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平成16年12月県議会定例会における知事議案説明要旨


  今12月県議会に提出いたしました議案の説明に先立ち、県政をとりまく最近の状況などに関し、しばしご説明申し上げたく存じます。

 ブラジル及びアルゼンチンへの訪問について申し上げます。
 本年は、在ブラジル長野県人会の創立45周年にあたり、その記念式典へ出席するため、11月11日から21日の日程で古田芙士県議会議長、藤原忠彦町村会副会長と共に訪問してまいりました。また、在アルゼンチン長野県人会については、一昨年の会創立50周年記念の際に訪問する予定でしたが、それが叶(かな)わなかったため、この度のブラジルへの訪問に併せてお伺いさせていただきました。
この度の訪問では、大変過酷な歴史の中で、遠く異国の地において進取の気性により、立派に地歩を固めてこられた方々に多数、お目に掛かることができました。数千キロ離れた地からサンパウロやブエノスアイレスへと駆け付けて下さった方々も少なくなく、ふるさと信州へ寄せられる熱い想いに、頭が下がる思いでした。
 サンパウロ近郊のアチバイアでは、大規模に花き栽培を手掛ける方々の農園にお邪魔し、その自律的な農業経営に感銘を受けました。また、サンパウロから北西へ600km余り離れたアリアンサの地では、本県出身者に限定することなく広い心で多くの他県出身者やブラジルの方々を迎え入れ、幾多の困難を共に乗り越えてきた信州人の軌跡に、私たちが目指すべきコモンズのあり方を学ばせていただいた気がします。
 アリアンサとは、縁組みや同盟を指すブラジルの言葉で、松本出身の輪湖俊午郎氏が協力、和親の意味合いを込めて命名した地名です。アリアンサ移住地は、排他的な郷党的親睦思想とは対極に位置する、開かれた場所なのです。日本力行会(りっこうかい)と呼ばれるキリスト教徒が中心だった長野県出身者は、他県出身者らの間に入って調停役として、自治会の中で奮闘したとお聞きしました。それは、広く地域の人々と成果を分かち合い、体温の通う一人の人間として謙虚に暮らし、真の豊かさを実現されている世界市民としての姿でした。
 異国において偉大なる足跡を残した本県出身者の皆様の日系人社会への貢献と、県人会の皆様のふるさと信州へ寄せられる熱い思いにお応えするとともに、二世以降の方々においても信州に誇りを抱き、文化やアイデンティティを保持する礎(いしずえ)となっている県人会の日本語教育の発展に寄与するため、日本語教師の派遣や技術研修の受入の充実などに、従前にもまして取り組んでまいりたいと考えております。また、この度の訪問を契機として、県人会の方々が有するものと同じ、私たちの信州への深い思い、使命、そして気概をもって、引き続き220万県民のために尽くし、私益とは無縁の公益を希求して、比類無き改革を推し進めねば、と決意を新たにした次第です。

 いわゆる「三位一体の改革」について申し上げます。
 去る11月26日、平成18年度までの「三位一体の改革」の「全体像」とされる政府案が決定しました。しかしながら、その実態は残念ながら、大山鳴動ネズミ一匹にもならぬ、曖昧模糊(あいまいもこ)とした先送りです。私は、税源移譲の額及びその実施年度に関する確約がない中で地方が国庫補助負担金の「改革案」を提出すれば、国に先行的かつ一方的な補助金削減の口実を与えるとの懸念から、まずは国が省庁の枠組みを超えて統一的な改革案を示すべきではないかとの考えに立ち、義務教育・生活保護・災害関連は国民のクオリティ・オブ・ライフ、国民としての基本的な権利を護(まも)る上でも、その実施主体が国か都道府県か市町村かの別を問わず、国家が責任を持って財源保障すべき事柄である、と全国知事会の場でも主張してまいりました。が、それぞれの役割分担をいかに明確にするか、の議論も行われぬまま、数字の按分(あんぶん)に終始する、いわば復活折衝にも近い形で今日に至った点は、全国知事会の一員として、誠に忸怩(じくじ)たる思いです。
 取り分け、税源移譲について、既に移譲された今年度分6,560億円も含めて「概(おおむ)ね3兆円規模」とされるなど、地方の側が期待していた姿とは大きく異なるものとなっております。本県は全国に先駆けて、県と市町村、経済界、労働団体が一体となって「地方行財政の自律を実現し地方自治を確立する長野県民会議」を結成し、真の改革の実現を訴えてまいりました。今回の政府案は、地方分権よりも「省益」や国の財政再建を優先し地方に負担を転嫁するもので、まさに憂慮した事態となっております。
 そもそも「三位一体の改革」とは、国庫補助負担金の改革、税源移譲、地方交付税の三者の一体的な改革であります。しかしながら、これまでの政府の対応を見ると、3兆円という国庫補助負担金の削減目標をいかに達成するかという、いわば「理念なき数字合わせ」に終始してきたと言わざるを得ません。
 一方、地方交付税については、今年度の半ば唐突な大幅削減に続き、来年度以降もさらに大幅に削減すべきといった、地方の行財政改革の努力を無視した、まさに暴論とも言うべき提案がなされるなど、「三位一体の改革」をめぐる議論は、税財政面における地方の自由度を高めるという、地方分権改革の目指す姿からはかけ離れ、ますます混迷の度合いを深めつつあります。
 繰り返しますが、「三位一体の改革」、すなわち国と地方の税財政改革にあたりましては、何よりもまず国と地方の役割分担から根本的に議論するなど、いま一度、地方分権改革の原点に立ち返り、議論を振り出しに戻すべきでありましょう。長野県は引き続き、地方が住民と向き合いながら地域の実情やニーズに応じて、地方の裁量で創意工夫を生かすことができる、真の分権型社会を実現すべく、積極果敢に取り組んでまいります。

 台風22号及び23号に伴う災害対策について申し上げます。
 去る10月の台風22号及び23号の県内通過に伴い、県下各地で土砂崩れや地すべり、河川や内水のはん濫、道路の崩壊といった災害が発生し、家屋をはじめ、公共土木施設、農林業施設、鉄道、農作物等に甚大な被害がもたらされました。被災されました皆様に、心からお見舞いを申し上げますとともに、多くの方々から復旧に向けて、多大なご尽力、ご支援をいただきましたことに、改めて深く感謝を申し上げます。
 被害総額は、台風22号と23号合わせて464億円余となっております。被災箇所の復旧などに要する経費として、今回の補正予算案に115億円余を計上いたしました。災害復旧対策につきましては、全力をあげて取り組んでおりますが、今後も早期の本格復旧に向けて一層の努力を傾注してまいります。
 今回の台風にあたっては、より現場に根差した正確な情報をきめ細かく集めるべく、河川や道路をパトロールする人員を大幅に増やし、また、警戒連絡本部もランクEの体制を維持して、西庁舎に位置する災害対策本部と県下10箇所の地方事務所をテレビ会議網で結び、各現場からの報告を受け、的確な情報共有を全県下で努めると同時に、迅速な対応を行うべく指示を出しました。本庁、現地機関合わせ、現場パトロールや泊り込みでの警戒にあたった職員は、台風22号の際には593名、23号の際には933名に上っております。この成果と教訓を生かし、来季までにはさらに確かな情報共有・迅速対応の体制を構築したいと考えております。
 私は、台風22号の際には、家屋の庭先から地すべりが発生した信州新町の越道(こえどう)地区に、また、台風23号の際にはヘリコプターで、道路が寸断されて孤立した八坂村の各地区、加えて四賀村、明科町、奈川村、駒ヶ根市、辰野町などの罹災(りさい)地域に足を運ばせていただきました。その多くは山間地の集落であります。そして、こうした所にお住まいの自律心溢(あふ)れる方々も、誇るべき220万県民の一員です。これらの方々への心配りもまた、「コモンズからはじまる、信州ルネッサンス革命」を掲げる長野県として大切な責務のひとつ、と改めて実感しました。
 一時的にせよ今回、山間地の集落が孤立したことを踏まえ、災害発生後、交通条件等に恵まれていない中山間地域の方々が、他地域からの支援が得ることができるまでの間、自律的に対処する上での必需品である食糧、救急セット等について、災害救助基金を活用し、各集落ごとに備蓄を行ってまいります。
 今回の災害を貴重な教訓と受け止め、さらに総合的な防災対策に万全を期してまいりたいと存じます。

 新潟県中越地震に対する支援について申し上げます。
 10月23日に発生した新潟県中越地震は、お隣の新潟県に甚大な被害をもたらしました。「信越」という言葉が広く親しまれておりますように、本県にとりまして新潟県は昔から交流も深く、共に支えあうべき大切な隣人です。このたびの地震により尊い生命を失われた多くの方々とご遺族に対しまして、深く哀悼の意を表しますとともに、被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 こうした中、長野県では独自に「新潟県中越地震義援金」の受付窓口を設け、募金を呼び掛けましたところ、県民の皆様をはじめ全国の方々のご協力により、これまで、1億円余の募金が集まっております。多くの皆様の義援金や物資の提供、ボランティア活動などの温かい心づかいに深く感謝申し上げます。
 捻挫(ねんざ)等の負傷の方が3名に留(とど)まった長野県は震災発生翌朝から、集落が寸断された山古志村、川口町を中心に、乳児の離乳食をはじめとするさまざまな物資の支援をヘリコプターで行うとともに、泉田裕彦新潟県知事と連絡を取り合い、「適材適所・適宜・適量」なお手伝いを心掛けてきました。2日後には本県職員50名を5名一組10班で被災地に派遣するとともに、飲料水、食糧に留(とど)まらず、防寒着や下着、靴下、子どもや高齢者向け紙おむつなどの生活必需品も、心ある企業の皆様からのご支援もいただきながら、物資が行き届きにくい中山間地の半壊住宅やテント、車で生活される被災者の皆様へ県職員が直接お届けいたしました。
 また、物資及び人的な支援に加え、避難所生活が長期化し、肉体的にも精神的にも疲労が心配される被災者及びボランティアの方々に、県内の温泉施設でお休みいただくための支援体制を構築するとともに、ご高齢の被災者が県内の高齢者福祉施設をご利用いただけるように、千曲市や栄村、中野市をはじめとする各自治体や各施設のご協力を得て橋渡しを行う体制も始動しております。
 被災者の方々への心のケアについては、保健師やスクールカウンセラーで構成する「被災地支援キャラバン」を編成し、移動絵本図書館「おはなしパケット号」とともに派遣いたしました。余震におびえる子どもたちに絵本の読み聞かせを行ったり、クレヨンや色鉛筆、画用紙を用意して、子どもたちが絵を描くという行為によって、怖(おそ)れや悲しみといった感情を外へ出してもらう中で語り掛け、支える機会を創ってまいりました。
 集落が寸断された中山間地域で余震が今なお続く今回の震災は、被災者の皆様が元の生活を取り戻されるまでに、なおかなりの時間を要すると思われますが、今後ともきめ細やかな支援を行うとともに、避難所生活が長期化する被災者及びボランティアの皆様への精神的なサポートを積極的に行ってまいりたいと考えております。それは同時に私たちパブリック・サーヴァントとして働く者が、逆に被災者の方々から、行政のあるべきサーヴィスの姿を学ばせていただく、有り難き場でもあります。
 今回、被災地の状況を見聞してまず感じるのが、地域や人々の絆(きずな)、コミュニティが持つ力であります。信頼と協力の絆(きずな)で結ばれた「コモンズ」の創生こそが防災の原点、のみならず長野県が目指すべき社会の在り様(よう)なのだということを再認識したところです。

 スペシャルオリンピックスの支援について申し上げます。
 来年2月26日から開催される「2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会」の開催にあたり、大会運営費補助の補正予算をお願いするに至りました経過について改めてご説明申し上げ、議員の皆様のご理解を賜りますとともに、長野市を中心に6年前、オリンピック、パラリンピックが開催されました本県から再びスポーツの祭典を通じて日本中に、世界中に、分け隔てのない社会のさらなる充実というソフトパワーとしてのメッセージを発信する得難き機会の成功に向け、知的障害者の社会参加の促進と県民の皆様の障害者に対するより一層のご理解を深める上からも、予算案のご議決を心からお願いする次第であります。
 スペシャルオリンピックス日本の細川佳代子理事長と特定非営利活動法人2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会実行委員会の理事長に就任された盛田英粮(ひでお)氏からは当初、公的な支援を求めず民間主導で準備を進めるとのお話しでありました。
 一方、国においては、国会内に超党派の議員でスペシャルオリンピックス世界大会を支援する、スペシャルオリンピックス冬季長野大会支援議員連盟が結成され、8月6日には私どもの青山篤司出納長も出席して衆議院第一議員会館内で開かれました会合の席上、河野洋平衆議院議長から「是非とも成功させる必要がある。成功させなければ日本の姿勢が問われることになる」とのご発言がありました。同議員連盟の働きによる国の財政支援の流れが固まりつつあることを見据え、こうした国の動きに合わせて長野県側としても対応をしていく方針が確認されることとなり、これを踏まえて盛田理事長は、本年8月に県や長野市に対して財政支援を求めてきました。
 この間、私は、昨年の9月県議会以降の議会におきまして、地元国会議員等から県として財政支援を求められたことに対し、県は財政難ではあるが微力ながら尽くしてまいりたいと発言した旨のことをご説明しました。また、5月27日の知事会見におきまして、民間からの資金調達が遅れていることから国の財政支援の動きが具体化した状況に鑑(かんが)み、県としても財政支援をする旨の表明をいたしました。
 その後、さらに10月29日には森喜朗元首相を代表とする「2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会を成功させる会」が開催され、その委員であります私も出席させていただきました。ソニーの出井伸之会長、フジテレビジョンの日枝久会長、富士ゼロックスの小林陽太郎会長、本県選出の小坂憲次代議士らもご出席のこの場で、「広い心で支え合おう」とのご発言が森元首相からございました。
 安川英昭理事長の大変に有り難き献身的ご尽力の下、特定非営利活動法人2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会・長野(SONA)のメンバーにより急ピッチで進められている大会運営準備を目の当たりにし、また、世界大会に向け一生懸命練習に励むアスリートの姿を想像するにつけ、スペシャルオリンピックス冬季世界大会成功のため、県民の皆様の貴重な税金を投入させていただくことを、議員の皆様、県民の皆様に伏してお願い申し上げるところでございます。そして、大会の開催によって必ずや多くの県民、国民の皆様に大きな感動と共感を得ていただけるものと確信しているところです。
 なにとぞ、ご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

 次に、最近の経済動向について申し上げます。
 政府の景気判断によりますと、国内の経済状況はこのところ一部に弱い動きが見られるものの、国内民間需要が着実に増加していることから、景気の先行きについては回復が続くとしております。
 本県におきましても、輸出が増加しているほか、設備投資も製造業の増産投資や新製品開発投資を中心に増加するなど、長野県経済は、緩やかながら着実に回復しております。
 最近の急激な原油価格の高騰や円高など一部に懸念材料もありますが、今後は、景気が内需主導の自律的な成長軌道に乗り、好調な企業部門から家計部門へと回復の流れを確かなものにし、雇用の改善さらには所得の増加に着実につながるよう期待しているところであります。
 来年度の予算編成にあたりましては、国の歳出抑制方針から極めて厳しい環境に置かれることが避けられない状況ではありますが、景気の動向には引き続き十分な注意を払いつつ、身近な社会資本の整備をはじめ福祉施策の充実や、安全で快適な生活環境の整備など、「現在(いま)を守り、未来(あす)を創る」の精神で、県民の皆さんにとって豊かな未来を切り拓いていく施策の展開を目指してまいります。

 さて、今回提出いたしました一般会計補正予算案その他の案件につきまして、その概要を申し上げます。補正予算案は、一般会計237億1,030万3千円、特別会計5億6,000万円、企業特別会計85億5,232万6千円です。
 今回の補正予算案においては、台風23号等による県内被害への対応と新潟県中越地震を踏まえた災害対策など、災害関連経費を重点的に計上するとともに、厳しい財政状況の中でも縮み思考に陥ることなく、未来の信州の構築に向けた躍動感溢(あふ)れる施策を展開するため、所要の経費を計上いたしました。
災害関係につきましては、先程申し上げました台風23号等に伴う災害対策のほか、総合的な土砂災害対策を推進するため、土砂災害防止法に基づく警戒区域等の指定のための土砂災害基礎調査を追加して実施することとしました。
 また、新潟県中越地震の教訓を踏まえて、災害時の各種情報をリアルタイムに集約し、県、市町村、防災関係機関等が迅速な災害対策を講じられるよう、災害対策本部室の情報機器の充実や衛星携帯電話の設置等を行います。
 教育関係では、スペシャルオリンピックスの各種プログラムに自主的に参加する小中学校の学校活動に対して助成してまいります。「2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会」の実施概要が明らかになってきたことから、再度提案させていただきました。
 また、障害のある生徒やその保護者の「地域の学校で学びたい」という願いが高まっていることとあわせ、ノーマライゼーションの理念を一層推進させることを目指して、養護学校の地域化推進に取り組んでおります。その一環として、平成17年4月に長野養護学校高等部の分教室を、モデル校である更級(さらしな)農業高等学校内に開設するため、教室等の改修及び備品等の整備を行います。
 森林整備の推進について申し上げます。列状間伐に象徴される森林整備を効率的に進めることが喫緊の課題になっていることから、間伐材を搬出する高性能林業機械の必要性などに対する理解を高めるため、タワーヤーダ、フォワーダ等の導入を支援するとともに、集材・運搬等の一連の作業と機械操作に対する研修を実施してまいります。そのための財源として国庫補助金を確保した上で、再度提案させていただきました。
 野生鳥獣による農林業被害や人身被害の防止を図るため、早急に森林と人里の境にある荒廃森林等を整備して緩衝帯(かんしょうたい)を設け、野生鳥獣が集落、農地などの人里へ出没しにくい環境を整備してまいります。
 森林を社会全体の共通財産として位置付け、地域において、県民の理解と主体的な参加の下で森林づくりを行うことを基本理念に据えた「長野県ふるさとの森林づくり条例」が本年10月に制定されました。これを契機に、森林づくりへの県民の主体的な参加を促すため、地域住民と協働で企画・立案する「おらがコモンズの森林づくり大会」を根羽村で開催いたします。
 産業・雇用施策の充実に関しましては、須坂市にあります県営日(ひ)滝原(たきはら)産業団地の分譲に係る経費を計上するとともに、市町村が行う緊急的な雇用対策事業に対し、緊急雇用創出特別基金を活用して所要額を交付いたします。
 信州ブランドの推進について申し上げます。福祉医療・教育・環境の3分野の充実に重きを置き、併せて本県の強みであります製造業・農林業・観光業を3×3(スリー・バイ・スリー)の発想で組み合わせていく、さまざまな施策展開に際しては、その基本に「優しさ・確かさ・美しさ」を据えるべきだと考えてまいりました。福祉医療、教育の優しさと環境の美しさは改めて述べるまでもなかろうと思います。今後、さらに重きを置くべきは、分業化・IT化が進む日本社会の中で、ともすれば見失いがちな「確かさ」の追求です。日本酒とワインから始まりました長野県原産地呼称管理制度は、幸いにして高い評価を市場の専門家と消費者の間で獲得でき、自律的に努力する者が収益(イールド)の面でも報われる環境を生み出す努力をしております。今回、新たに加わりました米に関しても、清流と粘土質の大地に恵まれた本県産の評価を高めることに寄与するものと確信しています。
 温泉に関しても、13項目からなる「安心、安全、正直」な信州の温泉表示認定制度を近く、本格的に始動いたします。県下200箇所余りの温泉を訪れる皆さまに、個別の温泉利用施設に関するありのままの情報を事業者自らが的確に提供し、信州の温泉に対する信頼を高めるべく、全国に先駆けて長野県独自の温泉表示制度として創設したものです。本県観光の活性化に寄与するものと期待しております。
 なお、来年3月から愛知県で開催されます2005年日本国際博覧会「愛知万博」において、国内のみならず広く海外にも信州・長野県を積極的にPRするため、公式催事として「信州・長野県の日」を開催し、信州の「水と森」、「自然」をテーマにトークショー、伝統芸能の上演、特産品の展示などを行います。これもまた、環境の世紀に生きる信州ブランドの推進の一環です。
 その意味では、昨日からスタートしました県有施設の敷地内禁煙も、「優しさ・確かさ・美しさ」を大切にする信州ブランドの増進に寄与するものと考えます。県警察本部におかれては、私どもの取組にも増して積極的にご協力いただけていることに、この場をお借りして感謝を申し上げます。次代を担う子供達が学ぶ県下各地の小中学校においても可及的速やかに、その輪が広がっていくことを願っております。県議会棟の各会派におかれましても、ご理解とご協力を改めてお願いする次第です。
 情報化の推進につきましては、「いつでも、どこでも、何でも、だれも」が自律的に利用できる高度情報通信ネットワーク社会の実現を目指し、市町村と共同での低コストで安全な電子申請・届出システムの構築に向けて、国や先行都道府県のシステムを利活用するにあたっての問題点やその解決策についての調査、分析を行います。
 次に、しなの鉄道についてです。新たに制度化された「減損会計」の導入に伴って実施する事業資産の再評価により発生すると見込まれる巨額な特別損失に対応するため、JRからの資産購入の際に県からしなの鉄道に貸付けた資金を資本金に振り替える「債権の株式化」を行い、その経営健全化を支援してまいります。これにより、しなの鉄道の自律的経営がより一層目指せるものと考えております。
 このほか、治水・利水対策推進本部の方針に基づき、三郷村が行う地下水調査に助成するとともに、交通安全対策のために贈呈された寄付金を活用してビデオ教材を購入し、小学生や高齢者の交通安全意識を高めるための交通安全教室を開催してまいります。
 以上申し上げました一般会計補正予算案の財源として、地方交付税14億2,145万1千円、分担金及び負担金1,317万5千円、国庫支出金75億9,660万4千円、財産収入10億1,447万6千円、寄付金1,000万円、繰入金3億584万7千円、諸収入103億5,375万円、県債29億9,500万円を見込み、計上いたしました。
 本年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと、9,058億6,222万7千円となります。
 特別会計の補正予算案は小規模企業者等設備導入資金特別会計で、本年度からの新規貸付休止に伴い、貸付原資を償還する経費を計上いたしました。
 企業特別会計の補正予算案は、来年4月1日のガス事業の譲渡に向けて、ガス事業会計で借り入れている企業債を繰上(くりあげ)償還するための経費などを計上いたしました。

 次に、条例案は、廃止条例案1件、一部改正条例案7件であります。
 このうち、「職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例案」は、企業局松塩水道用水管理事務所本山浄水場の汚泥排出問題及び中国産「はるさめ」等からの過酸化ベンゾイル誤検出・誤発表問題の責任を深く受け止め、私の給料を3か月間20%、公営企業管理者の給料を3か月間10%減額するものです。なお、非常勤職員であります環境保全研究所長も自らの申し出により3か月間20%減額とすることを併せお伝えいたします。

 事件案は、市町村の廃置分合についてなど14件であります。

 専決処分の報告は、交通事故に係る損害賠償の専決処分など7件であります。

 今回提出いたしました議案に関するご説明を申し上げました。ご審議の上、ご議決賜りますよう、ご理解とご協力の程、お願い申し上げるとともに、併せて、私の住所地に関して、ご報告させていただきたく存じます。
 去る11月18日に最高裁判所第一小法廷において、私の上告は棄却されました。これに伴い、泰阜村と長野市の間で協議が行われ、5月13日以前は長野市の、5月14日以降は泰阜村の住民であると両首長の職権で昨日決定されました。生まれ育った、移り住んだコモンズで家族や隣人に見守られて天寿を全うできる環境の実現こそは基礎自治体が目指すべき最大の行政サーヴィス、との信念に基づき、小さくとも光り輝く、否、小さいからこそ光り輝く自治体運営を先駆的に実践してこられた村の住民としてお認めいただけたことを、関係各位に静かに感謝したいと思います。泰阜村に対する私の愛情と敬意は、今後も変わるものではありません。即(すなわ)ち、村の皆様に無用のご心労やご迷惑をお掛けすることは私の本意ではありません。呻吟(しんぎん)の末、民法解釈上でも広く認められた住所複数説の観点に立ち、同じく生活の実態を有する軽井沢町へと、12月2日・本日付で転入させていただきますことを、この場をお借りしてお伝えいたします。
 県庁所在地であります長野市から離れた県境には、軽井沢、上高地、蓼科、野辺山、野尻湖、妻籠、そして馬籠と信州の共有財産とも呼ぶべき場所が数多く存在しています。のみならず、長野県知事就任後に何(いず)れも私が訪れさせていただいた栄村の秋山郷、天龍村の中井(なかい)侍(ざむらい)、臼田町の馬坂(まさか)、小谷村の大網(おおあみ)をはじめとして、小集落ながらもそこには誇りを抱いてコモンズを育(はぐく)み続ける長野県民が暮らす場所が存在しています。その多くは一旦(いったん)、県境を越えて、新潟県や群馬県を通過した上で再び長野県へと戻らねば到達し得ぬ場所であります。 視聴できるのは他県のテレビ局であり、配達される新聞の地方面も他県版であったりします。他県の学校に通う若者も居ます。が、そうした状況下においても信州人、長野県民として生き続ける人々に、私はブラジルやアルゼンチンの各地でお目に掛かった方々に対してと同じく、深い感謝と畏敬(いけい)の念を抱くのです。 
 至らずながらも私の就任前から尽くさせていただいてきた道路や土地改良、防災等に留まらず、今まで我々が怠っていた、長野県民としての情報を共有していただける為のさまざまな取組を鋭意行わねば、と反省を込めて痛感しています。
 私は、山口村の「越県合併」に関する対応に関し、徹夜で今朝方まで悩み、考え続けました。恥を忍んで吐露すれば、多くの担当職員への迷惑も顧みず、この提案説明も午前8時過ぎに脱稿したところです。
 長野県知事としての私には、たとえ、それが相対的には少数者であろうとも、長野県民であり続けたいと願う方々を護(まも)らねばならぬ責務があります。国家が、パスポートを保有する自国民に対して、その保護を約束しているように。
 集落が、そこに暮らす人々を中心として構成されるコモンズであるように、長野県もまた、自律する信州としての統一性を目指すコモンズであります。全国4番目の広さを有する県土の、何(いず)れの地で生活する方々も、誠実で勤勉で向上心に溢(あふ)れる、誇るべき県民であります。そのコモンズの未来は、構成員全員の意思を踏まえて決定されねばなりません。県境や山間の地で郷土を守って暮らし、引き続き本県民でありたいと願う方々を失うことは、信州が信濃が、長野県でなくなってしまうことへと繋(つな)がりかねません。
 私は悩み抜いた末、山口村の方々のみならず、すべての県境の地で、今、この瞬間も働き、学び、暮らす県民の皆様に対し、一緒に歩みましょう、一緒に踏ん張りましょう、と申し上げたく思います。同じく長野県を愛し、その長野県を繁栄させるために車の両輪として今日、ここに相集いました県議会の皆様と、この点に関し、腹蔵無き議論を闘わせていただきたく存じます。

 以上、平成16年12月長野県議会定例会の開会に際し、長野県知事としての私の意思を申し述べさせていただきました。

(2004年12月2日)

 

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