小学校4年生までの全額県費負担による30人規模学級を基本とした「信州こまやか教育プラン」を推進し、市町村の理解と協力を得て、5年生、6年生に関しても引き続き実施する中で、具体的な成果に結びつけてまいります。
 また、小学校から中学校へ進学した際、急な環境の変化のため不登校が急増する、いわゆる「中1ギャップ」の問題に対しても、小・中学校の教員による情報共有や、子ども同士の交流などを行うサポーター教員を配置し、学習や人間関係づくりなどのつまずきを防ぎ、充実した学校生活が送れるよう支援してまいります。
 次に、障害のある子もない子も分け隔たりなく、自律的・自発的に学べる環境づくりについてです。今年度から長野養護学校高等部の分教室を更級農業高校に設置し、一人ひとりのニーズに応じた教育の実現を実践的に行っていますが、来年度は新たに佐久穂町との協働により、小中学校分教室のモデル教室として小諸養護学校分教室を開設いたします。地元の学校で学びたい願いを抱く子どもたちが、多くの友だちと日常的にかかわり合いながら過ごすことで、地域の一員としてともに生きていく力を育(はぐく)んでまいります。なお、長野市に設置している長野養護学校につきましては、昭和36年の設立当初、30名の児童生徒で発足いたしましたが、現在では277名が在籍する大規模校へと変貌しており、そこでは8割に当たる地元長野市出身の子どもたちが学んでおります。全国的に見れば、中核市を含む109の自治体が市(区)立の養護学校を設置していることからも、地域に 根ざした養護学校としてより良い教育環境が提供されるよう、昨日、教育委員会から長野市に長野養護学校の移管を要望したところであります。
 さらに、小・中学校において、障害のある児童・生徒や外国籍児童・生徒が安心して学校生活が送れるよう、一人ひとりの状況に応じ、「こどもほっとサポーター」として介助員・支援員を配置し、学習面や生活面において必要な支援を引き続き行ってまいります。
 続いて、先程も触れました、お年寄りといつでもふれあえる学校づくり支援事業でございます。小・中学校で子どもたちがお年寄りの智恵や経験に日常的に接することができるように、空き教室に畳を敷くなど、お年寄りがいつでも学校にいて、子どもたちと自由にふれあうことのできる空間の創造に支援してまいります。18年度は、子どもの安全対策として、地域のお年寄りに子どもたちの登下校の見守りをしていただき、小・中学校と活躍の場を求めている地域の元気な高齢者を結びつけ、地域ぐるみで子どもたちを守る仕組みづくりを積極的に支援してまいります。
 ご存知のとおり本県は、塩分摂取の軽減を訴えた食生活改善運動などにより、老人医療費が全国で最も低い、文字通り、輝かしき長寿日本一を達成した自治体であります。が、嘗(かつ)て長寿日本一を誇った沖縄県がアメリカ型の食生活の台頭により、本県にその地位を奪われたように、「明日はわが身」 との危機感を持ち、その地位に安住することなく取り組んでいく必要があります。「食」こそは生きていく基本であるとの認識の下、様々な経験を通じて「食」を知り、家庭、地域、社会で健全な食生活を実践することはもちろん、生涯を通じて自分の歯で、楽しくおいしく料理を味わうことは、人生を豊かで楽しいものとしてくれます。また、よく噛(か)むことは、「丈夫な歯をつくる」、「生活習慣病を防ぐ」のみならず、体躯(たいく)や頭脳に刺激を与えて「認知症を防ぎ知能を高める」などの効用があることが知られています。多くの県民の皆さんが、信州の新鮮な食材で手軽に楽しく料理し、いつまでも「自分の歯で」食事を楽しめるよう、信州・長野県では、信州「楽食(らくしょく)」運動として、「食生活改善運動」と「歯の健康」の取組を進め、「食」のさらなる推進を図ります。
 併せて、就学前児童のむし歯を防ぎ、よく噛(か)んで、生涯を通じて楽しく、おいしく食べられる「楽食(らくしょく)」の基礎をつくるため、就学前児童虫歯ゼロ運動の一環として県内の5歳児が保護者同伴で歯科健診を受診し、歯科指導を受けられるよう支援してまいります。
 また、子どもたちの成長段階に応じた食の教育プログラムである「信州『楽食(らくしょく)』アラカルト」を策定し、学校給食や地域の食文化を「生きた教材」として活用し、一人ひとりが食を楽しみ、食を選択する力をつけられるよう家庭や地域と協働して信州「楽食(らくしょく)」運動を広げてまいります。さらに、昨年10月22日、服部栄養専門学校校長の服部(はっとり)幸應(ゆきお)氏をお招きして、小布施町で開催した「食育フォーラム」における「心をつなぐ食育宣言」を継承し、学校・幼稚園・保育所の給食での地域食材の日を地域の皆さんと協働しながらより一層進めるとともに、地域食材の利用促進を図るため、給食で最も使われる三種の神器とも言える「たまねぎ」「にんじん」「じゃがいも」の地域産の使用割合を拡大してまいります。
 次に、職員提案により生まれた「信州こども自ん然(親善)大使プロジェクト」についてです。先程も申し上げましたように、県内には4万4千人を超える外国籍県民が暮らしています。国際化という名の下に国外ばかり目を向けるのではなく足もとに目を向け、すべての県民の共生を図ることが必要です。このプロジェクトは、こうした「内なる国際化」の一環として、外国籍県民の子弟や知的障害を持つ児童生徒など、全県の子どもたちを対象に「信州の森と自然」をテーマに絵本や紙芝居など子どもたちの創造性を活かした作品を募集します。また、参加した子どもたちが、違いを認め合う気持ちと、真に国際感覚のある地球市民としての自覚を育(はぐく)むため、世界に誇る信州の自然や森の中での国際親善キャンプを開催します。さらに、信州こども自ん然(親善)大使として海外の学校訪問事業などを通じて、信州の魅力を広くPRするとともに、国の枠を飛び越えて、子どもたちの創造性や可能性を高める、新たな「学び」を追求してまいります。
 先生やお父さんお母さん、友だちに話せない子どもの声をすべて受け止め、子どもたちに温かく寄り添い、どんなことでも一緒に考える、子ども専用電話のチャイルドラインを新たに上田市に開設するNPO法人の支援を行うことなどにより、これまで対応できなかった水曜日と金曜日を含め、平日はいつでも対応できるようにしてまいります。
 また、「おはなしドキドキぱーく事業」につきましては、移動絵本図書館「おはなしぱけっと号」が保育所や幼稚園のみならず地域のイベント会場など様々な場所にどんどん出掛けて、読書や紙芝居などを通じ子どもたちの夢を大きく育(はぐく)んでまいります。
 スポーツの振興につきましては、県内の小中学校から高等学校まで多くの学校がスキー・スケートを体育の授業に取り入れております。こうした信州ならではのウィンタースポーツの魅力を、学校の授業を通して体験できるよう、今シーズンからスノーボードやカービングスキーなどのインストラクターを派遣しております。来シーズンも引き続き実施し、本県のウィンタースポーツの一層の振興を図ってまいります。
 信州・長野県の魅力ある高校のあり方を検討する「高等学校改革プラン」について申し上げます。若年層の人口低下に伴い、県立高校が今の数を維持し続けるのが極めて困難であることは、多くの県民の皆様も等しく感じておられるところでしょう。高等学校改革プラン推進委員の方々には、教育を百年の計として捉(とら)え、様々な県民のご意見をお聞きしながら冷静なるご議論を重ねていただきました。その結果としての「報告書」を受けた教育委員会の理念と哲学に基づいて今後、より地域の実状に合った高校づくりに取り組んでいくことを願っております。

 次に、3×3(スリー・バイ・スリー)発想により、活力溢(あふ)れる信州経済と生活の豊かさを創(つく)る『創』です。
 信州・長野県の基幹産業である製造業、農林業、観光業と21世紀型の労働集約的産業である福祉・医療、教育、環境が、3×3として相乗効果を発揮した、活力溢(あふ)れる信州経済を創(つく)ってまいります。また、信州で働く人々は、いつでも自らが必要とするスキルを習得でき、働くよろこびと生活の豊かさを実感できる社会を築いていきます。
 産業活性化と雇用創出の取組を推進するため、平成15年2月に策定した「産業活性化・雇用創出プラン」につきましては、各分野での事業展開により、今年度の雇用創出目標(常勤的雇用5307人、短期的雇用20万9340人日)を達成する見込みでございます。今後も、付加価値の高い産業を地域から育てていく、という心意気の下、積極的に施策を展開してまいります。
「よろず承り」、「椅子を温めない商工部」の精神で、昨年11月からバトラーサーヴィスを実施しております。机上の議論だけでなく中小企業の皆様の中へ積極的に飛び込んで、課題解決まで一人の職員がバイネーム(責任担当制)で対応する新機軸です。2月17日までに1133の企業を訪問し、118件のご相談をいただきました。
 幸いにして、販路拡大や技術支援などのご相談を始め県営産業団地への立地希望に繋(つな)がる成果も生まれ、目線の低さや温性の高さを抱く営業パーソンとしての在り方をOJT的に体得させていただいております。今後とも地域に根差した産業の自律的な営みを、きめ細かく支援してまいります。
 さて、本県の基幹産業が地域の中で多くの雇用を生み出せるよう、環境に配慮した工場等の新増設を行い、10人以上を新規に雇用した企業に対し、「環境配慮型企業投資応援助成金」を交付することとしております。現在までに当初の予想を大幅に上回る9件の事業認定を行いました。これは県内外の企業に対し、本県内への工場等新増設の動機付けに繋(つな)がっており、回復基調の信州経済に好ましき影響を与えております。
 引き続き本県の基幹産業であるものづくり産業をソフトパワーとしての営業パーソン精神も含めて積極的に支援を展開し、地域雇用を確保し信州経済の持続的発展に繋(つな)げてまいります。
 人口減少社会が益々進む中でも、県内各地には創業意欲を持つわか者が数多く存在し、彼ら彼女たちの動きも活発化しています。しかし現実には、そうしたチャレンジ精神旺盛(おうせい)なわか者たちが創業を希望しながらも、資金調達不足などにより創業まで至らないケースが多々あります。
 そこで、県制度資金に「わか者起業支援資金」を新たに創設し、金利年1.5パーセントと、今までにない低金利融資で起業意欲のあるわか者の創業を重点的に支援することといたしました。また、こうした起業意欲が目に見える形で実現されるよう、県内10箇所にあるチャレンジ起業相談室の起業支援能力の向上に取り組むとともに、中小企業振興公社とバトラーとが 密接な連携を図り起業支援をしてまいります。
 雇用情勢が回復する中においても、障害のある方の就業に至る環境は依然として厳しい状況が続いております。社会部、商工部が密接に連携しての本県の取組は全国的にも高い評価を得ていますが、さらに企業の障害者雇用を促進し職場への定着を一層推進するべく、地方事務所の求人開拓員による企業への提案型の求人開拓など無料職業紹介を行うとともに、障害者職業訓練コーディネーターを増員し、就業に役立つ準備訓練や企業での実践訓練の充実を図ってまいります。
 本県の基幹産業である、ものづくり産業の競争力を支えてきたのは、紛れもなく、優れた技能や技術を継承し育(はぐく)んでこられた方々であります。一方、いわゆる「団塊の世代」が2007年以降に順次60歳の還暦を迎えられ、ものづくり現場を支えてきた技能者・技術者が引退し、それに伴って信州のものづくり産業が衰えるのでは、との懸念が生まれています。
 このため、不足している技能・技術を高めたいと望む中小企業の皆様方に、長年培った様々な技能・技術を持つ企業OBの方々を紹介し、その現場で指導・伝承していただく仕組みを、全国に先駆けて整備してまいります。また、ものづくり現場の在職者を対象に人財の育成を図る「信州ものづくりスキルアップ事業」の講師にも企業OBを活用するなど、地域に存在する優れた技能・技術を発掘、継承することにより「人財宝庫・信州」の実現を目指してまいります。
 次に、信州のブランドづくりについて申し上げます。昨年9月に県下の産学官が良い意味で協働して策定した「信州ブランド戦略」に基づいて、多くの人が「買いたい」、「来たい」、「住みたい」信州、県民が誇りを持てる信州を実現するため、市町村や事業者を始めとする皆様からの要望を受け、ブランドづくりに必要な県内外のお客様のニーズの把握とサーヴィス向上に繋(つな)がる支援を行います。既に、小布施町では栗の小径や歴史豊かな景観により培われた小布施の個性やイメージを活(い)かして、地域性豊かな地元産の農産物を「小布施やさい」として根付かせていこうと自律的な取組が開始されています。
 こうした取組がさらに各地で数多く勃興(ぼっこう)するよう、地域の皆様と協働してブランドづくりを支援する「ブランドづくりのよろず相談窓口」として県がお手伝いするとともに、お客様の視点に立ったブランド化に向け、県内事業者の皆様の意識改革を図る「信州ブランド・フォーラム2006(仮称)」を引き続き開催し、信州ブランドの確立に努めてまいります。

 次に、豊かな自然資源を活(い)かし、命を育(はぐく)む基盤産業として農林業の充実を図る『郷(ごう)』です。
 改めて申し上げるまでもなく、持続可能な農林業を構築し、県民の皆様とともに信州の美しい自然を守ります。
 まず、森林整備の取組について申し上げます。県土の8割を占める森林を育て、美しい自然を守るため、平成17年1月に全面施行された「長野県ふるさとの森林づくり条例」に基づく、「信州の森林(もり)づくりアクションプラン」を進めてまいります。
 実績間伐から計画間伐へと発想と実践の転換を図った信州は、12年間で25万ヘクタールの森林整備を目指し、計画的・効率的に間伐を進めるべく団地化を設定し、平成18年度は1万7千ヘクタールの間伐を実施してまいります。
 また、多岐にわたる森林整備事業を目的に応じて3事業に編成し、補助事業については、補助率を統一した上で、社会全体の財産としての森林づくりに取り組んでまいります。そして、森林資源を有効活用することで、森林の整備保全を進めるため、間伐材の有効利用による循環型社会の構築を目指し、ウッドチップや燃料としてのペレットの利用拡大を支援してまいります。
 ウッドチップに関しては、県自ら県管理施設や県有地で「信州発」となる新たな工法を実験的・実証的に実演し、積極的に展示を行い、その工法を採用した工事を増やすことで、民間での利活用を促進し、幅広くチップの需要拡大を進めてまいります。また、脱化石燃料社会の象徴として、現在、県庁舎のロビー及び県民ホールで訪れる人々を温かく迎えている信州型ペレットストーブを、飛躍的に普及させる足掛かりとして、県有施設に積極的に導入するとともに、商店や宿泊施設など多くの人々が体験していただける波及効果の高い民間施設への導入を支援し、バイオマスエネルギーを活用したストーブの暖かさを実感し、その結果としてぺレットストーブを多くの方に ご利用いただくことで、ペレットの利用を拡大し、間伐材の有効利用を進めてまいります。
 野生鳥獣による被害対策につきましては、緩衝帯の整備を進めるなど対策を講じておりますが、集落自ら考え、適切な対策を講じていけるよう、野生鳥獣と向き合える多様な人財を継続して育成し、人と野生鳥獣との軋轢(あつれき)のない共存関係の確立を目指してまいります。狩猟等で捕獲された野生鳥獣は今、信州の魅力溢(あふ)れる食材、ジビエとして生まれ変わっています。この信州ジビエに関し、捕獲から販売に至る工程ごとの衛生管理基準に基づいた適切な処理を推進し、自主検査や第三者機関による人畜共通感染症の保有状況の調査など衛生検査管理体制を確立し、安全・安心・安定した供給に取り組んでまいります。
 信州の豊かな自然と環境を守り、消費者により質の高い農産物をお届けするため、平成16年度から環境に負荷を与える農業から自然と共生する農業へ転換を進めています。
 農業は、「命を育(はぐく)む産業」であり、健全な「大気、水、土」の再生なくしては持続性の高い農業生産は成り立たないという方針を踏まえ、農業の原点である「土づくり」を基本にし、地域における化学合成農薬や化学肥料の使用量を従来よりも50パーセント以上削減する「レスザン50」栽培を進めてまいります。
 平成18年度は水稲の実践地区を県下8地区から30地区に拡大するとともに、野菜の大規模実践品目を従来のレタス、セルリーに加えてキャベツ、白菜にも拡充してまいります。「レスザン50」も「長野県原産地呼称管理制度」も、いたずらに量の拡大を目指すのではなく、安全で安心で安定した質の充実を図り、その努力と成果が評価されることで、納得してお買い求めいただき消費者に喜んでいただける、幸せのイールド(利益率)を生産者・販売者・購買者の三者で分かち合える信州農業を実現しようとする試みです。とりわけ、明確なヴィジョンをもった自律的な農業者が利益率を高めてもらえる農業革命に向け、取り組んでまいります。
原産地呼称管理制度では、消費者の皆様においしくて「安全」で「安心」をお届けするべく、まずは客観的なデータを示した上で、ソムリエの田崎真也氏を始めとする、優れた勘性を有する目利きによる厳しい審査をクリアした日本酒、ワイン、焼酎、米を認定してまいりました。来年度は牛肉を制度化し、さらに信州の地理的条件を活(い)かして、そば粉の制度化に向け検討してまいります。
 また、生産者と消費者の距離が近く、生産者の相貌(かお)が見える農業を展開するのに最もふさわしい本県において、自主自律・自己責任の経営者へと脱却し得る意識と覚悟を備えた農業者を、従来にもまして支援してまいります。

 次に、観光交流空間を創造する『温』です。
 信州・長野県の恵まれた地域資源を活(い)かし、人の交流を通じて経済的にも意識的にも活性化された、日本の温(ぬく)もりの場、世界への文化発信の場として育ててまいります。
美しい自然、数多くの温泉など、様々な魅力を持つ本県の「素材」と、訪れる人、迎える人が共に喜び合い感謝し合える「志」を築き上げるべく、キャッチフレーズ「シンシュー・ベリーマッチ」の下に観光振興を図ってまいります。
 財団法人日本交通公社の調査によると、信州・長野県が高原リゾートや登山・山歩きにおいて、行ってみたい旅行先として4年連続日本一となっております。
 こうした、スキーのみならず様々なアウトドア資源を活(い)かした「動」の魅力と、「『安心、安全、正直』な信州の温泉表示認定制度」や「長野県原産地呼称管理制度」などがもたらす「静」の魅力のコンテンツを様々に組み合わせ、都市生活者の世代に応じて情報発信する観光ブランド日本一“信州”構築事業により、信州・長野県の意欲ある観光地への誘客促進を積極的に展開してまいります。
 さらに、プロモーションなどの誘客活動により信州・長野県への訪問を動機づけられたお客様には、旅行エージェントなどとのタイアップによる具体的なプランのご提供やホスピタリティ向上を図り、高い顧客満足を提供してまいります。
 本県観光の活性化のためには、新しい観光客層として外国人観光客の誘客促進が不可欠なことから、国際的に「信州」としてのイメージアップを図るため、隣接県との広域連携を含めてアジアを中心とした海外からのお客様をお招きすることが重要です。昨年12月には、台湾でのキャンペーンが功を奏して、三つの高等学校の修学旅行先に信州が選ばれ、184名の若者を県庁舎の講堂で、予期せぬ大雪のプレゼントと共にお迎えしました。また、現地企業と提携して、日本一の長寿地域・信州の、その長寿の秘訣(ひけつ)と言われるリンゴの木のオーナー制度をスタートさせました。契約された台湾の方の名札を木に掲げ、年間150個のリンゴをお届けするものです。早くも多くの方々に、ピンゴーと呼ばれる信州リンゴのブームが捲(ま)き起こりつつあります。信州の魅力の発信や外国人向けの観光ルートの開発などを積極的に行い、観光ブランド日本一“信州”を確立してまいります。
 都会にお住まいの皆様に、信州の農村、農家ならではの魅力を満喫していただき、都市農村交流を推進するため、農家民宿への支援体制を整え、「信州・農家の宿」の育成、ブランド化を図り、農村地域の活性化を推進します。
 信州を訪れてくださる観光客の皆様にとって、「おみやげ」は観光地の評価・印象に大きな影響を与え、「また訪れてみたい」とリピーターになっていただける重要な要因となっています。このため、信州みやげについて「安心・安全・正直」な原料原産地表示を推進するとともに、これらのPR・デザイン支援を行い、信州の観光地の魅力アップと顧客満足度を向上させてまいります。
 空の玄関口「信州まつもと空港」の活性化に関してです。ここ数年来、複便化、利便性の高いダイヤの実現や、国際チャーター便の誘致等、海外を含め、より多くのお客様にご利用いただけることを念頭に取組を進めてまいりました。昨年3月に海外から初の直行チャーター便が就航して以来、これまでに香港ドラゴン航空と台湾の中華航空による合計8便が運航され、延べ922名の方々にご利用いただき、いずれの皆様からも、信州観光へのご満足の声を頂戴(ちょうだい)しております。懸案でありました空港運用時間延長に関しても、地域の方々の深いご理解とご協力をいただき、去る1月31日、国土交通省に延長要望書を提出したところです。運航会社に対し引き続き複便化等を要望するとともに、日没後の安全運航を確保するための航空灯火設置に向けた調査、地域の皆様からご要望いただいた騒音調査等を実施してまいります。
 木曽谷、伊那谷を結びつけた権兵衛峠道路・姥神(うばがみ)峠道路が、2月4日に開通しました。それは単なる「通過道路」ではなく、一人ひとりが自律的に交流を行い得る道路なのだと、当日の記念式典で申し上げました。300年余の昔に初めて峠越えの道を切り拓(ひら)いた古畑権兵衛氏も、民の交易を願えばこそ苦難の開道に取り組んだのでしょう。
 単なる通過点でなく、信州を愛してくださる方々を心からお迎えできる地域を創(つく)ろうと、木曽谷で既に完備されている木曽グリーンの統一サインに触発され、伊那谷においても屋外広告物を統一しようとする取組が開始されています。地域の皆様のこうした意欲ひとつひとつが、真の交流を発信できる時空としての信州・長野県を形創(づく)っていくのです。

 最後に、誰もが安全に、安心して暮らせる社会の基盤を守り、活(い)かして、確かな信州を支える『基』です。
 災害への備えを万全に行うことは無論、日々の暮らしを安心・安全に営んでいただけるよう、地域コモンズの皆様と共に基盤構築を進めてまいります。既に今年度、災害により交通手段が途絶する可能性がある山間集落に対し、従来の役場単位よりもきめ細かく集落単位で、食糧を中心とする災害備蓄緊急配備を実施いたしました。この本県の発想に触発される形で、国全体での取組へと発展しつつあります。18年度はさらに、災害発生直後、被災した皆様に安心してお過ごしいただけるよう、毛布、タオル、おむつ、トイレなど日常的な生活必需物資を、災害救助基金を活用し、広域的に配備してまいります。
 重篤救急患者への医療確保のため、救命救急センターの運営に関する経費の助成を行ってまいります。他の都道府県には例を見ない、救急医療の専門家による第三者機構からの合理的かつ先進的な評価を受けながら、信州・長野県の救急医療体制整備を進めてまいります。昭和伊南病院は定められた救急専従医を置くことなく、独自の方式で救命センターを運営すると、院長自らが公式の場で発言されております。救命センター設置には国によって定められた基準があり、この基準を県が単独でくつがえすことはできません。
 私どもはここに設置されていた、1日10万円の補助金のつく救急重症ベッド30床を、他の病院に10床ずつ再配置して救命センターとして認可し、広い南信地域全体をカバーできるような新たな3次救急システムを構築して参ります。
 昨年7月1日から運航を開始したドクターヘリは、1月末までに136回救急出動を行い、かけがえのない多くの生命を救っています。18年度も引き続き万全の運航体制で臨むとともに、災害発生時にドクターヘリ、防災ヘリ等が、より連携して救急活動、救助活動を行えるよう、ヘリ用防災行政無線設備を構築してまいります。
 県民の皆様が多く利用される県有施設へ、自動体外式除細動器(AED)を今年度は124台配備いたしました。18年度もさらに30台を購入し、配備施設を増やすとともに、新たにインストラクター講習会や高校生への普及啓発を行って、早期の応急処置による救命率の向上に努めてまいります。
 アスベスト対策につきましては、先程申し上げました廃アスベスト等処理施設の届出の制度化に加え、アスベスト取扱い事業者及び県内12箇所の定点における、大気環境中アスベスト濃度のモニタリングの実施、吹付けアスベストの除去を行う民間の建物所有者への助成など、安全な生活空間の確保に向けて多角的に取り組んでまいります。県有施設については、アスベストの除去が完了していない施設や含有が認められた施設について、昨年、予算を専決処分させていただき、速やかに一部対策工事を行ったところですが、18年度も引き続き、高等学校など県民の皆様が長時間、高頻度に利用される空間を優先し、計画的に対策を実施してまいります。
 治安に関しましても、県警察本部と連動し更なる充実を図ってまいります。
地域の安心ステーションである交番・駐在所を核として、地域に密着したサーヴィスを提供し、治安を充実させてまいります。警察官を50名増員してパトロールの強化、捜査力の拡充を図るとともに、昨年9月定例会にて補正予算をお認めいただき、40名を増員配置した交番相談員を、18年度には県内88箇所全ての交番に配置すべく、さらに43名を増員し、未配置交番33箇所に加えて、繁忙交番10箇所へ複数名を配置し、県内の空き交番を解消することにより、コモンズにおける安心・安全の拠点として交番の機能強化を図ります。
 同時に、建替え予定の5箇所の交番・駐在所には県産材や太陽光を活用して、温(ぬく)もりに満ちた確かな信州の象徴として整備を行ってまいります。
いざという時、県内に在住する旅行者の方々を含めて、県民の安全を守るべく構築を進めてきた本県の国民保護計画は、策定作業が最終段階に入っております。18年度はさらに、全市町村、また指定地方公共機関においても計画策定が行われるため、私どもの職員がそれぞれ足を運ばせていただき、より実効ある計画となるようお手伝いをさせていただきます。
 また、安心・安全確保における「縦割り」の弊害を排すべく、18年度より県、市町村の枠を外した道路管理を試行します。県道・市町村道の一体的除雪、県道の維持補修を一部、より身近な市町村へ委託するなど、かねてより各自治体へ派遣されている多くの技術職員の力も活(い)かして、コモンズに密着し、真に効率的な社会基盤管理のあり方を模索、実践してまいります。
 平成18年度の組織改正について申し上げます。
 昨年9月定例会に提案した組織再編に関する条例案に関し、12月定例会冒頭で私は、「仮に継続審議という宙ぶらりんな状態のままで年を越して、2月議会の冒頭でお認めいただけたとしても物理的に新年度の組織再編は不可能であり、今12月議会で是非とも条例案の諾否をお決めいただかなければなりません。」と申し上げました。去る平成14年10月に超党派の議員で構成された「行財政改革調査特別委員会」の「調査報告書」に沿った、およそ20年ぶりの大規模な組織再編は、市町村長や県民の皆様からはご賛同やご期待をお寄せいただいたものの、県議会の皆様からは9月定例会に続いて再び可否のご判断をいただけませんでした。部局の見直し、地域本部や福祉健康事務所の設置などを4月に実施することは見送らざるを得ません。県民の皆様には大変申し訳なく感じております。
 改めて県民の皆様の視点に立ったとき、人口減少や少子高齢などを背景として多様化する地域の課題解決に向け、より良いサーヴィスを行わせていただかねばと考え、新年度に向けて、現行の条例に基づき、組織再編案の趣旨である、「縦割り型組織の弊害の除去」、「地域主権」を目指して可能な限りの組織改正を行うことと致しました。今回の改正は、総合愛情産業、総合奉仕産業として、私を始め職員一人ひとりが県民の皆様に、より的確で、迅速、きめ細かなサーヴィスをお届けし、ご満足をいただくために必要な改正であります。

 条例案は、新設条例案4件、廃止条例案3件、一部改正条例案24件です。
 先程も申し上げましたとおり、「長野県地球温暖化対策条例案」は、信州・長野県から、持続可能な脱温暖化社会を構築するための大きな仕組みを発信するものです。
「廃棄物の発生抑制等による良好な環境の確保に関する条例案」は、県民の皆様と県と市町村が協働で、水平補完、水平協力という形で廃棄物施策を展開するものであり、まさに廃棄物行政の信州モデルとして全国からも注目・期待されています。
 また、「信州に安全・安心・安定をもたらす県民を応援する県税の特例に関する条例案」は、創業、雇用、福祉、環境等に関し信州に安全・安心・安定をもたらす取組を積極的に行う県民を応援するため、創業促進税制の拡充・延長を行う他、障害者や母子家庭の母の雇用に取り組む中小企業や個人の事業税を減税するものです。
 「特別職の職員等の給与に関する条例の一部を改正する条例案」に関してです。これまで長野県では、特別職の給料・報酬改定が10年間も行われず、退職手当支給率に至っては40年以上もの長期間、据え置かれてきました。地元紙「信濃毎日新聞」にも寄稿する経済アナリストの森永卓郎氏を会長とし、慶應義塾大学経済学部教授の金子勝氏ら4名を委員とする長野県特別職報酬等審議会は、多くの自治体の審議会において従来、報酬の全体像を把握せずに月額給料や退職手当といった部分的議論に終始してきたことへの反省に立ち、各特別職の役割・職務・責任と成果をいかに評価し、その評価結果を給料・報酬水準にどのように反映させるべきか、根本に立ち返っての議論を重ねて下さいました。
 各特別職の給与報酬は、その役割・責任・成果に応じたものであること。非常勤特別職である県議会議員の報酬が、給与カット後とはいえ常勤特別職である出納長や教育長の給与を上回るなど、非常勤特別職と常勤特別職の役割・職務の相違が報酬に適切に反映されていないこと。地方議会議員の職務実態が、国会議員とは異なるにも拘(かかわ)らず、議員年金制度等、国会議員を摸(も)した制度が存在すること。以上3点を踏まえながら、各特別職間の均衡の取れた給与・報酬体系の構築を試み、こうした議論の中から、各特別職に対する公費負担の実態を総合的、包括的に捉(とら)えることが極めて重要であるとの結論に至り、その具体的方法として、「実質年間受給額」方式が提案されたところです。
 これは、単に本県での導入に留(とど)まることなく、今後、他の都道府県や市区町村においても「信州モデル」として採用されるものと思われます。
 なお、厳しい財政状況を考慮し、私については給料の10パーセント、私以外の常勤特別職については5パーセントの減額を2年間行うことを併せて提案するものです。
 また、この3年間に亘(わた)って財政改革に協力下さった一般職員で構成される地公労共闘会議(長野県地方公務員労働組合共闘会議)の方々が、人事委員会勧告に基づく、給与構造の改革に伴う給与制度の改正。さらには時代状況の変化の中で、給料の調整額、諸手当の見直しに関しても引き続き交渉を行い、5月末までに結論を得ることに同意いただいたことにも感謝申し上げます。
 事件案は、全国自治宝くじ事務協議会規約の一部改正についてなど31件でございます。
 このほか、専決処分の報告は、平成17年度長野県一般会計補正予算(第6号)の専決処分報告など6件でございます。


 イタリアの北西部ピエモンテ州のトリノ市にて、第20回冬季オリンピック大会が開催されています。開催都市のトリノが招致活動において節度を保ったのは、ファン・アントニオ・サマランチ前会長時代に商業主義へと走り過ぎた反省からだと伝えられています。元東洋信託銀行副社長の磯村元史氏を会長とする「長野県」調査委員会が昨年11月25日に公表した「長野冬季オリンピック招致委員会会計帳簿処分問題」についての調査報告書は、約9000万円の使途不明金が存在し、IOC(国際オリンピック委員会)が規定した制限額の24倍ものお土産をIOC委員に手渡し、それ以外の接待関連費用も判明しているだけで総額5億1221万円に上ることを明らかにしました。総額28億3400万円もの長野オリンピック招致活動費の中には、同じく判明分だけでも2億5983万円の県負担金が税金から投入されています。長野県からの交付金に至っては、9億2000万円です。
 「長野県」調査委員会からの面談要請に対し、吉村午良前知事は書面で拒否の意思表示を行いました。語りたくない事情が、有られるのかも知れません。けれども、今回の報告書は、「ワシントン・ポスト」を始めとする諸外国の多くのメディアで報じられています。国内でも大阪の朝日放送は番組で特集を組み、開催から8年経った今でも、ある意味では県内の新聞やテレビ以上に高い関心を集めているのです。
 「長野県」調査委員会は、公的な捜査権限を有さぬ中で、焼却されたと巷間(こうかん)、伝えられていた帳簿のコピーを発見し、委員諸氏の奮闘により、ここまでの調査報告を纏(まと)めました。この更なる解明こそは、金メダルだけでも5個を日本にもたらした長野冬季五輪の真の名誉回復に繋(つな)がります。であればこそ、この件に関し、今こそ地方自治法第百条に基づく調査機関を長野県議会は設けるべきではないか、と私は考えます。
 「結局は政争の具ではないか」と新聞紙上でも報じられ、仮に事実に基づかない「偽証」認定を基に刑事告発を行えば逆に、その行為自体が刑法第172条に言うところの「虚偽告訴罪」即(すなわ)ち、他人に刑罰や懲戒を受けさせる目的で、起きていない犯罪の発生を司法機関に申し出る行為となる可能性すら大、と語られている現在の百条委員会の名誉挽回のためにも。

 例年になく早い時期からの降雪により、この県本庁舎の周囲も深い雪景色に包まれた昨年末、職員の発意で、職員自らの手で庁舎周辺の歩道の除雪が行われました。さらに本年1月には、如何(いか)なる理由からか、道路管理者である長野市の手が行き届かず、住民の方々も苦慮していた県庁舎西側市道の凍り固まった圧雪の轍(わだち)を、多くの職員が自発的に集い、撤去してくれたのです。各課で何名という強制動員ではなく、職員相互が自発的に声を掛け合って、常に数十名がヴォランタリーに参加する、こうした光景こそは、まさに水平補完のリージョナル・コモンズの精神を長野県庁そのものが体得しつつあることを示しています。
今年1月5日からは、県本庁舎の部局長等が交代で、サーヴィス業務体験を始めました。来客用トイレ掃除を行った職員からは「清掃する人の身になってトイレを使わなければいけない点を痛切に感じた」、雪かきを行った職員からは「豪雪地域で雪下ろしや雪かきに毎日追われておられる県民の大変さを実感した」と、普段とは異なる業務体験を経て、自らの意識改革に繋(つな)がる新たな発見を得たことが、事後のレポートに数多く綴(つづ)られています。
 “子ども記者体験”という新しいメニューを、これも若い職員の発案で実現し、庁舎各階の多くの課を小学生が日々訪れている「ワクワク・ドキドキ県庁見学」は、来訪児童数が全国一という人気の高さだけでなく、子どもたち、のみならず教師にも、そして私どもの職員にも、人と人、心と心のふれ合いがあればこその多くの感動を生み出しています。次代を担う子どもたちに、弁証法的に他者との冷静な相対化の中で信州・長野県を真に愛する心を伝えたいと取り組む職員たちの願いは、マスメディアによる大量消費型の情報流通とは対極にある、顔と顔、手から手へのコミュニケーションを経て、確実に子どもたちの心に届いていることが、見学後に寄せられた多くの手紙に記されています。過日の部長会議で紹介された文面を拝見し、私のみならず多くの部局長が目頭を熱くしました。
 喜んでいただいた表情、言葉こそ至高のプレゼントと感じられる、そうした働きの場に今、私たちの職場は変わりつつあります。職員自らも内なる人間性を再確認し得る取組が、自発的な、部局横断的なプロジェクトとして日々行われていることこそ、信州・長野県が総合愛情産業として着実に歩み出し、官から公へと意識改革が進みつつある確かな証(あかし)と言えます。
 誠実で克己心に富み、謙虚で向上心に溢(あふ)れる県民性。それは私と共に働く県職員のみならず、共に300名近い人々がお集り下さった1月21日の大鹿村、2月19日の小諸市で開催した車座集会での、県民の皆さんのご発言をお聞きする中でも改めて実感しました。
願わくば、それら220万県民の代表たる58名が集う県議会の場においても、本県民の民度の高さに相応(ふさわ)しき、共に信州・長野県を創(つく)り上げていく上での創造的議論が今2月定例会において行われんことを。

 以上、今回提出の議案に関するご説明を申し上げました。ご審議及びご議決のほど、お願い申し上げます。

平成18年2月県議会定例会における知事追加議案説明要旨はこちら

平成18年2月県議会定例会における知事追加議案説明要旨(3月10日)はこちら

平成18年2月県議会定例会における知事追加議案説明要旨(3月27日)はこちら

<お問い合わせ先>
■このページに関するご質問及びご意見は、 経営戦略局までメールもしくは下記にご連絡ください。
信州広報・ブランド室 Tel 026-235-7054 Fax 026-235-6232
▲このページのトップへ  
Copyright Nagano Prefecture.All Rights Reserved.
各ページに掲載の写真・音声・CG及び記事の無断転載を禁じます。