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平成17年2月県議会定例会における知事議案説明要旨


 本日ここに、平成17年度当初予算案をはじめとする信州・長野県の重要案件に関する御審議の機会を得ました。
 提出議案の説明に先立ち、新年度の県政運営に向け、私の所信を申し上げます。

 平成12年(2000年)10月の就任以来、私は、県民の目線、税金を納める者の立場に立った県政を、そして、当たり前のことを、当たり前に語り合える開かれた県政の実現を目指してまいりました。「行政とは、220万県民の命を守り、真の県民益をもたらすべく、継ぎ目のないサーヴィスを提供する機関である」との哲学に基づき、日々の仕事や議論を通じて、こうした理念を職員と共有し合える職場環境と県政運営を心掛けてきました。
 他の多くの都道府県では、国会議員であったり、市町村長であったり、経済人であったり、学者であったり、基本的に知事という存在は、行政組織の外から訪れるものです。知事が代われば県政哲学も県政運営も変わるのだと、職員は理解しています。無論、その議論の過程では知事も部長も係員も臆(おく)せず意見を述べ合うでしょう。しかし、一旦、方針を決めたなら、明確なリーダーシップの下で県民のために皆が力を合わせる。それがパブリック・サーヴァントの要諦(ようてい)です。民間企業とて、同じでありましょう。
 が、長野県は私の就任前、県職員出身者が40年以上の長きに亘(わた)って県知事を務めてきました。ですので、就任から間もなく、当時の複数の県幹部から、田中知事は県職員の仕事の仕方に歩み寄ろうとしない、と"苦言"を呈されました。私たちは県民に喜んでいただくサーヴィス業である、と述べた際にも、サーヴィスなどという商いを行うために公務員となったのではない、と"反論"されました。
 そういうものだろうか、と私はしばし悩みました。しかし、程なく、サーヴァント・リーダーとしての私は、パブリック・サーヴァントである職員とともに、私利私欲とは無縁の県民サーヴィスに邁進(まいしん)すべきなのだ、と心得ました。幸いにして4年間で着実に確実に、従前にもまして県民のための奉仕者として働くことに喜びを見出してくれる職員が増加しています。あるいは中には、高い目線でも平気だった往時を懐かしむ職員も、ごく少数、残っているかも知れません。が、私は彼らや彼女らも必ずや近い将来、ともに真の県民益創出のために働く意欲を抱いてくれる、と信じています。
 なぜならば、信州・長野県に暮らす人々は、常に向上心を忘れない、民度の高さで知られるからです。私は、そうした地で学び、働き、暮らす方々のために仕える自分の人生に、喜びと誇りと感謝の念を抱いています。


 我が国の財政状況は、国と地方を合わせた長期債務残高が年々増加し、平成17年度末には774兆円程度に達する見込みであり、既に国家的破産状態であるといっても過言ではない、大変厳しい状況にあります。
 一方、平成12年(2000年)、私の知事就任時の長野県の財政状況は、県債残高が1兆6,401億円、起債制限比率が16.4パーセントと、全国ワースト2位の状況でした。早急に手だてを施さねば、平成16年度、即ち今年度には財政再建団体へと転落不可避だったのです。しかし、こうした危機的状況に長野県財政が置かれていた事実は、残念ながら私たち県側からの広報不足もあってか、当時は県内全体の共通認識とはなっておりませんでした。
 今こそ長野県を救わねば、との危機感を共有する職員とともに私は、長野県再生のための財政改革推進プログラムを策定し、「選択と集中」の発想を徹底し、事業の再構築、人件費や投資的経費の削減等により、財政再建に向けて財政改革を積極的に推進してまいりました。
 財政改革推進プログラムにおきましては、様々な財政指標をありのままの姿で公表し、その中でどのように私たちは財政の健全化を目指し、自律的にやっていくのか、県民の皆さまも巻き込んで一緒に考え、ご理解をいただきながら、県債発行の抑制に努める方針へと一大転換を図るなど財政改革に取り組んでまいりました。私の就任前、平成11年度までは県債発行額が県債償還額を上回る、毎年数百億円の借入超過状態が続いていましたが、不要不急の起債を抑制することで返済超過へと逆転させ、この結果、全国の都道府県で唯一、本県のみが平成14年度から15年度にかけて累積債務である県債残高を、普通会計で178億3千万円減少させることができました。また、私の就任前の平成11年度に1日当たり1億4,812万7千円あった利息支払額は、就任後3年間で1日当たり1億1,513万5千円に減少いたしました。これは1日当たり3,299万2千円、年間にして120億4,199万6千円の利息支払額の減少になります。
 県民の皆様のご理解と、警察、教育部門を含む職員の協力に感謝を申し上げす。

 しかしながら、こうした本県の努力にもかかわらず、今や言葉ばかりが独り歩きしている感も強い「三位一体の改革」により、平成16年度は本県の地方交付税が、臨時財政対策債を含めても、前年度に比べ302 億円、9.8パーセントものマイナスとなっております。本年度も地方財政計画では地方交付税の総額が前年度と同程度確保されたものの、地方交付税の実際の配分が道府県から市町村へシフトする見込みであることから、さらに前年度に比べて74億円の減額となる見込みであります。また、義務教育費などの税源移譲に結びつく国庫補助負担金の削減や、社会福祉施設等施設・設備整備費補助金などの国庫補助金の交付金化では代替財源が確保されることから本県への直接的な影響は生じませんが、河川修繕費補助金などの国庫補助金の廃止により本県へ2億円程度の影響が生ずる見込みであり、本県を取り巻く財政状況は依然として厳しい状態が続いています。
 こうした状況を踏まえ、引き続き、さらなる財政の健全化に向け、不退転の決意で臨んでまいります。
 無論、これまでも財政改革に積極的に取り組みながらも、決して縮み思考に陥ることなく、「過去を溶かし、現在(いま)を育(はぐく)み、未来(あす)を創る」の精神で、身近な社会資本や森林の整備、福祉・医療、教育の充実や治安をはじめ安全で快適な生活環境の整備などの施策に関しては、真の県民益実現の観点から重点的に展開してまいりました。引き続き、溶かすべきは溶かし、育(はぐく)むべきを育(はぐく)み、創るべきを創る信州・長野県でありたく存じます。
 「コモンズからはじまる信州ルネッサンス革命」をさらに推進するため、「優しさ・確かさ・美しさ」、「智性・勘性・温性」、「的確な認識・迅速な行動・明確な責任」に加え、新たに「ばか者・よそ者・わか者」を本県改革のキーワードとして、職員のみならず県民の皆さまと共有してまいります。
 ばか者とは阿呆という意味ではありません。良い意味で次代を見通す尖った智性と勘性を持ち合わせ、他者への思いやりに満ちた温性を有する人物のことです。本県で言えば、小布施町には幾人かのばか者が存在し、栗の木を埋め込んで歩道を設けるなど、人間性の回復を感じさせる街づくりを試みていました。単なるドン・キホーテに留(とど)まらない情熱家がいる街には、その雰囲気に魅力を感じて、しがらみとは無縁のよそ者が移り住みます。良い意味での刺激が、彼らや彼女らによってもたらされると、年齢に関係なく街を愛する人々が、進取の気性に富むわか者の心を取り戻して、活動し始めるのです。それは活力溢(あふ)れるコモンズの再生につながります。
 常に冒険心を失わず、夢と希望の持てる、思わずワクワク・ドキドキするような、しかも目に見える形で変化が生まれる施策を、信州・長野県は創出してまいります。
 こうした私たちの取組と成果は、時事通信社が編集・発行する「地方行政」を始め、行政分野の複数の専門紙誌でも特集記事として紹介されております。例えば福祉・医療では大規模施設に過度に依存しない宅幼老所やグループホーム、産業では3×3(スリー・バイ・スリー)による相乗効果を発揮した活力ある産業構造の転換、建設産業構造改革への支援、予算総額の3割を占める「人件費こそは最大の事業費」という職員の意識改革に基づく「ゼロ予算事業」の実施、持続可能な脱温暖化社会構築のための象徴ともいえる信州型木製ガードレールの開発設置など、たくさんの個性豊かなオーナメントとしての施策が、今、信州・長野県という大木に輝きはじめています。
 こうした中、組織依存型・安住型ではなく、自らの智性と勘性、温性を存分に発揮して踏ん張っておられる自律的な個人や企業の方々、正にコモンズ型の事業を展開される方々にも、部局の枠を超えた横断的な施策を展開し、支援してまいります。

 さて、我が国の経済動向に目を向けますと、国内民間需要の増加が続いており、世界経済の着実な回復に伴って、景気回復は底堅く推移するものと見込まれておりますが、情報化関連分野でみられる在庫調整の動きや為替レート・原油価格の動向等、今後の推移を留意していく必要があります。長野県経済は、企業の収益や設備投資の基盤は維持されていることから、全体として引き続き緩やかな回復基調にあるものの、電気機械を中心とした生産面での足踏み感がうかが窺われております。こうした中、雇用面では全国の有効求人倍率が未(いま)だ1倍に達していないのに対し、県内では平成16年6月に1倍台を回復して以来、その水準を保ち続け、平成16年12月には1.05倍となりました。
一方、現在国会において審議されている平成17年度の国の予算案を見ますと、一般歳出の規模は47兆2,829億円、対前年度比0.7パーセントの減少と、3年ぶりに前年度の水準以下に抑制される一方、税収については、所得税の定率減税の縮減等により5.4パーセントの伸びが見込まれています。これにより、公債発行予定額は4年ぶりに前年度よりも減額され34兆3,900億円となっていますが、引き続き30兆円を大きく超え、公債依存度はなおも41.8パーセントに及ぶなど、我が国の財政が依然として厳しい状況にあることを示しています。
 ところで、「三位一体の改革」に関しての政府・与党合意は、税源移譲について、既に移譲された今年度分6,560億円も含めて「概(おおむ)ね3兆円規模」とされるなど、地方の側が期待していた姿とは大きく異なり、また、主立った国庫補助負担金の取扱いが今後の議論に委(ゆだ)ねられるなど、その実態は残念ながら、大山鳴動ネズミ一匹にもならぬ、曖昧模糊(あいまいもこ)とした先送りでありました。今後、先送りされた義務教育費国庫負担金や生活保護費等の取扱いに加え、削減が進められることが必至の地方交付税の抜本的改革を含め、平成19年度以降の「三位一体の改革」についても検討がなされることとなります。
 国に対しては、全国知事会議や、全国に先駆けて本県で結成された「地方行財政の自律を実現し地方自治を確立する長野県民会議」等、あらゆる機会を通じて、何よりもまず国と地方の役割分担から根本的に議論するなど、今一度、地方分権改革の原点に立ち返り、太政官(だじょうかん)制度以来の中央集権的な"官治"の制度や仕組みを根底から再構築する必要があることを、今後も主張してまいる所存です。
 また、私は、全国知事会として設けた「国の行財政改革評価研究会」の座長として、国の行政改革・財政改革についての評価・検証を進めてまいりました。事務局を務めております本県の経営戦略局と企画局の職員の献身的努力に支えられて、昨年12月に中間報告を発表し、「三位一体の改革」の名の下、地方の大きな負担の上に国の財政再建を優先させようとする国のやり方に異議を唱えるとともに、情報公開や入札制度改革、人件費の抑制等に見られるとおり、国の取組が残念ながら、国民も得心できる血の滲(にじ)むような改革努力からは未(いま)だ程遠い状況にあることを指摘し、その要因を分析しました。
 今後、他の知事とも協力して最終報告を取りまとめ、国に対してその在り様の抜本的な変革を迫るべく具体的な提言を行います。それは同時に、地方自治体の姿を映し出す手鏡として、虚心坦懐(たんかい)に活用すべき提言でもあります。
 とまれ、私は多くの有為な職員と向上心溢(あふ)れる県民の皆さまとともに引き続き、私益のない公益の実現を立脚点として、日本列島の背骨に位置する信州・長野県から、閉塞(そく)的なニッポンを変えるべく、疲弊した制度や仕組みを根底から創り変えていく前人未踏の改革に、勇猛果敢に取り組んでまいります。


 それでは、今議会に提出しました平成17年度の当初予算案とその他の案件に関して、ご説明申し上げます。
 平成17年度の当初予算総額は、一般会計8,530億5,719万4千円、特別会計
2,745億6,309万6千円、企業特別会計381億3,873万1千円であります。特別会計は公債費特別会計など11会計、企業特別会計は病院事業会計など4会計であります。

 信州・長野県の在るべき姿を記した『未来への提言〜コモンズからはじまる、信州ルネッサンス革命〜』でも触れられておりますように、森林や河川といった自然環境、道路や上下水道といった社会基盤、教育や医療といった制度資本の三つからなる社会的共通資本は、私たちの社会を構成する自律した個人が享受し合うべき存在です。こうした認識のもと、私たち公僕=パブリック・サーヴァントの権限は、真の意味で豊かな社会の実現を目指して脱・物質主義の21世紀を生きる、自律した県民一人ひとりのためにこそ行使されるべきであり、閉塞(そく)的な現状を追認する団体や組織を維持するために担保されているわけではありません。予算編成に先立ち策定した「平成17年度施策方針」は、私たちのこのような共通基本認識を体現するための一里塚、マイルストーンであります。それは、ただ傍観し、ただ追従するだけの職員を生み出すような旧態依然たる硬直した方針ではありません。自律的にさらなる発想を呼び起こし、一人ひとりの職員自らが絶えず県民サーヴィスの現場で、ディテールという枝葉を試行錯誤しながら、また、そうした繰り返しの中で時には幹本体の形をも変えていく、良い意味で臨機応変な生命を持ったツリーであると考えております。
 全ての予算は、その成果が本当に県民一人ひとりに還元されるようになっているかどうかが厳しく問われなければなりません。また、一人ひとりの職員も、県という組織の一員である前に一人の県民、地域に生きる一住民として、どんなサーヴィスを行う営業マン、営業ウーマンたろうかという、目線の低さや温性の高さを抱かねばなりません。
 与えられた仕事を十年一日の如く処理するだけの事なかれ主義ではなく、良い意味での「おせっかい」の精神を抱き、隣の係、別の課、よその部局をも巻き込みながら、一人ひとりの職員が絶えず、前例に囚(とら)われることなく新しい仕事の形を見出していく姿勢こそ、パブリック・サーヴァントたる私たちに今、強く求められているのです。
 こうした部局横断的な発想を重視して、17年度における県の施策を9つのフィールドに描きました。従来の上意下達型あるいは縦割り行政的な施策を越え、関連する各要素が有機的に連携し、相乗効果を発揮しつつ、より確かな、そして豊かな県民益を創り出していく施策群であります。

 それでは、具体的施策方針に沿って、個別に事業をご説明申し上げます。

 まず、県内各地の地域から広がる活動と住民間のつながりを創る『絆(きずな)』です。 
 県民一人ひとりが、深い絆(きずな)で結ばれ、安心して住み続けることができる社会を信州・長野県は目指します。
昨年、私たちは、制度疲労が著しい我が国・地方制度の仕組みや施策のあり方を根底から変革するためにも、人と人の絆(きずな)を原点として、中央集権的な政策の流れから「地域発」に変え、自律的な市民とともに"コモンズ"に軸足を置いた改革「コモンズからはじまる、信州ルネッサンス革命」をスタートさせました。
 全国4番目の広さを有する我が県が、それぞれの地域の風土や歴史、文化、気質を尊重しながら、自律する信州・長野県としての統一性を目指すコモンズ足りうるには、信頼と協力の絆(きずな)で結ばれた、それぞれの地域に暮らす人々によって構成される市町村も、地域主権の時代に相応(ふさわ)しい「自律したコモンズ」であらねばなりません。
 このため、従来の補助金や交付金に見られる、一律の共通基準による画一的な支援のあり方とは異なる、地域の自主性・裁量性の尊重、縦割り行政の是正、政策評価の徹底といった観点を重視した、総合的かつ戦略的な支援策を導入すべく、「『信州ルネッサンス革命』推進事業(コモンズ支援金)」を創設します。
 意欲ある市町村や県民等と県が、地域に軸足を置いた施策を協働で行う、美しいまちづくり、県境等地域の活性化、ゆたかな森林づくりなどの創意工夫ある取組を積極的に支援することにより、目に見える形での信州ルネッサンス革命の早期具現化を目指します。
 また、地域コモンズの政策的な課題を解決するため、部局横断的なクロスファンクションチームとして「コモンズ支援隊」を編成します。コモンズ・地域政策チームが中心となって意欲あふれる県職員を募り、県職員が有する専門的な知識や技術、ノウハウなどを、日頃の業務にとらわれることなくゼロ予算事業として積極的に提供することで、地域コモンズのさまざまな課題に対し、迅速かつ実効性ある支援策を提案してまいります。
 また、各地域が独自の地域づくりを進めていくためには、地域住民の皆さまが持続的に暮らすことができる生活基盤を整えていくことが大切です。その一環として、木曽地域でのケーブルテレビの施設整備を支援してまいります。木曽地域は、テレビ、ラジオの難視聴をはじめとして多くのデジタル・ディバイド(情報を持つ者と持たない者との格差)を抱えております。木曽地区の町村長との意見交換会に伺ったときにも「長野県で起きていることをテレビのローカル放送でリアルタイムに視聴したい」というご要望が寄せられました。長年にわた亘り、ご不便をおかけしてきたことをお詫(わ)びするとともに、この課題を解消すべく、木曽広域連合が実施するケーブルテレビの整備に対し、木曽地域デジタル・ディバイド解消総合支援事業により支援をしてまいります。なお、この取組は木曽地域に限らず、他の県境の地の皆さま方に向けても積極的に対応してまいる所存です。
 また、IT技術の進展により多くの情報をインターネットから入手できる時代となりましたが、お年寄りや障害のある方の中には普段からパソコンに触れる機会の少ない方がいらっしゃいます。こうした方々に講習用パソコンを載せたITバスが、社会福祉施設や山間地域の集落などに直接お伺いする移動パソコン教室開催事業を実施し、より多くの県民の皆さまがパソコンに触れ、ITを活用していただけるよう取り組んでまいります。
 信州で生活する4万人を超える外国籍の方々や、海外生活が長く日本語や日本の慣習が十分には理解できない方々も、いきいきと活躍することができる「多文化共生社会」の実現にも取り組んでまいります。母国語で対応する相談員「多文化共生くらしのサポーター」や、地域とのパイプ役「地域共生コミュニケーター」を引き続き設置し、より一層充実した行政サービスの提供に努めてまいります。
 さらに来年度からは、災害時に備えて、被災した外国籍県民の不安を解消するために必要な知識・技能を備えた「災害通訳ボランティア」の養成に取り組み、誰もが同じ県民として安心して生活をすることができる社会を形作ってまいります。
 住民の健康増進、及び安全な暮らしの確保にも取り組みます。
 健康増進のための取組の一環として、たばこ対策を進めてまいります。本県では全国に先駆け、昨年12月1日から県有施設における敷地内完全禁煙を開始しました。県民の代表であられる県議会議員の皆さまにも更なるご理解、ご協力をいただき、この取組を「たばこによる害のない信州」の実現を目指す県民運動へと展開してまいりたく存じます。県職員自らが県民、市町村、関係団体へ呼び掛ける「禁煙セールスマン」や、保健所において禁煙希望者へのサポートを行う「笑顔で卒煙クリニック」などを引き続き行うとともに、店内終日禁煙の飲食店に対し、「おいしい空気のお店」として登録マークを交付し、その取組を支援してまいります。
 また、「確かさ」の一環として、消防団の充実を推進してまいります。消防団の皆さまが、出火の際に留(とど)まらず自然災害の折にも、地域の安全を守るべく真っ先に出動し、多大なる活躍をいただいておりますことは、昨年発生した数々の災害現場でも実証されております。関係各位の皆さまに深く感謝申し上げます。長野県では、抜本的な外郭団体の見直しを進める中で、ご承知のように長野県消防協会への県の関与も見直す方針を打ち出しております。これは正に、新潟県中越地震被災地への私たちの支援の考え方と同様であります。金銭的に補助するだけで事足れりとするのではなく、コモンズを守る消防団という絆(きずな)が、さらに確かな形で維持され、活性化するよう、今後はより実質的な支援を行ってまいります。
 こうした視点に立ち、消防団充実強化支援事業においては、各消防団の共通の悩みである若手団員の確保、そしてサラリーマン団員が活動しやすい環境の確保をまず目指し、若者向け、また事業所向けのアピールパンフレットを携えた私ども職員が、各所へ出向き、消防団活動への参加・協力をお願いする一方、コモンズに根差して活発に活動されている消防団、既に積極的な支援体制を構築している各種の事業所に対する表彰や、団員の皆さまの意見発表会等を行ってまいります。


 次に、川上から川下に亘(わた)るまで、持続可能な社会システムの基盤を創り、確かな信州を支える『環』です。環境との共生を目指す人間活動が評価される成熟した社会を創るため、目先の経済性のみに立脚せず、真っ当に暮らす者たちが損をしない仕組みや、それらに対する支援制度を充実してまいります。
 奇(く)しくも本日2月16日、地球温暖化防止のための世界的な枠組みを定めた京都議定書が発効となります。平成14年5月に市民、学識経験者、経済界、行政等、様々な主体からなる「信州・地球温暖化対策研究会」から大変にドラスティックな内容に満ちた「地球温暖化対策『長野モデル』第一次提言書」を頂戴(ちょうだい)しました。そのご提言をもとに、県では平成15年4月に「長野県地球温暖化防止県民計画」を策定いたしましたが、温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出量は残念ながら減少するどころか、未だに増加し続けております。
 しかし本日ここに、地球温暖化防止を切望する人々の想いを可及的速やかに実現することこそは、数多(あまた)の水源を有する美しき我らが信州・長野県に課せられた使命=ミッションであることを改めて誓い合い、全国の都道府県に先駆け、地球温暖化対策を具体的に進めるための条例の制定を目指し、より持続可能な脱温暖化社会を構築するための大きな仕組みを発信するとともに、目に見える形で対策を進めてまいります。その象徴的取組として、信州の玄関口である軽井沢の市街地へと群馬県境の上信越道碓氷軽井沢インターチェンジから続く県道下仁田軽井沢線を始めとして県内各地で信州型木製ガードレールの設置を充実させるとともに、長野道松本インターチェンジから上高地までの交通信号機をすべて、見やすく、消費電力を大幅に削減できる発光ダイオード式に交換し、人と自然にやさしい交通環境を整備してまいります。
 また、本格的な建設工事が始まっている稲荷山養護学校、来年度建替え予定の6箇所の交番・駐在所などの県有施設において、出来うる限り県産材を活用するとともに、太陽光の利用を進めてまいります。
 また、主に中小企業の事業所における省エネを一段と進めるため、環境保全の取組に積極的な企業の有志により結成された、「信州省エネパトロール隊」の活動を支援してまいります。
 続いて、持続可能な社会を目指すうえで、喫緊の課題となっている廃棄物対策についてです。
 大量生産、大量消費、大量廃棄の現在の社会構造からの脱却は、単なる掛け声ではありません。以前にも「広報ながのけん」でも紹介させていただきました徳島県上勝町(かみかつちょう)のように町民が協力し合い、リサイクル率を79%にまで高め、ごみの焼却を約3分の1へと減らしてきた先進的な自治体が、日本にも現実に存在するのです。本県も、上勝町と同様に、積極的に廃棄物の発生抑制及び減量化・資源化を推進し、「美しい」地域循環型社会を目指す市町村に対し、総合的な支援を行ってまいります。併せて、企業や地域の研究会等が行う廃棄物の減量化・再資源化に対する取組にも積極的に支援してまいります。
また、廃棄物の不適正処理・不法投棄を防止するべく、警察本部のご協力をいただき、現職の警察官を廃棄物指導員として県下4地方事務所へ駐在させるとともに、本年度に引き続き不法投棄監視連絡員75名による不法投棄監視パトロールや警備会社による夜間監視パトロールなどにより、監視・指導体制を強化してまいります。
 自然環境の保全として、登山道利用者等からの協力金を活用して、山小屋関係者が行う登山道の日常的な維持・補修に対して支援してまいります。また、自然再生のモデルとして、引き続きビーナスライン沿線の在来植生の復元を図ってまいります。
諏訪湖浄化のための新たな試みについてです。諏訪湖ではアオコの発生など、水質汚濁が問題となっていますが、その現状は農業生産にも起因しています。このため、化学農薬・化学肥料の使用を従来の半分以下に抑制する「レス50」のプロジェクトに加え、さらに、水田等を活用した水質浄化や農業排水路の簡易的な改修も行うことで、汚濁物質が循環する仕組みの実証研究を行い、きれいな諏訪湖の再生を目指してまいります。


 次に、景観の維持、育成、地域づくりを進める『美』です。
 国に先駆けて長野県が昨春、独自の条例策定により目指した景観の維持・育成は、新しい景観法の運用に加えて県独自の制度も速やかに整え、地域の皆さまとともに個性ある地域づくりを進めます。
 信州の美しい景観づくりとして、15年度に意欲ある民間の皆さまを募って開発した信州型木製ガードレールの活用を、先程もお話ししましたとおり、17年度もさらに充実させてまいります。現在までに3つの企業及び企業グループが県産間伐材を用いての開発・実用化に成功しており、16年度には県下で総延長6.5kmに亘(わた)り設置しました。環境・観光立県に相応(ふさわ)しい、とご覧になった多くの方々から好評を博しております。美しさと温(ぬく)もりに満ちた風景の創造と、県産間伐材利用による森林づくりの活性化を同時に叶(かな)える、信州型木製ガードレールのさらなる普及を目指し、17年度は10kmに亘(わた)って設置してまいります。
 また、市町村、地域の方々と県が一体となって美しい景観を創り出していく取組として、美しいまち・ふるさとの道再生モデル事業を平成16年度から進めているところです。木曽広域連合の卓越した公共サインの在り方に学び、引き続きこの取組を通じて、案内板等の景観向上や、屋外広告物規制による景観誘導を図ろうとする意欲ある市町村を支援してまいります。既に茅野市・原村・富士見町にまたがる八ヶ岳西麓(ろく)地域においては、広域農道の沿線を中心に、公共サインの統一デザイン化がスタートしています。17年度はさらに各地で事業を本格化させ、社会的共通資本としての良好な景観形成を目指してまいります。
 こうした目に見える取組に留(とど)まらず、信州・長野県の「美しさ」を育(はぐく)み、創っていくためには組織や制度を構築し、土地利用を含めた抜本的な改革を併せて行うことが必要です。17年度からは、各部局にまたがる景観や土地利用に関する課題に一体的に対応すべく、景観と土地利用を統括的に所管する部署を設けて、景観法のもとでの計画の策定や条例の制定を始め、総合的かつ短・中長期、それぞれの視点に立った景観や土地利用の施策を推進してまいります。


 次に、誰もが住み慣れた地で暮らし続けられるコモンズの実現を進める『心』です。日本でもっとも長寿県でありながら一人当たりの老人医療費はもっとも少ない信州・長野県では、一人ひとりへのこころ配り・目配りを充実し、健やかでやさしいこころを育(はぐく)む体制を整えてまいります。
 既に長野県では全国に先駆けて、大規模施設に過度に依存することなく、高齢の方や障害のある方も、地域で暮らし続けることができる、コモンズを重視した福祉施策への転換を進めております。それは相対的に安価な建設費用で、より多くの地域雇用を生み、新規参入者へと門戸を開放する、開かれた社会の在り方でもあります。17年度も引き続き、家庭的な雰囲気のもとで多様なニーズに応じたきめ細やかなサービスを提供してまいります。その一環として、既存の民家を改修した「宅幼老所」などの「コモンズハウス」の整備をさらに積極的に進め、高齢の方も障害のある方も住み慣れた地域で暮らし続ける場所を増やしてまいります。
 障害者への支援事業としては、県身体障害者リハビリテーションセンターにおいて、高次脳機能障害者が地域社会の生活にスムースに溶け込めるように、障害特性に合わせた生活・就労復帰のための訓練を行ってまいります。
 さらに、障害者のニーズに沿った多面的な援助を提供し、福祉サービスの適正化を図るため、国の制度化に先駆け、障害者ケアマネジメントの体制を整えてまいります。
また、「ピア」即ち「同じ障害を体験したもの同士」が相互に支援し合う、障害者ピアサポート事業を通じ、精神に障害のある方が、自らの力を十分に発揮し、活躍できるよう支援してまいります。
 現在、長野県では西駒郷をはじめとして、障害のある方の地域生活移行を積極的に進めておりますが、千曲市にあります「クリーニング工房CoCo」のように、知的障害者20名を常時雇用し、障害者が地域で暮らしていけるだけの生活基盤を提供しながら、高い品質を確保し、地域からも高い評価を得ている場があります。私たちは、こうした先進的な事例に学び、障害者の就労の場を拡大してまいります。さらに来年度は新たに、精神障害者の地域生活移行を促進するため、退院直後の方が入居するグループホームに夜間のケアを行う職員を配置し、手厚いケアを提供できる体制を整えてまいります。
 また、昨年10月からスタートしました、障害者の地域生活を支える身体・知的・精神の三障害対応の障害者総合支援センターにつきましても、各地域のニーズに合わせ、コーディネーターやワーカーの増員を図るとともに、真に障害者の視点に立った相談・支援を行えるよう、事業者側の意識改革にも積極的に取り組んでまいります。
 さらに、社会部を中心とする県の既存事業や人財をフルに活用し、「大規模施設の機能を地域で十二分に担えること」を実証してまいります。
続いて、近年増加している児童虐待・DV対策について申し上げます。この問題を未然に防ぎ、親子が強い信頼関係で結ばれた家庭づくりを進めるため、児童相談所の相談機能を強化・充実するとともに、24時間相談を受け付ける窓口を設置してまいります。また、児童福祉施設に入所している子ども達を家庭に受け入れるホストファミリーとの生活体験の場を設けることで、子ども達の社会性を育(はぐく)むとともに、里親の育成を支援してまいります。
 さらに、ひとり親家庭の自律を支援していくための取組として、16年度に実施した母子・父子家庭実態調査の結果で判明した多様なニーズに応(こた)えるべく、体制を整えてまいります。特に父子家庭は生活・子育て支援、母子家庭は経済・就業支援に注力して支援をしてまいります。
中国帰国者の援護施策です。嘗(かつ)て全国で最も多くの県民を満州・蒙古(もうこ)の地へと送り出した長野県の歴史から目をそらすことなく見詰め、帰国者の皆さまに心おだやかな日々をふるさと信州で過ごしていただくことは、私たちの責務です。16年度からスタートした愛心使者(あいしんししゃ)事業を引き続き行うとともに、安心して治療を受けていただくための医療通訳の派遣や、地域で孤立せずに楽しく過ごしていただくための「陽だまり」講座の開催などを行ってまいります。
 また、動物の癒(いや)し効果の新しい活用策として、動物愛護センター(ハローアニマル)を、動物を介した教育及び福祉の拠点としてグレードアップし、信州生まれ信州育ちの補助犬育成をサポートするなど、機能を拡充してまいります。
 さらに、県民の皆さまが安心して暮らせる保健・医療体制を目指し、SARS(重症急性呼吸器症候群)をはじめとする新種の感染症に対しては、これまでも患者搬送用カプセルの整備などに努めてきましたが、平成18年度を目途に、須坂病院に第一種感染症病床などを整備し、治療体制の一層の充実を図ってまいります。


 次に、誰でも自分らしく成長できる信州教育を実現する『育』です。
 信州・長野県ならではの教育とは、すべての子ども達の「学ぶ意欲」に応(こた)え、「学ぶ喜び」を一人ひとりに届ける場を創ることです。私は、自分らしく成長したいという子どもの学ぶ権利を尊重し、子どもの視点に立ったきめ細やかな教育を目指すとともに、病気と闘っている子ども達や外国籍の児童・生徒など弱者や少数者である子ども達のための施策に力を注ぎ、学校・地域・家庭が抱える教育課題に応(こた)えてまいります。
 教員のあたたかい目線が児童・生徒一人ひとりに届き、子どもの個性に合った教育を実現していくため、全額県費負担による30人規模学級を新たに小学校4年生まで拡充してまいります。また、昨年度に引き続き、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、高機能自閉症等のある児童生徒に対しては、教育環境や支援体制の整備を続けてまいります。さらに、小中学校において、障害のある児童生徒や外国籍児童生徒が安心して学校生活が送れるよう、一人ひとりの状況に応じ、「こどもほっとサポーター」として、介助員・支援員を配置します。
 また、重度の障害があり、痰(たん)の吸引などの医療的ケアを必要とする児童生徒に対しましては、従来は訪問看護ステーションから養護学校に派遣された看護師が対応してまいりましたが、より安心・安全に学習することが出来るように養護学校に看護師を常駐配置させてまいります。
 また、平成9年度より養護学校高等部の訪問教育を実施してまいりましたが、入学年齢を20歳以下に制限してきたことなどから、こうした制度の狭間(はざま)で、就学されていない方も県内に数多くいらっしゃいます。自らの意思とは関わりなく訪問教育を受けられなかった、こうした就学希望者の皆さまに対し、年齢制限を撤廃することで、より開かれた教育の機会を提供してまいります。
 さらに、院内学級のない病院に長期入院している子ども達に対し、教員経験者による訪問学習を行うなど、子ども達の学ぶ意欲や友達との関係が途切れぬように、学校と連携して支援してまいります。保護者の方々や院内学級を様々な立場で支援している多くの方々から、要望しても財政状況等を理由に結果として何も進まなかったかつての時代から考えると夢のようだ、と評価の言葉を頂戴(ちょうだい)しております。
 また、言葉の壁により就学が困難となっている外国籍児童等を支援するため、「親と子の日本語教室」や「日本語学習リソースセンター」を引き続き運営するとともに、大学生や留学生の協力による補習授業の実施や、母国語の絵本など閲覧図書の拡充により更なる機能の充実を図ってまいります。
 また、県内の日本語教室で指導経験のある方を、ブラジル連邦共和国サンパウロ州にある第一アリアンサ日本語学校に日本語講師として派遣いたします。これは、昨年、在ブラジル長野県人会創立45周年記念式典に古田芙士議長と私がお伺いした折に、お話をいただいたものであります。当地での日本語指導や、日本語学校の生徒や県人会関係者との関わりの中で数多くの経験と知識を習得することにより、講師派遣期間終了後には、「親と子の日本語教室」における日本語講師の中核的存在として、また、本県における外国籍県民などの支援施策の牽引役(けんいんやく)として、その経験を活かしていただくことを考えております。
 子ども一人ひとりが生まれながらにして持っている「自分らしく発達する権利」、「幸福になる権利」が尊重される体制も築いてまいります。これらの権利を保護するため、16年度より教育委員会に「こどもの権利保護推進幹」を配置し、子どもの最善の利益を確保する観点から、子どもと学校との関係づくりをサポートしてきました。17年度は専任スタッフの拡充や医学等の専門的知識を有するアドバイザーの設置により支援体制の充実を図るとともに、子どもの権利のあり方を検討する委員会の設置や、子どもの権利意識の普及啓発等により総合的に子どもの権利保護を推進する「こどもの権利」支援システム構築事業を実施してまいります。
 子育て環境の充実について申し上げます。長野県でも「少子化」が進んでおり、1人の女性が生涯に産む子どもの数である合計特殊出生率は平成15年は1.44と、全国平均よりは高い水準にあるものの、低下傾向にあります。出生率が漸増している市町村がある一方で、近年、1年間の出生数が0人または1人という村もあります。
 本格化する少子化社会に対応するため、地域全体での子育て支援の取組を展開し、子どもが健やかに育つコミュニティを再生し、安心して子どもを生み育てる環境づくりを一層推進してまいります。
 長野県は、男女とも就業率が全国トップレベルにあり、多くの女性が結婚、出産後も仕事を続けていることから、育児休業取得後の1歳児の子どもを安心して保育所に預けられる体制をつくってまいります。現在、国の基準では、園児6人に保育士1人の配置となっている民間保育所に対して、本県では、この基準を県独自で拡大し、概(おおむ)ね園児4人に1人の保育士を配置できるように助成し、子ども一人ひとりの成長に応じたきめ細やかな保育を実現しています。この取組をさらに充実させます。
 また、より身近な場所で子育て中の親が気軽に子育ての喜びや悩みを話し合ったり情報交換等を行う中で、より親が親らしくなっていく子育てサロンの運営に対して新たに支援するとともに、保育所や幼稚園における就園前の子育て支援活動を引き続き推進します。
さらに、共働き家族の増加や核家族化の進行などに伴い、放課後の小学生の居場所づくりを充実するため、中山間地域などにおける小規模児童クラブへの助成を県独自に拡大して実施するとともに、障害児の受け入れに必要な設備を整備する場合に、新たな助成を行ってまいります。


 次に、経済活力と生活の豊かさを創る『創』です。 
 福祉・医療、教育、環境と製造業、農林業、観光業の3×3(スリー・バイ・スリー)の相乗効果により、活力のある経済を創り、産業構造の変化に対応した人材を育成し、働く喜びと生活の豊かさを実感できる社会を目指します。
 産業活性化と雇用創出の取組を推進するため策定した「産業活性化・雇用創出プラン」につきましては、各分野での事業展開により平成16年度の当初の目標をほぼ達成可能な見込みです。
 今後も地域に根差し環境に配慮している産業や、地域文化の再生に貢献する産業への支援を行ってまいります。
 地域のなかで多くの雇用を生み出す基幹産業については、昨年から具体的な支援策を検討した結果、今議会に「信州ものづくり産業投資応援条例案」を提案させていただくことと致しました。この条例においては、企業が環境に配慮した上で10億円以上の設備投資を行う場合に助成金を交付します。また、政策税制検討委員会における検討を踏まえ、1億円以上の設備投資を行った企業に対しても、不動産取得税の課税を免除する内容となっております。ものづくり産業を積極的に支援することで、県内雇用を確保し、技術力等の向上による県内企業の体質強化を図り、県内経済の持続的発展に繋げてまいります。
 地域文化の再生に貢献する産業の支援としましては、16年度に引き続きコモンズ新産業創出事業を実施します。地域の企業や住民の皆さまが地域資源を活かして創りあげる先進的で独創的な事業に対して助成し、地域社会貢献型のコミュニティビジネスを創出してまいります。
 さらに、地域を支えている中小企業の皆さまからの声を受けて、3×3(スリー・バイ・スリー)産業商品試作費補助事業を創設しました。この事業では従来の商品試作費への補助に加えて、市場開拓など実用化に向けた経費に対しても補助を行ってまいります。
 さて、建設業の自律に向けた経営基盤強化、経営多角化をサポートすべく本県は独自に建設産業構造改革支援事業を実施してきました。こうした長野県の取組に国も注目し、中小建設業の再生に向けた関係省庁の支援策が17年度予算に計上されると聞いております。ちなみに、本県がこの取組をスタートさせてからの2年間で、新分野進出等に踏み出された企業数は200を越えております。農業特区制度を活用して、ハウスイチゴの栽培に全力で取り組んでおられる企業、石臼挽(いしうすひき)豆腐の製造を手掛けて今は流通ルートの開拓に尽力しておられる企業、一社ごとに、それぞれの段階での、さまざまなハードルを越えて新分野でご活躍いただけるよう、全庁的な体制で支援させていただいておりますことは改めて申し上げるまでもありません。17年度は新たに、新分野進出や経営革新の先進事例を紹介するとともに、県内建設産業、関連産業が開発、導入した技術や製品を積極的に評価し、活用する仕組みを創るなど、さらにメニューを拡充し、意欲ある建設産業の皆さまを引き続き支援してまいります。
 産業構造に即した人材の育成につきましては、本県のものづくり産業の競争力を支える技能者や技術者の育成のため、信州ものづくりスキルアップセンター事業を始めます。この事業では、研修場所を実際の企業の現場などに置き、講師には現役・OBの技能者・技術者の方にお願いしたいと考えております。本県のものづくり産業の歴史には、生糸からはじまり、精密機械、ITへと順次発展してきた流れがあり、身近な地域に残されているそれらの優れた技術を掘り起こし、継承することにより「人財大県・信州」の実現を目指してまいります。
 また、山紫水明の時空として知られる信州・長野県には、大変に素晴らしい天与の自然がコモンズの共有財産として存在し、国内外から多くの方々が来訪されます。しかしながら他方で、遠来からお越しになられた方々が、必ずしも本県でのサーヴィスにご満足いただけていないという調査結果もあります。私たちは知らず知らず、その素晴らしい財産の上にあぐらをかいていたのではないかという真摯(しんし)な反省に立ち、信州らしさを再構築していかなければならないと考えております。
 信州大学と、さらには自律的な民間の方々とも連携しながら、信州の「強み」、「売り」を整理し、信州ブランドの戦略的な展開を図るべく、信州ブランド構築推進事業を実施し、信州ブランドの確立に努めてまいります。


 次に、豊かな自然資源を活かし、基盤産業として農林業の充実を図る『郷(ごう)』です。農林業を通じて、持続可能なモデルを構築し、地域の県民の皆さまと共に信州の美しい自然を守ります。
 清冽(れつ)な水と美しい空気を糧として育(はぐく)まれる、野菜・くだもの・米そして牛肉など農産物は、まさしく信州ブランドとして他県に誇るべきものです。
 この信州で育まれた原料を、信州で加工した中から、田崎真也氏、玉村豊男氏といった当代随一の目利きの方々による官能審査に受かったものだけを認定していく、「原産地呼称管理制度」は、まさしくブランドの根底にある確かさを証明する仕組みとして、平成14年10月に創設され、本年で3年目を迎えます。
 この間、ワイン、日本酒に加え、今年度は焼酎・米など新たな品目を加え、ワイン97品、日本酒442品、米9品、焼酎4品となっております。
 なかでも、ワインにつきましては、サントリーが塩尻市で瓶詰めを開始し、先ごろ東京にて行われたワイン官能審査会に出品するなど、信州・長野県から発信したこの取組みに、業界のみならず消費者からも、確かさという安心につな繋がるものとして、大きな関心と評価を(頂戴ちょうだい)しております。
 平成17年度は、引き続き牛肉・乳製品・野菜・くだもの・そば・コイの6品目について検討を行い、信州ブランドとして優位な展開を目指します。
持続可能な農林業を実現するにあたりましては、化学肥料及び化学合成農薬の使用削減と、鳥獣被害の対策が重要な課題になってまいります。
 農業は本来は「命を育(はぐく)む産業」であり、健全な大気、水、大地の再生なくしては成り立ちません。しかし、近年、化学肥料や農薬などの過度の使用により、私たちの環境へ負荷を与えている問題が顕在化しております。そこで、16年度から、「環境に負荷をあたえる農業から、自然と共生する農業へ」をスローガンに、農政の転換を進めております。具体的な取組としまして、化学肥料と化学合成農薬の使用量を従来比50%以上削減した農業「レス50」を目標とし、さらに事業を拡充します。既に16年度には意欲ある農家と協働し、レタスとセルリー21haで化学肥料と化学合成農薬の使用量を50%削減した栽培を行った結果、化学肥料については削減できる方向も見えてきました。17年度はさらに作物や品目を拡充し、より幅広い事業展開を目指してまいります。また、農家や消費者の意識醸成も図ってまいります。
 鳥獣被害の問題につきましては、近年ではその被害が常態化し、15年度の農林業被害額は16億2千万円に及び、その被害地域も県内全域に亘(わた)っています。その対策としましては、16年度に木曽地域の町村長との意見交換会でご提言をいただき、12月補正予算で緊急的に講じた緩衝帯の整備を引き続き進めてまいります。さらに、被害地域ごとに各集落が自律した対策を講じることが出来るよう、集落リーダーの育成や地域の実情に応じた電気柵・防護柵の設置を支援してまいります。
 森林整備の取組について申し上げます。本県では、昭和20年代半ばから40年代にかけて拡大造林が進みましたが、森林を育て美しい自然を守るため、当時植林した人工林の緊急的、かつ計画的な間伐が必要になっています。このため、昨年10月に制定された「長野県ふるさとの森林づくり条例」に基づき、里山整備利用地域や森林整備保全重点地域の整備に取り組んでまいります。
 林業の振興を図るにはまず担い手の育成が不可欠であり、平成13年7月から「信州きこり講座」を始め、16年11月末までに1,979人の方が受講され、1,417人が修了されています。また、平成15年からは、本格的な森林整備に新たに参入される建設業者等の林業の担い手を育成する「信州林業(しんりん)担い手グローイングアップ事業」にも着手し、約80の事業体が訓練を受けました。こうした取組を通じて、林業従事者は、平成12年の2,732人が、13年2,809人、14年2,933人、15年3,021人と着実に伸びております。また、60歳以上が占める割合も平成9年の51.4%から15年には37.1%に低下する等、若返りが図られております。私の就任前には新規林業就業者の半分近くが1年で離職していましたが、14年には新規参入定着者の比率が9割近い87%へと高まってきています。
 しかし、木材価格が低迷する中、低コストで間伐を実施し、木材を搬出して活用するには、作業の機械化が欠かせません。このため、本年度に引き続き17年度も地域の実情に応じたタワーヤーダ、フォワーダなど高性能林業機械の導入とオペレーターの養成を支援してまいります。
 また、県民の皆さまがいつでも森林情報を活用することを可能とし、県民の主体的な参加による森林づくりを目指して、GIS信州型森林地理情報システムを構築してまいります。さらに、このシステムでは、森林に関係する情報を一元的に管理・分析して電子データ化することにより、許認可等の事務処理の効率化を図ると共に、森林資源の適切なマネジメントも可能としてまいります。
 また、森林の整備を促進する諸施策を今以上に積極的に実施し、森林の持つ多面的な機能を持続的に発揮させるためには、森林環境税等による新たな財源確保も必要と考えております。県民の皆さまのご意見をお聞きしつつ、早期導入に向けて、積極的に取り組んでまいります。また、去る1月21日には、日本経済団体連合会(日本経団連)の協力の下に長野県は、企業・市民・行政のパートナーシップによる新たな森林づくりシンポジウムを開催し、イオングループ、全日空の役員もパネラーとしてご参加いただき、本県独自の取組である「森林(もり)の里親促進事業」を全国の企業の皆さまにアピールしました。


 次に、観光交流空間を創造する『温』です。
 信州・長野県の恵まれた地域資源を活かし、経済的にも意識的にも活性化された、日本の温(ぬく)もりの場としての発展を推進します。
 日本列島の背骨に位置し、美しい自然と豊かな農産物に恵まれた本県は、また、300を越す温泉を擁した「湯の国」でもあります。その共有財産をさらに育(はぐく)むべく、平成16年11月に、「『安心・安全・正直』な信州の温泉表示制度」を独自に創設いたしました。
 本県が今後とも「湯の国」であり続けるため、それぞれの温泉施設の状況を的確に知っていただく「インフォームド・コンセント」を行うことによって、お客様に「安心、安全、正直」な信州の温泉をお選びいただく、つまり「インフォームド・チョイス」の実現を目指して、全国に先駆けて創設した仕組みです。
 これら、信州の「強み・売り」に繋(つな)がる、信州のブランドともいうべき資源を日本中、世界中の人々に知っていただき、人との交流を通じて発展させていくことが大切と考えています。
 そのため、信州の唯一の空の玄関である「信州まつもと空港」の有効利用も進めてまいります。
 信州まつもと空港の活性化にあたっては、複便化や利便性の高いダイヤの実現などに取り組むほか、空港からの交通の便の改善や、国際チャーター便の誘致等により国内外のお客様を積極的にお招きしてまいります。
 さらに、信州まつもと空港の知名度・認知度を高めるためのPR事業や企画旅行商品の開発などに取り組んでまいります。化学消防車の増車を通じて、空港の安全確保に努めるほか、エプロン周辺へ花の植栽を行うなど、ご利用されるお客様に親しまれる空港づくりを進めてまいります。
 観光資源を活かして、多くのお客様をお招きする上でも、観光県"信州"のブランド化を目指し、観光ブランド日本一"信州"構築事業に取り組んでまいります。この事業の中で、アウトドアスポーツなどを楽しむ若い世代の方のためには"動"の戦略を打ち出し、温泉や文化・芸術を楽しむシニア世代の方のためには"静"の戦略を考えるなど、世代に応じてよりお客様のご要望にきめ細やかにお応(こた)え出来るような信州観光にしてまいりたいと考えております。
 また、きめ細やかに公共交通網の充実を図るべく、地域主体の新たな地域交通を構築しようとする市町村を支援していくため、コモンズ交通システム支援事業を進めてまいります。県では、15年度と16年度において中山間地域における生活交通の確保のためのモデル事業を5町村で実施いたしました。地域にお住まいの皆さまのニーズに応じた、バス路線の再編やデマンド式の交通システムの導入により、利用者数の増大という結果が得られております。大勢の皆さまに利用していただける新しい交通システムの構築に取り組む市町村に対し支援をしてまいります。


 最後に、誰もが安全に、安心して暮らせる社会基盤を守り、活かして、確かな信州を支える『基』についてです。日常の暮らしを守り、災害への備えを万全に行う施策を、地域コモンズの皆さまと一体になって進めてまいります。
 地震対策については、東海地震等、長野県固有の危機を想定した県有施設耐震対策をさらに効率的に進めるため、昨年の新潟県中越地震の教訓も踏まえて、各施設の緊急度や地域における必要性を吟味し、所管部局の枠を越えて一体的に行ってまいります。
 また県民の皆さまが所有される住宅への耐震診断・耐震改修を支援させていただく、すまいの安全「とうかい」防止対策事業につきましては、金銭的負担が大きく時間も要する耐震改修への補助だけではなく、震災時の被害を回避するための家具等の転倒防止器具の配付など即効性のある対策にも、市町村の協力を得て支援できるよう、制度を大幅に充実させてまいります。
 諮問河川におけるダムに拠(よ)らない治水対策につきましては、16年度にも増してさらに河川改修等を推進してまいります。全庁的取組の中、砥(と)川、上川については昨年末、河川整備計画を国土交通省へ申請いたしました。今年度中には国土交通省から認可いただけるものと考えております。他の河川についても引き続き、流域の皆さまと議論を重ねつつ、治水対策の策定を進めてまいります。
 また、昨年の台風時に、合流先の河川水位の上昇により、内水被害が各地で発生したことを受け、17年度から内水対策事業を実施いたします。
 さらに、洪水ハザードマップ作成支援事業を通じて、水害の危険が想定される地域や、水害発生時の避難経路・避難場所を地図上に表し、地域の皆さまに周知しようという市町村の取組を支援してまいります。
 くらしの安全・安心についてです。
 消費者被害緊急防止対策事業として、「振り込め詐欺」など最近多発する架空請求・ヤミ金融等による消費者被害を防ぐ体制を整えます。長野県では、全国に先駆け、ヤミ金業者が設けた金融機関の口座の閉鎖・凍結を金融機関に対して要請し、これに各金融機関も呼応して下さるなど、消費者被害防止に積極的に取り組んできました。こうした一連の取組は、監督官庁の金融庁をも動かし、同様の取組が全国で行われるという成果を生んでいます。新たに県内4地区にある消費生活センターの相談員を従来の11名から18名に増員するなど相談体制を充実するとともに、消費者への情報提供や教育を積極的に推進してまいります。
 また、全国4番目の広さを誇り、その多くが中山間地であることに鑑(かんが)み、重篤救急患者の搬送時間の短縮による救命率の向上、後遺症の軽減やへき地における救急医療体制の強化等を図るべく、ヘリコプターに医師や看護師が同乗し、現場到着後直ちに治療を開始できる「ドクターヘリ」を導入する厚生連佐久総合病院に対して助成してまいります。
 さらに、救命救急センターにつきましては、平成17年度中信地区に2箇所設置することにより、県内の4地域全てにおいて第3次救急医療が提供されることとなります。
 先の12月議会におきまして、103億円の債権の株式化をお認めいただいた、しなの鉄道については、経営再建をさらに進めてまいります。平成16年度決算において減損会計を導入し、自律できる体質への改善を図るため、JRから資産を購入するために県から貸し付けた資金を株式化し、実質的に放棄することといたしました。この支援を前提に、平成17年度からの国の新たな支援スキームにより再生を目指すこととし、本年1月に沿線自治体と共に「しなの鉄道再生支援協議会」を設置したところであります。この協議会において、再生計画を策定し、国からの支援も導入してまいりたいと考えております。
 「福祉・環境・教育」と並んで「治安」についても、県警察本部と連動して、更なる充実を図ってまいりたいと考えております。来年度は、40名の警察官を増員するとともに40名の県職員を派遣し、今や全世界共通用語ともなりました安心ステーションの「交番」を中心に配置することで現場の強化を図ります。また、建替え予定の6箇所の交番・駐在所については、県産材や太陽光の活用など、信州らしい環境負荷の少ない施設づくりを実践し、まさにコモンズにおける「安心・安全」の拠点として、また、確かな信州の象徴として、その機能を充実させてまいります。さらに、駐在所の機動力を強化するため、駐在所用のパトカーについても増強してまいります。


 県の組織再編について申し上げます。
 コモンズからはじまる信州ルネッサンス革命を推進し、中央集権的な政策の流れを"地域主権"に基づくコモンズ発の政策の流れへと転換すべく、現在進めている組織再編の検討におきましては、まず地域に身近な現地機関組織に関する議論から行いました。その過程で私は、昨年9月から11月にかけ、県内10の地域において自ら市町村長の皆さまとの意見交換を行い、県の組織に関するご要望等を伺いました。また、各地方事務所長が、日頃現場でお聴きしているご意見や職員のアイディアを基にそれぞれの地域の特性を踏まえた現地機関再編案を作成し、私と議論を交わしました。
 これらを結晶させた現地機関組織とそれに基づく本庁組織の再編案を行政機構審議会においてご審議いただきまして、本年度中に答申をいただく予定です。
 県内10地域に「地域本部長」を配置し、その下で各現地機関が緊密に連携しながら地域課題を解決する現地機関再編の枠組みのほか、諏訪湖浄化に関わる事業を一元的に所管する「諏訪湖事務所」や下伊那地域の振興を市町村との協働によって進める「ふるさと振興局」等地域の特性を反映した組織の設置、さらには砂防事務所の多機能化等、コモンズ支援を基調とする現地機関の再編、また、現地機関を支援する本庁舎の再編の方向性について、審議会の議論の中で積極的な評価をいただいております。
 審議会の答申をいただき、その内容に関して、今後、県民の皆さまのご意見をいただきながら、県としての再編案を取りまとめ、平成17年度において関係条例改正案のご審議をお願いしてまいります。その後、準備期間を経て新たな組織をスタートさせてまいりますが、平成17年4月におきましても、現行条例の範囲内で、活力あふれる信州経済の創造のための商工部組織の再編、下伊那地域への「ふるさと振興局」の設置、職員の"島意識"を取り払い柔軟かつ迅速に業務を行うための「係」から「ユニット」への移行等、喫緊の課題への対応及び県民益の観点から早期に実施すべき組織改正を実施いたします。


 外郭団体の見直しについて申し上げます。
 長野県が出資等を行っている外郭団体に関しましては、昨年6月に54の団体について「改革基本方針」を策定し、9月には、財務上の問題やプロパー職員の雇用等の課題を有する7団体について「改革実施プラン」を策定いたしました。
 これらに基づき、本県は外郭団体の見直しを進めておりますが、それに当たりましては、廃止が予定されている団体等のプロパー職員の方々の雇用の確保が重要な課題であることから、各団体と県が協力しながら、就職情報の提供、再就職のための教育訓練等に関する支援、希望退職制度の創設等の取組を行っております。その一環として、本年度末で事業を終了する団体等の職員については、先に県職員への採用のための選考を人事委員会に要請し、実施しているところであります。
 雇用をはじめとして外郭団体見直しの実施段階において生じる課題に対し、本県は真摯(しんし)に取り組みながら、効率的で効果的な行政サービスの実施及び県民益の極大化の観点から改革を推進してまいります。
 また、これに併せて指定管理者制度の導入を進め、民間の能力を活用しつつ、県民へのサービス向上と効率的な行政の推進を図ってまいります。


 条例案は、新設条例案5件、廃止条例案7件、一部改正条例案31件です。
 先程も申し上げましたとおり、長野県経済は緩やかながらも回復が見られる状況ですが、「信州ものづくり産業投資応援条例案」は、本県の基幹産業であるものづくり産業を積極的に支援し、さらなる雇用の確保、技術力の向上等による県内企業の体質強化を図り、県内経済の持続的発展を確かにするためのものであります。
 また、「長野県松本空港条例の一部を改正する条例案」は、既設の定期便の複便化、定期便の新規就航、国際チャーター便の着陸料について、当分の間、納付を要しないこととするものです。これにより、航空会社が複便化や定期便の新規就航などを行いやすい環境が整えられ、より一層多くの方々に信州まつもと空港をご利用いただけるようになるものと期待しております。
 この他、「長野県高等学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例案」などにより本県高等学校の授業料等の値上げについて提案しております。これは、厳しい財政状況の中で、学校環境の維持、改善を図るため、国の地方財政計画算定の基礎額及び他の都道府県との均衡等を考慮して改定させていただくものです。


 事件案は、全国自治宝くじ事務協議会規約の一部改正についてなど17件でございます。
 このほか、専決処分の報告は、交通事故に係る損害賠償の専決処分報告など9件でございます。


 今月26日から3月5日までの8日間に亘(わた)り、86の国と地域から、約2,700人もの選手団をお迎えして、「2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会」が開催されます。
 先の12月県議会において皆さまの深いご理解のもと、大会運営費補助として、県からの6億円の財政支援を可決していただきました。大会運営を行う特定非営利活動法人2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会・長野(SONA)へ既に派遣しております33名の県職員に加え、更に大会時の行政支援職員として217名を派遣し、数多くのヴォランティアの皆さまと協力して、直前に迫った大会の準備が今、急ピッチで進められています。
 年齢や性別、経歴や肩書、国籍や障害の有無を問わず、生きる意欲を有する方々に開かれた挑戦の機会を提供する自治体を目指す信州・長野県における開催は、220万県民の誇りであり、悦(よろこ)びです。全国、全世界から集う選手のみならず、観客として、スタッフとして、ヴォランティアとして参加する皆さまが勇気と希望を分かち合う、またとない思い出深き時空となりますことを祈っております。また、2月定例会中の大会開催となりますが、議員の皆さまのご参加とご協力に改めて感謝申し上げます。

 県庁舎ロビーにお入りなった方は、既にお気付きの事と思いますが、バイオマスを活用したペレットストーブの、ほのかな温(ぬく)もりと香りの中、お尋ねコンシェルジュが来庁者をご案内しております。担当部署をお伝えするだけでなく、ご要望をお聞きし、必要に応じて部局の枠を越えて関係職員が一室に集まって、お客様である来庁者のご質問、ご意見、ご提案をワンストップ・サーヴィスで承り、迅速な対応を行うためにスタートした仕組みです。専任担当者だけでなく、部課長が交代で立たせていただいています。住民票を受け取りに地域の方々が日々、お越しになる市町村の建物とは異なり、県民と日常的に接する機会が少ない本庁舎勤務の職員にとって、それは県民のニーズを知る実践的意識改革の場です。また、コーヒーとできたてのパンを載せたワゴンカフェが障害をお持ちの方々の元気一杯な売り声とともに県庁舎内を回っています。数年前までは想像もつかなかったサーヴィスが、今、県庁内で自然な風景となりつつあります。
 そうして、現在県下103の市町村に180名の県職員が駐在して仕事をさせていただいているのみならず、昨春から県内42の市町村に、102名の県職員を市町村コンシェルジュとして派遣しております。県職員としての通常の業務をこなしながら、出身地であったり、愛着を抱いていたりする市町村と県行政の接続役を果たしています。一例を挙げれば、美術館の屋外トイレを地域の人たちと一緒にきれいに塗り直したり、村を愛するファン倶楽部(くらぶ)の設立準備に携わったりしております。こうした彼ら、彼女らの「ばか者」、「よそ者」、「わか者」としての活動も、先程、お話ししましたように、行政関係の月刊誌で大きく紹介されております。
 「コモンズからはじまる、信州ルネッサンス革命」が、一つひとつ、きちんと実態のある形としてなじんできた現れではなかろうか、と思っております。
 これからも、県職員と220万県民、さらには県民の代表たる県議会の皆さまとともに、私たちのふるさと信州への深く熱い想いを胸に、全国に比類なき改革を進めてまいる覚悟です。

 最後に、信州・長野県の一員であった山口村に暮らす人々と風土が2月13日、県境を越えて美濃・岐阜県へと移管され、はや3日が経ちました。
 「220万県民に奉仕する長野県知事としての私は就任以来、心優しき目線を少数者や弱き者に対して向けるサーヴァント・リーダーたれ、と自身に課してきました。全国4番目の広さを擁し、8県と接する信州。長野県の各地で、今この瞬間も学び、働き、暮らす人々、別けても、山間や県境の地に生活する県民の皆さまと、引き続き、私は歩んでまいります。願わくは、山口村に生まれ育ち、或(ある)いは移り暮らしておられる方々が今後も、信州人としての自分を顧みる瞬間を時として抱かれます事を。」去る2月8日の山口村閉村式にお招きいただいた席上、私は山口村というコモンズを育(はぐく)んできた人々や風土、歴史に敬意を表し、惜別の情をこう述べてまいりました。
 信州・長野県の地勢と県勢が今後、大きく変貌していくであろう萌(ほう)芽とも呼ぶべき「越県」合併問題に県知事として立ち会う数奇さを、ここ数か月、反すう芻し続けてきました。日本列島の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁する信州・長野県は、それぞれに異なる風土と歴史の下、同じく少なからず異なる気質の県民が暮らしています。しかしながら、県歌「信濃の国」を唱和する際には、そうした様々な風土と歴史と気質の違いを乗り越えて、あたかもフランス国民が国歌「ラ・マルセイエーズ」に愛着を抱くように、県民は心を重ね合わせるのです。まさに、信州・長野県に暮らす私たちにとっての精神的支柱として。

この間の議論を通じて、向上心に溢(あふ)れる220万人県民の方々が、長野県の将来、或(ある)いは住民自治や民主主義の在り方に関し、幾許(いくばく)かでも沈思黙考(ちんしもっこう)していただける機会を得たとするなら、それも又、2,500年前のソクラテスの昔から遅々とした歩みなれど少しずつ成熟していく私たちの民主主義の過程の一つだと言えるのでは。言葉に言い尽くせぬ無念な想いと共に、私は今、そう考えています。

 以上、今回提出の議案に関するご説明を申し上げました。ご審議及びご議決のほど、お願い申し上げます。





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