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最終更新日:2003年03月24日

 

平成15年2月県議会定例会における知事議案説明要旨


 本日ここに平成15年度当初予算案をはじめとする、長野県の重要案件に関する御審議の機会を得ました。県民の代表たる皆様の御出席に心より感謝申し上げます。
 提出議案の説明に先立ち、新年度の県政運営に向け、私の所信をお話しさせていただきたく存じます。

 

 昨年12月、厚生労働省が公表した平成12年都道府県別生命表によると、長野県の平均寿命は、男性が78.90歳で1位、女性が85.31歳で3位でありました。「長寿国」日本において、長野県はまさに世界一の「長生きの里」とも言え、その地位を不動のものとしています。しかも、長野県における高齢者の就業率は全国一高く、一人当たりの老人医療費は全国一低いのです。
 加えて、これらの成果は、必ずしも行政の強いリーダーシップの下に達成されたものではありません。そこには農村医学に生涯を捧げた医師や看護師、保健師ら地域医療関係者の弛(たゆ)まぬ努力があり、何よりも彼らや彼女らの指導に対し、真摯(し)に応えて連携した、県民一人ひとりの健康意識の高さや健康づくりへの主体的な取組みがあったのです。
 産業界においてもまた、その変革の担い手は常に県民でありました。
 製糸から出発した長野県の製造業は、精密機械工業へ、そしてITに代表される電気機械工業へと大転換を果たしましたが、それらもまた、行政の庇(ひ)護の下に行われたものでなく、進取の気性に富む地場の経営者と勤勉な長野県民の意欲と協力の賜(たま)物だったのです。
 このように今日の長野県は、自律心と向上心に溢(あふ)れる県民の、自己判断、自己責任に基づいた行動と、一人ひとりの相貌(かお)が見える緩やかな集合体としての協働が創り上げてきた産物といえます。
 しかしながら、バブル経済崩壊後、日本経済が長期低迷する中で、未だかつて経験したことのない人口減少・超高齢社会の到来を目の当たりにし、日本という社会は明治維新以来の歴史的な転換期を迎えることになりました。
 冬季オリンピックという世界的な宴を成功裏に終えた後の長野県もまた、次なる私たちが目指すべき方向をすぐには見出せず、誰もが変革への期待を抱きながらも、“燃え尽き症候群”とも評するべき閉塞感に陥っていたのかも知れません。加えて、バブル経済期の終焉(えん)後に更に、最大時で公共事業費が約2倍に、県単独事業費が約3倍に膨れ上がった長野県は、その後遺症としての歪みが顕在化し始め、今こそ改革を行わねばとの想いが、長野県を愛する県民の共通認識として膨らんでいったのです。
 平成12年10月の長野県知事選挙に引き続いて昨年9月に私が再び県民の負託を受け、引き続き県政を担うこととなったのも、改革をさらに推し進めることを有権者であり納税者である県民が望んだ結果にほかなりません。県民が求めているのは、社会のあり方を変えることに留まらず、県職員の意識や仕事の内容、方法を変えることであります。
 私をはじめとする3万人余の県職員は、県民のための奉仕者であるとの誓いを改めて心に刻み込む必要がありましょう。この議会棟の隣に位置する本庁舎、あるいは霞が関や永田町、さらには各種の補助金でつながる団体や組織を向いて仕事をするのではなく、県民の切なさを敏感に捉(とら)え、社会の矛盾や不正に県民と共に憤り、解決すべく全力を尽くし、最後には県民と共に微笑(ほほえ)むことができる長野県を目指すパブリック・サーヴァントたるべきです。組織改編に加えて、人事評価や人事研修も抜本的に変わらねばなりますまい。頭で考えた内容を書類に記す前に、体で感じた内容を実行に移す。こうした意識と意欲の県職員一人ひとりが、向上心溢(あふ)れる県民と県民との接続コードの役割を果たしてまいります。
 自律した県民と県民の力、さらに豊かな自然の力が融合した時、まさに日本列島の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁する長野県において、私たちが自然の恵みを存分に享受し、生き生きと暮らしていける、持続可能な脱物質型社会、すなわち低成長下においても豊かさを実感できる社会が、他の日本のいかなる地域にも先駆けて構築できるでありましょう。
 さて、最近の国内の経済動向を見ますと、牽(けん)引役である輸出が不安定な動きを続ける中、企業収益には改善が見られるものの、生産は弱含みで完全失業率も高水準に推移しており、景気は引き続き踊り場をふらついています。長野県においても、個人消費全体の動きには力強さが見られず、設備投資も抑制的であるなど、底入れ後の足踏み状態にあります。
 このような状況下、国会において審議されている平成15年度の国の予算案を見ますと、税収が前年度に比べ10.7%減少する一方、国債発行額は36兆4千億円と平成14年度における抑制目標額30兆円を大きく超え、公債依存度が44.6%と過去最悪となるなど、待ったなしの状態に追い込まれている日本の財政状況を如実に物語っています。一方、来年度の地方財政計画における地方財政の規模は、前年度に比べマイナス1.5%で2年連続の減額となり、地方の財政運営は極めて厳しい局面に立たされることが予想されます。
 長野県においても、戦後最大の県税収入の落込みと、1兆6千5百億円もの県債残高、1日当たりの利息が約1億2千万円という天文学的課題を抱える中、持続的な財政構造への転換を図るため、このたび「財政改革推進プログラム」を策定しました。また同時に、「産業活性化・雇用創出プラン」を発表し、これからの産業活性化と雇用創出の道筋を示しました。
 「産業活性化・雇用創出プラン」では、産業活性化による雇用創出について、新産業創出も含め、分野ごとの施策展開を提示したほか、雇用のミスマッチの解消や就業機会の確保についても具体的な方策を組み立てました。特に、産業構造変化の痛みを最も感じている建設産業については、その影響を緩和するため、建設産業の構造改革を後押しするチームを設置するなど、経営革新、新分野への進出を支援してまいります。
 この「産業活性化・雇用創出プラン」に掲げる施策を実施することにより、財政改革推進期間中の平成15年度から平成18年度までの4年間に常勤雇用で2万人を超える雇用創出が図られるものと予想しております。
 「財政改革推進プログラム」、「産業活性化・雇用創出プラン」、そして今回提出しました「平成15年度当初予算案」が三位一体として機能することによって、長野県の社会・経済構造の改革は推し進められるものと考えます。
 
 それでは、今議会に提出しました平成15年度の当初予算案とその他案件に関して、御説明申し上げます。
 平成15年度の当初予算総額は、一般会計9,356億6,446万3千円、特別会計2,337億 6,084万8千円、企業特別会計445億3,898万9千円であります。
 特別会計は、公債費特別会計など10会計、企業特別会計は、病院事業会計など5会計であります。
 
 今回の予算案は、「財政改革推進プログラム」に基づき「長野モデル創造枠」を活用した、選択と集中による「財政改革断行予算」と位置付けられます。
 旧来型の公共事業の削減や職員給料の減額等により予算規模は縮小していますが、福祉・医療、環境、教育、産業・雇用など、真に必要な施策には重点的に財源を配分しており、義務費と投資的経費を除いたその他行政費では、歳出の抜本的見直しを勘案すると実質的に前年度を上回る額を計上しております。
 また、あらかじめ申し上げておけば、ここでの長野モデルとは、モデル事業、サンセット事業と称する、いわば行政が仕事を確保するための事業、予算を確保するための事業ではなく、まさに私たちの歩むべき道としての長野ウェイ、長野スタイルであり、取り入れるべき規模・構造・性能としての長野スペック、長野スタイルであり、つまりは長野県の哲学であります。従来の問題調整型の発想から転換し、日本の改革をリードする新たな長野県を創るため、重点分野の施策に加え、新たな視点や手法で先導的に県民益を創出するための事業を展開していくものです。長野モデルの採択に当たっては、構造改革特区に関し寄せられた多くの提案のように、規制の枠を乗り越えるコペルニクス的な現場からの発想を大切にしました。
 さらに、予算編成過程においては、予算がなければ事業はできないという考えを排し、予算なしでも県職員が自ら市町村や県民の中に飛び込み、足を使い、汗をかくことにより実現できる事業の導入を検討し、いわゆる「ゼロ予算事業」として積極的に取り組むこととしました。県政最大の事業費とは実は、警察・教育を加えれば3万人にならんとする、長野県最大の雇用の場たる県庁で働く地方公務員の人件費でありましょう。当初予算案における人件費の割合は、29.3%に上ります。一人ひとりの県職員が県民サービスを行う営業担当者の心意気で取り組む。これもまた、財政改革の新しい方向です。
 なお、人件費の削減に関しては、議会の方々には既に、議長20%、副議長15%、議員10%の報酬の減額に御協力をいただき、また、副知事等の特別職の給料は20%、私も30%の減額を行っていますが、このたび一般職の方々に関しても平成15年4月1日から3年間、給料を5%ないし10%、人事委員会勧告分と合わせますと7%ないし12%減額することで御同意いただきました。50時間に及ぶ話合いの末、御理解くださった職員一人ひとりに、改めて感謝の意を表します。
 
 言うまでもなく、財政改革とは、単なる収支の帳尻合わせではありません。
 これまでの常識や慣習を良い意味で打ち破り、真に必要な施策に大胆な発想で財源配分を行うとともに、産業の活性化や雇用の創出を図ることにより安定的な財源を確保し、21世紀型の新たな財政システムを構築することです。
 平成15年度の当初予算案は、このような理念のもとに、「優しさ」「確かさ」「美しさ」という、数字の世界では表しにくい県民一人ひとりの思いを踏まえ、編成したものです。
 
 最初に、「優しさ」の実現です。
 「優しさ」とは、他人に対する哀れみや同情ではありません。私たちが目指すのは、互いに特別視せず認め合い、優しいまなざしをもって見詰め合える社会、年齢や性別、肩書きや経歴、国籍や障害の別を問わず、誰もが人の息吹や温もりを当たり前のように感じ、共に暮らせる社会です。
 「優しさ」の1番目は、地域で支える福祉社会です。高齢になっても、障害を持っても、できるだけ地域で暮らしていくことができるよう、住民参加型の地域福祉を推進してまいります。
 まず、高齢者の在宅福祉です。高齢者が住み慣れた地域の中で、家庭的な雰囲気のもと、ニーズに応じた細かなケアが受けられるサービスを充実するため、NPO法人等が行う民家活用型の宅幼老所の開設を支援してまいります。平成15年度からは、宅幼老所への参入を促進するため、支援の対象を有限会社等の営利法人にも拡大することにしました。宅幼老所が福祉コミュニティの拠点として対応できるよう職員の研修も行ってまいります。老人は老人だけ、幼児は幼児だけ、という隔離型発想の福祉を転換していこう、という願いが宅幼老所という名称に込められています。今後、軽度な痴呆性老人のお世話も宅幼老所で可能となるよう取り組んでまいります。また、在宅における介護者の急病等、緊急時おいても、要介護者が安心して必要なサービスが受けられるよう「家庭介護者緊急時安心ネットワーク整備事業」として、ショートステイの日々の空き情報を提供するシステムを構築するとともに、緊急時におけるヘルパーの派遣や、宅幼老所において一時的に宿泊等ができるスポットステイを推進します。
 障害者福祉においても、障害者の地域生活を積極的に応援してまいります。例えば、障害者を雇用するベーカリーを創業し、そこを舞台として、障害者が自らの能力を発揮し収入を得ることにより、経済的に自律できるよう手助けします。共同作業所の魅力ある製品づくりについても支援策を講じます。また、障害者のITに関する相談支援やITを利用した就労を開拓していくため、「障害者ITサポートセンター」を設置します。サポートセンターはNPO法人等に委託し「ITサポートコーディネーター」による各種相談、情報提供、スキルアップ研修等のIT活動支援を行うとともに、パソコンボランティアを養成し、障害者の申請に応じて派遣してまいります。
 医療機能のない施設に通う障害児・者に対しては、吸痰(たん)、経管栄養等の医療的ケアを含む看護サービスが可能となるよう、訪問看護ステーションが利用者との契約により関係施設に看護師を派遣する制度を創設し、助成することとしました。「障害児放課後等交流促進事業」は、放課後や休業日において、就学障害児に適切な遊び場や生活の場を提供し、他の児童等との交流を通じ障害児の健全育成や自律促進を図るものです。
 なお、西駒郷利用者の地域生活への移行支援につきましては、障害の程度に応じ自律のための訓練を実施するとともに、地域での生活の場を確保するため、西駒郷利用者のためのグループホームの整備に対しては、通常の補助金に上乗せして補助し地域生活への移行を短期間で集中的に進めてまいります。
 このほか、県民の目線に立ち、新たな地域福祉の推進策を立案しました。
 母子家庭等に対しては、就業・自律の総合的支援を講ずることとしております。具体的には、母子家庭の母等のために企業訪問や企業開拓を行う就業支援員を配置するとともに、資格取得のため就業支援講習会の開催や教育訓練講座の受講に対する給付金の支給などを行います。
 移動の困難な障害者等の福祉移送サービスにつきましては、サービスを実施するNPO法人等が福祉移送のための自動車を新規に購入した場合、その購入に対し補助金を交付するとともに、「障害者タイムケア事業」について、これまでの施設における障害児・者の一時介護に加え、自宅等からの送迎も対象となるよう改正します。
 県営住宅の一部を福祉目的化して、ドメスティック・バイオレンス被害者等を優先入居させる自律支援住宅やグループホームへの活用を図るとともに、身体障害者の入居が可能となるよう改修を進めてまいります。
 「みんなですすめる人権尊重プログラム支援事業」では、さまざまな人権問題に関する独創的、先駆的な人権意識高揚プログラムを県民から募集し、公開プレゼンテーションを経て審査委員会で決定のうえ、その実践活動を支援することとしました。
 なお、福祉医療費の給付については、平成15年7月から自動給付方式の導入、乳幼児の対象年齢引上げなどの措置を講じ、乳幼児や障害者の皆様が安心して医療を受けられるよう努めてまいります。
 「優しさ」の2番目は、未来を育む人づくりです。
 学校教育に関しては、きめこまやかな教育を推進していくため、小・中学校における少人数学習指導体制を充実してまいります。特に、平成14年度から小学校1年生に導入した30人規模学級について、平成15年度には3年生までの低学年すべての学級で実施します。さらに平成16年度以降、4年生以上の高学年についても、意欲ある市町村においてはその協力を得ながら拡大し、小学校の全学年全学級において30人規模学級を実現したいと考えております。また、さまざまな悩みや不安を抱える児童生徒を共感的に理解し支援するため、臨床心理士など心の専門家であるスクールカウンセラーを増員し、相談・指導体制の強化を図ります。不登校の児童生徒に対しても、新たにフリースクール関係者等、不登校に関わる民間の人々と連携して、各地域で「子どもサポートチーム」を組織し、地域の実情にあった支援体制を整備してまいります。国際化への対応に当たっては、アジア諸国から引き続き高校留学生を受け入れ、国際的視野を広げる教育を推進するとともに、県立高等学校の農業科・林業科設置校の活性化を促進します。
 また、子どもたちが行きたい学校に自由に行くことができるチャータースクールの運営方法等の検討を行う委員会を設置し、新しいタイプの学校づくりを推進することとしました。生徒の多様化や社会の変化に対応した高等学校の改革プランも検討いたします。さらに、学力向上の推進や、個性ある学校づくりにも積極的に取り組んでまいります。また、教員の資質向上については、平成14年8月に取りまとめた「教員の資質向上のためのアクション・プログラム」を着実に推進することとしております。このため、児童生徒に対する教育の責任が果せない教員の判定機関を設置するとともに、教員研修を充実させることとしており、例えば、英語教員の英語力向上と教授法の改善などを目的として、中学校と高等学校の全英語教員を対象とした集中的な研修を新たに実施します。教員の能力や実績等を適正に評価し、自己啓発や研修等に生かす、新しい教員評価制度も検討してまいります。
 次に、子育て環境の整備については、引き続き多様な保育サービスを提供する特別保育への支援を充実してまいりますが、新たに、核家族化が進む中、産後の体調不良等により家事や育児が困難で介助する人がいない家庭に対し、母体の保護と児童の健全な育成を図る目的から保育士等を自宅に派遣する「産後ママヘルパー事業」を創設します。また、地域における科学体験活動の広がりを支援するため「わくわくサイエンス推進事業」を実施し、子どもたちが直接科学体験できる場を提供します。「おはなしドキドキぱーく事業」は、子どもの夢を育むための絵本の読み聞かせや紙芝居等を行うアトラクション自動車を、NPO等と協働して運行するものです。
 「優しさ」の3番目はいつでも安心の医療です。
 医療提供体制の整備に向け、自治医科大学卒業医師の配置等に関する基本方針を見直し、卒業医師全員が全義務年限を通じて、医師確保に悩むへき地診療所やへき地病院等に勤務するよう、県が派遣先を決定してまいります。須坂病院の結核病床の開設など、県立病院の機能も充実します。なお、小児救急の実態に即した小児救急医療体制の検討を行うため、長野市、松本市における「小児初期救急医療体制整備事業」を引き続き実施することとしております。
 心と身体の健康づくりの推進では、県民が自らの健康状態を自覚し、健康づくりに対する意識の高揚と実践へのきっかけづくりを推進するため、休日や祝祭日にスーパーや駅前広場など県民が気軽に訪れる場所において健康相談等を実施する「タウン保健所」を開催することとしました。また、社会復帰を希望する精神病院の長期入院者の退院を援助するため、退院に向けての訓練により社会復帰を促進するとともに、精神保健ボランティア等の福祉人材の育成や地域における支援体制の整備を図ってまいります。
 「優しさ」の4番目は、雇用のミスマッチの解消と就業機会の確保です。
 県内の有効求人倍率は、平成14年12月時点で0.71倍と3か月連続で上昇し、全国順位も10位と、他県に比べれば恵まれた雇用環境となっていますが、水準そのものは低く、依然として厳しい状況が続いています。「産業活性化・雇用創出プラン」に沿って、必要な再就職支援と職業能力開発に力を注いでまいります。
 まず、働き盛りの世代を対象とした「トライアル雇用事業」を展開し、あらゆる世代の雇用のミスマッチ解消を図ります。すなわち、国の制度でカバーしていない、30歳以上45歳未満で雇用保険受給資格のない離転職者を雇用する事業主に対して、3か月の試行期間中、支払い賃金の一部を助成することとしました。また、中小企業の経営革新や事業の立上げに必要な経験能力がありながら、現在求職中の方をアドバイザーとして雇用し、必要とする中小企業等に派遣するほか、飲食業等のサービス業に就職を望む失業者を対象に就職マナー講座を開催するなど、働く意欲のある方の就職を支援します。さらに、現場実習を中心とした求人セット型事業主委託訓練や民間教育訓練機関を活用した職業訓練、IT化に対応した職業訓練にも積極的に取り組みます。
 就業機会の確保については、職員採用を抑制する財政改革推進期間中の緊急雇用対策として、県が若年者を対象に直接短期雇用を行うこととしました。また、緊急的な雇用創出のため、市町村とともに「緊急雇用創出特別基金事業」を継続して実施してまいります。
 建設産業の構造改革も喫緊の課題です。意欲ある建設業者がさらに成長していくとともに、多様な選択が可能となるよう環境整備を行います。特に、新分野への進出を支援するため、建設産業の新分野進出サポートシステムを構築し、建設相談110番の設置や建設産業支援アドバイザーによる相談を実施することとしました。中小企業融資制度資金においては、建設業新分野進出支援資金を創設し、金融面でもお手伝いしてまいります。また、県内業者の受注を確保するため、JV発注から単独発注への切替えや分離分割発注を推進するとともに、専門工事業者の受注機会が増加するよう、専門工事を直接受注できる仕組みづくりや参加希望型指名競争入札の拡充にも努めます。
 
 続いて、「確かさ」の達成です。
 今、混迷する社会・経済情勢の中で、県民の多くは不確実な将来に居場所を見出せず、不安を抱えたまま暮らしています。何よりも、生きる意欲のある人が確かさを実感できる社会でなくてはなりません。努力する人が報われる、不安を感じず前向きに生きられる、それが私たちの願う「確かさ」です。
 「確かさ」の1番目は未来を拓(ひら)く産業の創造です。
 長野県では、製造業、農林業、観光業という従来からの主力3産業と福祉・医療、環境、教育という人材活用型の成長3分野を掛け合わせる、スリー・バイ・スリーの施策展開を図ることにより、新たな産業の創造と発展を目指しています。
 まず、「サステナブルNAGANOの推進」は、福祉・医療、環境関連技術などを活用した持続可能な産業社会システムを形成するための試みです。環境立県として、環境との調和や環境負荷の低減に努める企業の育成のため、経営・技術開発面で支援してまいります。サステナブル理念の普及・啓発や県内中小企業のサステナブル技術開発に対する助成、工業関係試験場へのナノテクノロジーやバイオテクノロジーに関する測定・分析機器等の導入がその主なものです。また、コンソーシアム研究開発によるスリー・バイ・スリー産業の創出を推進するため、産学官連携の研究共同体へ、研究や試作開発の委託を行います。
 加えて、市町村等の地域産業創出プロジェクトで、スリー・バイ・スリー産業の育成を図り、経済効果、雇用効果の高い先駆的取組みに対しては、経済・雇用環境が厳しい地域に配慮しつつ、新たに助成策を講ずることとしました。
 成長産業を生む可能性としては、コミュニティ・ビジネスにも大きな期待が寄せられています。地域経済の活性化や雇用機会の増大に寄与する新たなビジネスモデルの成功事例を生み出すべく、コミュニティ・ビジネスに対し実践的な支援を行う機関を設立することとし、平成15年度はこの支援機関となるNPOの設立準備を行います。「コミュニティ・ビジネス創業資金助成事業」では、地域コミュニティを意識したビジネスプランを公募し、社会性・事業効果の高いものに対し支援することにより、ビジネスプランの事業化を促進してまいります。また、地域において十分な経営力や技術力を持ちながらも、後継者不足等で事業の継承がままならない中小企業者の事業の円滑な継承を図るための融資制度を創設します。
 新規分野への具体的展開に関しても、数々の支援メニューを用意しました。
 例えば、県内製造業者の福祉機器・健康用具の分野への新規進出、業種転換等を促進するため、商品企画から販売に至るまでの各段階において経営・技術アドバイザーを派遣するなど企業活動を支援します。
 「集落づくり・交流促進総合支援事業」は、農業と観光・商業との連携による地域の総合的な活性化プロジェクトから生まれたものです。プロジェクト実行チームが、地域や集落の自律を目指して活動するグループ等が行う地域の宝探し、人づくり、場づくり、ネットワークづくり等の取組みに対し総合的支援を行い、内発的な活力による地域の活性化と雇用創出を図ってまいります。
 木材関連産業の活性化の方策としては、カラマツ等県産材利用による信州の景観にマッチした信州型木製ガードレールの導入を推進します。意欲ある民間企業と共同して開発を行い、出来上がった成果品は、技術審査のうえ県管理道路等に積極的に活用してまいります。そのほか、これまで県内で製造されることが少なかった針葉樹家具を、一流デザイナーの手で高感度消費者を対象とするブランド化を図り、市場に流通させることで新たな産業として育ててまいります。また、循環型の資材である間伐材を材料に、自然生態系がもつ循環システムを利用した、新たな湖沼浄化システムを構築し、システムの作成法を県内外に普及することにより、環境浄化の資材として間伐材の新たなマーケットを創出します。新しい視点としては、森林が持つ癒(いや)しの機能を活用した新たな地域産業を創造するため、訪れた人が元気になる森林の利活用マニュアルの作成や都会から人を受け入れる環境整備に助成し、山村地域の活性化を図ってまいります。
 未来を拓(ひら)く産業を創造するには、新しい血を導入することも必要です。新規参入を促す意味で、総合的な創業支援と企業誘致に取り組むこととしております。
 まず、福祉・医療、環境、教育等の戦略的新事業分野をはじめ、多様な業種・業態におけるスムーズな創業を総合的に支援する体制を整備し、創業・起業に係る支援策を積極的に実施してまいります。このため、学識経験者や著名企業経営者で構成する「NAGANOベンチャー企業目利き委員会」が、創業者・ベンチャー企業等から応募のあった新事業プランについて評価・認定を行い、優秀と評価された事業プランについては、中小企業支援センターがPRや事業支援を行うこととします。また、新たに農業・社会福祉分野のビジネスコーディネーターを設置し、農商工融合分野や事業型NPOなどを対象とした、創業支援のワンストップサービスを充実、強化することとしました。さらに、県内各地域において中小企業共同受注グループ等が取り組んでいる商品開発、販路開拓等に対し、商品企画や営業経験を持つ企業経験者を雇用し、アドバイス支援が行える体制を整備してまいります。資金面の支援としては、地域の自律した企業等グループが作る地域創業支援ファンドに対し出資するため、中小企業振興公社に「草の根創業支援ファンド」を創設します。また、資金供給の円滑化を図るため、融資制度資金の貸付利率の引下げや、貸付限度額の引上げを行います。
 企業誘致策では、県営産業団地に、分譲を前提とした最長10年の無償貸付制度を導入することにしました。立地企業の初期投資額の軽減を図るとともに、企業ニーズに応じた土地の利用メニューを増やし、企業立地を促進してまいります。
 さて、産業の創造には、民間活力を発揮させる環境整備も重要な要素です。
 昨年12月に発表された、アメリカの調査会社ガ−トナーの日本法人など3社が実施した自治体のIT浸透度に関する共同調査の結果によると、前年10位だった長野県が1位となりました。パソコンの普及率や職員の習熟度が評価されたものですが、今後は、この結果に満足することなく、県民誰もが、ITの恩恵を受け、自律的な能力を発揮できるよう、情報インフラの整備を早急に進める必要があります。
 このため、高速情報通信ネットワークの実現に向け、引き続き、情報通信分野において幅広い知識・経験を有する方々を、よき指導者・助言者を意味するメンターとして選任し、民間活力の導入を視野に入れた整備運営方法等について検討を行ってまいります。また、軽井沢町、飯田市、栄村においてブロードバンドを活用したモデル事業を実施し、県民がどのような恩恵を享受できるかを示すことにより、ユーザーの需要を喚起します。「いつでも・どこでも・だれもが」県政改革に参加し、発言し、行動できるのが今日の長野県です。美しい自然環境と豊かな農作物、勤勉な県民性で知られるその長野県に更なる魅力を感じて、Iターン、Jターン、Uターンの新たな隣人が増えていくためにも、IT環境の整備を進めます。
 次に、個々の産業の振興策について申し上げます。
 ものづくり産業に関しては、昨年12月に信州ものづくり産業戦略会議が最終まとめを発表しました。信州ものづくり産業のあるべき姿を、信州で培われた特色ある技術や人材を活用した製品の提供、環境負荷の低減など5つのビジョンとして示し、それを実現するための産業界、教育研究機関、県民、行政の活動を4つのミッションとして提言したものです。今後、この提言に基づき、順次施策化を図ってまいります。
 技術力の大切さに着目した施策として「ものづくり基盤的技術継承事業」は、熟練技術技能者による「ものづくり寺子屋塾」の開催などにより、ものづくり基盤技術の若手人材への継承を図るものです。また、長野県産業の発展に必要な技術力・知的財産を有する中小企業者に対しては、その技術力・知的財産を拠(よ)り所とした無担保融資制度を創設することにしました。知的財産化の促進に関しては、研究成果の目利きや特許等に関するアドバイスを行う「特許コンシェルジュ」を派遣する制度を設けます。工業関係試験場においては、企業の技術開発を支援するための機器を計画的に導入し、また依頼試験オペレーターを新たに配置します。
 なお、県内中小企業の海外取引を促進するため、海外取引コールセンターを中小企業振興公社に設置するとともに、中国に窓口を設置する可能性について調査してまいります。
 次は、農業の活性化についてです。「新規就農里親支援事業」は、Iターン者等の地域への就農を促進するため、意欲ある農業者に受入れをお願いし、農業者の知識・経験・信用を最大限に生かした新たな就農支援の仕組みづくりを行うものです。また、平成14年度に発足した「原産地呼称管理制度」については、平成15年度に、この制度に基づき日本酒・ワインの認定を行うほか、食肉・乳製品・米・野菜・くだもの・そばの6品目についても制度導入の検討を行います。
 地産地消を推進する新たな試みである「農産物の旬を味わう長野モデル推進事業」では、「地域食材の日」を7月、9月、10月の各月1回定め、良質で安全・安心な地元の農産物を、県内すべての小学校、中学校、養護学校等の学校給食に食材として提供し、食の確かさを実感するとともに、次世代を担う子どもたちに食と農への関心を高めていただきます。信州農産物の料理業界への売込み戦略としては、情報発信力のあるシェフ等料理業界関係者を対象に県産農産物の試食会を行い、農産物全体のPRを図るとともに新たな流通ルートを開拓します。
 続いては、観光の振興です。長野県への誘客のため、日本への観光客の増加が期待される台湾、韓国、中国をターゲットとし、各国の状況に対応した誘客宣伝活動等を行う「NAGANO・ハートオブジャパン・ワールドプロモーション事業」を実施します。さらに、各種メディアとのコラボレーションによるPR活動を行い、全国に向け長野県観光を積極的に情報発信する「長野県イメージアップ大作戦」を展開します。信州観光のレベルアップを図る施策としては、専門家から地域住民まで幅広いレベルの人材育成システムである「信州ホスピタリティ・アカデミー」を構築し、観光を担う人材を養成してまいります。そのほか、インフィオラータ、信州の春・花キャンペーンなどを行う「信州の花まつり」を開催し、また、スキー再興戦略会議やスキー場再生大作戦等により「スキー王国NAGANO」を推進してまいります。
 「確かさ」の2番目は明日のための新たなシステムづくりです。
 そのひとつは、公共投資の重点化・効率化です。公共事業費は約1割、県単独事業費は約2割の減額となっていますが、無駄を排除し、真に必要な箇所に必要な事業量を確保するよう配慮しております。
 こうした中、道路整備については、地域の実情に応じたローカルルールにより、効果的、効率的に推進することとしました。平成15年度からは1.5車線道路の整備を順次行うこととしており、その効果を検証しながら、ローカルルールの本格的な適用を図ってまいります。また、今回創設する「手づくり農村支援事業」は、環境に優しい木や石を使った水路や、地域の実情に沿った農道の整備を促進するため、地域住民が協働して行う工事や維持管理活動に対し助成するものです。地域住民が自ら施工することにより、農村の活力を取り戻し、自律へのステップとなるものであり、こうした住民参加型の直営方式による公共事業の拡大を図ってまいります。
 入札の制度改正については、今月3日から、入札・契約手続きの透明性、公平性、競争性を確保するため、郵送での受付け後に事後審査して落札者を決定する「受注希望型競争入札制度」を建設工事にも試行導入しました。平成15年度は、引き続き試行するとともに、入札参加者の負担軽減、入札業務の効率化・省力化に向けて、電子入札システムを構築してまいります。
 次に、治水・利水対策の推進です。
 浅川・砥川の治水・利水対策については、平成15年度中に治水計画を固め、平成16年度に河川改修に着手したいと考えております。また、基本高水の再検証は今後5年間を目標に進めてまいります。さらに、両河川上流の森林整備は平成15年度から重点的に着手し、概ね10か年で完成させる予定です。未答申の7河川については、答申後速やかに治水・利水対策推進本部において対策を検討してまいります。
 なお、工事契約を解除した浅川ダム本体工事請負契約に関し、1月31日に長野県公共工事入札等適正化委員会より、入札時に談合があったとする報告書が提出されました。これを受け2月5日、公正取引委員会にその内容を報告したところです。
 平成15年度の施策としては、治水・利水ダム等検討委員会での議論を踏まえ、具体的な対策の実現に向けて、河川流域ごとに「流域協議会」を設置し、行政と住民が共に知恵を出し合いながら総合的な治水・利水対策を推進することとしております。流域対策調査では、ダムによらない治水対策を進めるため、農業用ため池を利用した流出抑制量や水田貯留による流出抑制量を定量化するための調査を行います。また、市街地の河川への雨水流入抑制に向けて、一級河川大川において、河川改修に組み合わせた調整池、道路排水網の見直し、各戸貯留等の実行可能性を調査します。森林整備については、浅川・砥川・薄川などの特に重要な流域で緊急に進めるために、県が森林所有者に代わって森林整備を行うなど、造林事業と治山事業を一体的・集中的に実施してまいります。
 新たなシステムづくりとしては、NPO活動の振興もそのひとつです。「NPOマネジメント支援事業」は、新たな公的サービスの担い手であるNPOの自律のため、NPOの運営管理、会計・税務、労務管理等について、専門家を派遣し、運営能力向上のための支援を行うものです。また、事業に必要な設備資金や運転資金の借入れに対して利子補給する融資制度を創設します。さらに、NPOと行政が協働で実施する事業に対し、新たに助成してまいります。NPO法人活動支援税制も創設することとしました。
 外国籍県民との共生については、くらしのサポーターを引き続き設置するほか、新たに法律相談を実施するなど外国籍県民が安心して暮らすことができるよう支援してまいります。このほか新しい事業として、外国籍児童の日本の学校への就学を促進するため、親と子が共に日本語を学べる教室の開設や日本語教室に関わるボランティア等が活用できる参考図書の収集・提供に取り組むこととしました。また、外国籍県民が抱える健康への不安等を解消するため、NPOと協働して、外国籍県民のための健康相談や検診を実施するなど、外国籍県民の心と身体の安心サポート体制を整備します。なお、緊急に医療が必要な外国籍県民が救急医療を受けた結果未払いとなっている医療費について、外国籍県民の命を守る人道的観点から医療機関に対し助成することとしました。
 地域の活性化も新たなシステムづくりの一環です。
 地域活性化の手段となる地域通貨は、コミュニティや地域経済の活性化に有用なツールであり、県内でも取組みの気運が高まりつつあります。このため、各地域での自発的な意欲や多様な発想による地域通貨への取組みを支援することとし、フォーラムやリーダー養成講座の開催、アドバイザーの派遣等を行ってまいります。
 また、地域の実情に即した創意と工夫による事業を地域の判断で実施し、個性ある地域の振興を図るため、地域づくり総合支援事業補助金を引き続き交付します。
 そのほか、地域の魅力を再発見し人が集まる里づくりを進める「隠れ里プロジェクトチーム」による検討や、NPOと連携した「未来を拓(ひら)く長野のエース」の発掘、紹介を行います。さらに、下諏訪の御柱の里における里山集落活性化に向けた取組みについて、調査研究してまいります。高校生の地域との交流促進に関しては、高校生にNPO活動の体験の場を提供するとともに、自主的に行う地域貢献活動などを支援することとしました。
 もうひとつ、新たなシステムづくりの課題は、県庁の改革です。
 行政改革については、平成14年度に引き続き「新行政改革プロセス構築事業」を実施し、職員の主体的参加を通じた全庁的な取組みを進めてまいります。長野県の外郭団体の見直しでは、行政機構審議会内に設置した専門委員会での検討を踏まえ、57団体の統廃合など具体的な改革実施プランを策定してまいります。企業局についても、電気・ガス・水道事業の民営化や外部委託について専門家を交え検討を始めました。
 また、冬季オリンピック招致の帳簿問題、県財政悪化の要因、しなの鉄道の資産譲渡・営業区間決定に至った経過について、それぞれに独立した委員会を設置し、関係者への調査を行い、これまでの県政の判断と軌跡を検証します。一方、これからの県政の羅針盤として、県政運営への適時適切な助言、指導を得るため、各分野で活躍する県内外の有識者をアドバイザーとして依頼することとしました。
 内部事務に関しては、県民の声ホットラインに寄せられた県民の意見等をデータベース化し施策に反映させるとともに、情報の検索システムを導入し一層の情報公開・利便性の向上を図ります。また、情報システムの開発に代表されるITサービス分野の調達を適正に行うため、外部の専門家によるチェックシステムの導入や調達に対応する職員の資質の向上に努めてまいります。
 職員人事の面では、新たな人事評価システムの創設や研修体系の見直しを行う「変革の時代を担う職員活性化プログラム」を構築するとともに、庁内公募制の拡充や課長級ポストへのチャレンジ制度、女性職員登用指針に沿った職域拡大などにより、職員の意欲を重視した登用を積極的に進めます。
 なお、変化、多様化する県民ニーズに迅速かつ的確に対応するため、来年度の組織改正では、経営戦略局や産業活性化・雇用創出推進局を設置するなど、従来の部局の守備範囲を超えた機能横断的な体制を整備します。また、塩尻市にある林業総合センターに知事室の分室を設け、月に10日程度は執務したく思います。中南信地域の意欲溢(あふ)れる県民の皆様にも、身近に感じていただける県政サービスを心がけてまいります。
 市町村との関係においては、意欲ある市町村が合併を選択せず独自の地域づくりを行っていく場合にあっても、また、住民の意向を踏まえて自主的に合併を進めていく場合にあっても、それらの取組みを尊重し自律への支援を行ってまいりたいと考えています。平成15年度には、県庁に市町村ごとの担当職員を配置するほか、集落活性化のための支援策を強化してまいります。平成16年度には、住民の自主的判断により合併を選択しない町村や、合併してもなお小規模な町村に対して、当該町村の最大限の効率化努力を前提に特例事務受託制度を創設するとともに、条件不利地域の集落の活性化を支援する集落創生のための助成制度についても、市町村と相談のうえ創設したいと考えております。新たなる地域の絆「コモンズ」の創出を目指し、一人ひとりの相貌(かお)が見え、体温が感じられる地域のあり方について、真剣に議論・検討してまいります。
 
 「確かさ」の3番目は、安全が保障される県民の暮らしです。
 危機管理・消防防災対策の推進については、急増する消防防災ヘリコプターの出動要請や29市町村が強化地域となっている東海地震への対応のため、消防防災ヘリコプターを増機することとし、平成15年度には南信地域において、ヘリポートの整備に着手します。
 また、地震等の大災害が発生した際、全国から集まるボランティアをスムーズに受け入れ、マンパワーを有効に生かせるように、ボランティアをコーディネートできる人材を養成してまいります。同時に、防災関係機関職員の臨機応変かつ的確な判断力と行動力を養うため、訓練シナリオを事前に示さない新しい形の研修を実施します。一方、昭和56年以前の旧耐震基準で建設された県有施設のうち、大規模地震発生時に重要な機能を果たすべき施設について耐震診断を行います。地震防災対策強化地域における戸建て木造住宅の耐震化の促進については、強化地域が拡大されたことに伴い、対象地域を広げます。
 このほか、災害危険区域等の居住者の移転を促進するため、住宅移転に係る費用への助成を拡充し、補助限度額を引き上げることとしました。なお、地震などの大規模災害時に使用不能となることが予想される携帯電話や一般電話を補完する通信手段として、一部公用車に衛星携帯電話を整備します。
 食の安全の確保については、食に対する不安を解消するため、食品検査体制を強化することとし、遺伝子組換え食品、加工食品中のアレルギー物質などを、新たに食品検査項目に加え、検査の充実に努めます。「トレーサビリティシステム長野モデル推進事業」では、インターネットの活用により信州農産物の生産履歴情報を開示するなど、安全な農産物を安心して購入できるシステムを導入することにより、消費者の皆様から愛される信州農産物のブランド化を図ってまいります。
 次に、公共交通の確保です。利用者が減少するとともに財政負担が増加しつつある中山間地域において、住民ニーズに沿った地域の公共交通手段を再構築するため、住民が参画した新たな交通計画の策定とその試行実験を行う市町村を支援します。また、しなの鉄道が行うワンマン化やバリアフリー化のための大規模設備投資に対して助成します。松本空港の活性化については、コミューター航空の導入について研究会を設けるほか、松本空港を利用した修学旅行に対し補助するとともに、愛称募集等のイメージアップ事業を展開し、利用しやすく親しみやすい空港としてまいります。
 警察関係では、犯罪被害者対策として、犯罪被害者本人や家族の心をケアするため、精神科医や臨床心理士といった専門家による心理的カウンセリングを実施することとしました。信号機の新設・改良、道路標識の整備、道路標示の補修など交通安全施設の整備も順次進めてまいります。
 
 最後に、「美しさ」の創造です。
 美しさは、長野県の誇りです。清浄な空気に清らかな水、蒼(あお)き空に緑の森、そしてそこに暮らす人々の心。人と自然が織り成す「美しさ」を育み、後世代への贈り物とすることが、今を生きる私たちの責務であります。
 「美しさ」の1番目は、伝えたい信州の自然環境についてです。
 まず、自然環境の保全ですが、これは人と自然との共生、保護と利用の問題です。
 「上高地・乗鞍岳環境保全戦略推進事業」は、自動車利用等の適正化により、上高地と乗鞍岳における自然公園の保護と利用の調和を図るものです。上高地における総量規制や新たな公園利用方法の検討を進めるほか、県道乗鞍岳線において、平成15年7月から予定されているマイカー規制を円滑に実施してまいります。また、上高地・乗鞍岳地区を運行するバス車両の低公害化を促進し、山岳観光地における自然環境に配慮した先進的な輸送システムの確立を目指します。山岳環境の保全については、引き続き、山小屋等のし尿処理施設などの整備に助成してまいります。
 また、本定例会に提案しております「長野県希少野生動植物保護条例案」に基づき、実効性のある保護対策に取り組むため、希少野生動植物選定委員会を設置するとともに、条例指定候補種の生息状況及び流通等動向調査を実施します。
 続いて、森林の整備についてです。森林の公益的機能が持続的に発揮されるよう、県有林において広葉樹と針葉樹のそれぞれの特長を生かした針広混交林化を、住民の参加も得ながら積極的に図ります。将来的には民有林を含め「?(ぶな)の森づくり」を進めてまいります。
 また、荒廃が懸念される森林の整備を促進するため、企業の資金力や労力を提供してもらう新たな手法として、県が仲人役となる「森林(もり)の里親促進事業」を実施します。アダプトサインの設置等企業側のメリットを明確に提示することにより、協力企業を募集してまいります。協力企業と山村集落が連携し、この事業を推進しようとする市町村には補助を行います。さらに、森林整備の担い手として建設業からの新規参入を促進するため、林業事業体が行う研修の費用に対し助成措置を講じます。
 県産材の活用については、小・中学校、養護学校、幼稚園、保育所に県産材をふんだんに取り入れ、温もりのある教育環境を創り出すとともに、森林や環境の学習教材として地域の木を使うことにより、県産材への理解を求めてまいります。また、居住者の健康に配慮した耐久性のある新しい県産材活用住宅の整備を推進するため、県内の意欲ある住宅関連企業グループに対して支援を行います。住宅の新築・増改築等に必要な資金を、一定の良質な木造住宅に限定して低利で融資する「やすら木とぬく森の住まいローン事業」については、県産材を使用した場合の無利子対象に増改築を加えることとしました。
 次に、新たな環境施策として、「戦略的環境影響評価制度」の導入に着手します。この制度は、情報公開と住民参加のもとに、意思形成のより早い段階での評価、すなわち、個別事業に先立つ政策や計画などを対象とした環境影響評価を実施するものであり、複数案の比較検討を通じて環境への影響を評価すること、社会・経済面の評価を併せて行うことなどにより、よりよい環境配慮型事業の実現を目指します。
 「美しさ」の2番目は、身近なところから進める地球環境対策です。
 地球温暖化対策については、地球温暖化防止の必要性を広く県民に訴え、防止に向けた具体的な行動を促すため、温暖化アドバイザーの派遣や温暖化情報の発掘、条例制定に向けた温暖化調査を行うとともに、県庁舎に太陽光発電設備を設置します。また、交通信号灯器を、従来の電球式から環境に優しく消費電力が少ないLED式に取り替えてまいります。
 続いて、環境学習の推進です。小学生の家庭で、子どもが中心となって省エネやゴミの減量化に取り組むため、子ども向け環境学習プログラムを提供するとともに、環境プログラムを実践した子どもたちの参加により「こども環境会議」を開催し、子どもたちの環境保全活動ネットワークの形成を目指します。また、山間地域の豊かな資源を活用した森林体験プログラムを提供するため、モデル地区において「森の学校」の開学を目指し、環境教育を担う人材を育成してまいります。
 「美しさ」の3番目は、持続可能な循環型社会の形成です。
 資源の有効活用という観点から、木質資源のエネルギーへの利用を積極的に図ることとし、ペレット等の製造に必要な施設整備や、ボイラー、ストーブ等の開発を支援します。また、建設廃棄木材などの木質系廃棄物のリサイクル市場を形成するため、リサイクル製品認定制度やモニター制度を創設するとともに、リサイクル製品活用モデル住宅を開発し、需要拡大に努めます。農林水産物や生産残渣(さ)など生物由来の有機性資源につきましては、バイオマスを地域で有効に活用する「農山村循環型モデル地区」を設定し、その実証と指針づくりを行ってまいります。
 また、今後、財政負担の増大が懸念される下水道については、持続可能なものとなるよう、県・市町村の下水道整備計画について、そのあり方を鋭意検討し、改善してまいります。
 廃棄物の適正処理については、阿智村において長野県廃棄物処理事業団が進めているモデル的廃棄物処理施設の整備に向け、引き続き支援するとともに、中信地区における廃棄物処理施設の立地候補地の選定を進めます。また、産業廃棄物の適正処理の確保に関する条例の制定を目指します。
 
 条例案は、新設条例案2件、廃止条例案1件、一部改正条例案38件です。
 新設する「長野県希少野生動植物保護条例案」は、希少野生動植物の保護に関し、県、事業者、県民等の責務を明らかにするとともに、希少野生動植物の取扱いに関する規制やその生息地等の保護回復のため必要な事項を定めるものです。
 「長野県県税条例の一部を改正する条例案」は、中小法人の創業促進のため、法人事業税に関する特例を、また公共的なサービスの担い手として期待されるNPO法人の活動を支援するため、法人県民税の均等割、不動産取得税、自動車取得税に関する特例を設けるなど改正を行うものです。
 
 事件案は、教育委員会委員の選任についてなど14件です。
 このほか、専決処分の報告は、道路上の事故に係る損害賠償の専決処分報告など8件です。
 
 以上、今回提出の議案に関する御説明を申し上げました。御審議及び議決の程、お願い申し上げます。
 生まれ、育ち、老いる。一人ひとりが社会の主役である人生のステージにおいて、いつでも、どこでも、だれもが、勇気と希望を抱き、胸を張って歩いていける長野県でありたいと願っております。

(2003年2月20日)

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Tel 026-232-2002
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