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最終更新日:2003年03月20日


平成12年12月長野県議会 知事議案説明要旨


議会答弁

 ただいま提出いたしました議案の説明に先立ち、新たに県政を担当するに当たっての所信の一端を申し述べ、議員の皆様をはじめとする県民各位の御理解と御協力をお願い申しあげたいと存じます。

 その前に、先の知事選挙で、土木部及び長野建設事務所の職員が、公職選挙法違反により10人が罰金刑の略式命令を受け、また、1人が公訴を提起されましたことは、誠に申し訳なく、県議会の皆様、そして県民の皆様に心からお詫びいたします。私たち県職員一人ひとりは、今回の事態の重さを深く受け止め、服務規律を一層徹底すると同時に、真の県民益をもたらすべく、日々の仕事を地道に行う中で、信頼回復に努めてまいります。

 さて、私は、このたびの知事選挙に於きまして、県民の目線、税金を納める者の立場に立った県政を、そして、当たり前のことを、当たり前に語り合える県政を実現して参りましょうと訴えてきました。 幸いにして、こうした主張が県内の多くの皆様の賛同を得、また、温かい御支持も賜る中で、当選へと至りました。改めて投票所へと足を運んだ全ての県民の皆様にお礼を申し上げます。また、今後は220万人の全ての県民の皆様に仕える新しい知事として、奮迅いたしますことを、ここでお誓い申し上げます。

 この知事選挙を通じて、県内各地、あるいは県外の様々な皆様から、県政の在り方に関する数多くの御意見や御提言を頂戴しました。それらは総じて、いささか疲弊気味な現在の日本社会への不安であり、であればこその、これからの長野県に対する期待であり、同時に私個人に対する叱咤激励でもあったと捉えております。

 たぐいまれなる素晴らしき自然環境の下、向上心に溢れる先達らが、たゆみなき営為を積み重ねてきた成果とも呼ぶべき、それぞれの地域に根ざした多彩で豊かな文化と力強い産業の、その誇るべき歴史を心に刻み続けながら、220万県民の皆様に仕える新しい県知事として私は、しなやかな長野県のグランドデザインを、県民の皆様とともに描き、その具現化に向けて邁進して行こうと考えています。

 

 県政を担当するに当たりまして、私は、「行政とは、220万県民の命を守り、真の県民益をもたらすべく、継ぎ目のないサービスを提供する機関である」、この哲学に基づき、常日頃から、より多くの県民の皆様と同じ目線で接し、しなやかな施策を、速やかに実行に移してまいります。また、こうした理念を県職員とともに共有しながら、次に申し述べます、あるべき長野県の三つの姿を目指します。

 第1は「しなやかで、すがすがしい長野県」であります。県政のあらゆる場面で、多様で自立した県民が、共に自らの言葉で語り合い、知恵を出し合いながら、尊厳のある人生を送れる長野県を築いていこうとするものであります。

 第2が「新しい活力を育む長野県」であります。今後目まぐるしく変転する社会環境の中で、福祉・医療、教育、産業など様々な領域で、一人一人が活き活きと暮らせる社会を目指そうとするものであります。

 第3に「愛情があふれる長野県」であります。いまだ、数字が全ての豊かさの指標であるかの如く捉えられがちな現代社会において、ともすれば私たちが見失いかけているやも知れぬ、家族愛や隣人愛、郷土愛を着実に育む中で、数字には換算し得ぬ、人と人とが信頼や愛情を実感できる喜びを、更には、その上でもたらされるであろう、潤いのある地域社会づくりを目指してまいります。

 

 このような、あるべき長野県の姿を見据えながら、次のような施策を中心に講じてまいりたいと存じます。

 先ずは、より一層開かれた県政を目指して情報公開を行い、行政情報を共有しながら、広く県民が参加し、自由闊達に議論のできる環境設定を進める点です。日々県民の皆様が生活する場に、私自ら足を運び、一人でも多くの方々の意見に耳を傾けながら施策の方向を見い出すとともに、事業の公益性を再評価し、あらかじめ県民の皆さんからお預かりした貴重な税金を、県民益という真に幸せな社会の具現化のために使うべく努めてまいります。

 次に、災害などの緊急時に迅速に対応するとともに、資源の有効活用や再利用を通じ、県民の命と環境を守る県政を進めてまいります。本県は急峻な地形を多く抱え、また、過去には長野県西部地震をはじめ、梅雨や台風等を起因とする様々な自然災害が発生いたしております。このような災害に備えて十分な体制を整え、緊急時に於ける迅速な判断と対応を図り、県民が安心して暮らせる社会を構築してまいります。また、恵み豊かな本県の素晴らしい自然環境は、私たちのみならず、これから生まれくる未来の世代へと受け継ぐべき共有財産であります。環境共生県としての施策を一層推し進めるとともに、廃棄物を最小限に抑える生活やシステム作り、限りある資源の有効活用・再利用に努めるなど、循環型社会の構築をめざしてまいります。

 また、教育面におきましては、適性と個性を育む学校教育や生涯学習の推進など、生涯を通じて学ぶ楽しみが得られる仕組みづくりに力を注ぎ、県民一人一人が個性と能力を発揮できる機会を保証する、人間性が感じられる社会を目指してまいります。

 産業界においては昨今、従来の規格大量生産型の工業社会から脱却し、多様化する消費者ニーズに対応しながら、厳しい国際競争に備えた産業構造への再構築が求められ、また、足元の問題としては、バブル経済崩壊後の長引く不況からの脱却が、待ったなしの課題となっております。過去においても幾度となく押し寄せた困難を、自らの努力で克服し、たくましく成長を遂げてきた本県産業が、一日も早く現下の厳しい状況をも乗り越えられるよう、産・学・官が“三位一体の理念”を抱いて支援し合うとともに、本県の特性を十分に生かした新たな産業の創出等を積極的に進め、県民一人ひとりが豊かな生活を実感し得るよう努めてまいります。

 最近の高度情報化の進展、とりわけ情報通信技術、いわゆるITの飛躍的な発展は、社会経済システムのみならず、これからの私たちの生活にも大きな変化と影響をもたらしてまいります。このような流れを行政の立場からも的確に捉えながら、必要な施策を積極的に講じ、県民生活や地域社会に新たな利便性と価値を創出できるよう、取り組んでまいります。

 少子・高齢化が我が国全体で急速に進む中、取り分け、本県は高齢化が進行しております。介護保険制度を通じた在宅・施設サービスや高齢者の生きがい対策など高齢者福祉の充実をはじめ、バリアフリー社会を目指した障害者福祉や児童の保育対策、あるいは青少年の健全育成などを一層推進し、介護から子育てまで、人間の体温が感じられる地域社会の体制づくりに積極的に取り組んでまいります。また、高齢者も乳幼児も、障害のある人もない人も、全ての県民が健康で安心して暮らせるよう、生涯にわたる健康づくりや医療供給体制の整備にも力を注いでまいります。

 また近年、本県において高速交通網をはじめ、下水道や生活関連道路など社会基盤が大きく整備されたことは、先達の功績として評価を惜しまないところであります。その一方で、県債残高は1兆6千億を超えるなど、県財政はもはや座視できない状況を迎えております。新しい世紀を迎え、社会経済システムの大きな変化に対応しながら、県民が真に豊かさを実感できる生活を実現するために、県財政の健全化は、避けて通ることのできない大きな課題であります。このために、引き続き行政改革や事務事業の見直しを進め、行財政の効率的な運営と健全財政の維持に全力を注ぎながら、益々多様化する県民ニーズに応えてまいりたいと存じます。また、地方分権の促進につきましては、広域行政の充実や自主的な市町村合併の推進、市町村への権限移譲などに努めながら、真の分権型行政システムの確立に向けまして、国に対して更なる権限や税財源の移譲を強く求めてまいります。

 この他、県民生活に必要な社会資本の整備の促進、人権や平和、男女共同参画社会に向けた取組みなど、県政が取り組むべき多くの課題については、この場で全てを語り尽くすことはできませんが、今後県政各般にわたりまして、常にきめ細かく目を配りながら、微力ながらも全力を尽くして着実に、私に与えられました使命を果たしてまいりたいと存じますので、よろしくお願い申しあげます。

 

 このような施策のうち、取り急ぎ取り組むべき施策について申しますと、その一つは、現場主義の実践であります。県民が暮らす現場に、行政が仕事をする現場に、私自らが積極的に足を運び、地域住民の方々の声を直接お聞きする中で、県の事業の公共性と県民益をもう一度検証することが肝要だと考えております。就任以来、既に南箕輪村の子ども未来センター、松本市の大仏ダム、長野市の浅川ダム等々、懸案の現場に出掛け、対話集会を重ねてまいりました。今後も、こうした現場主義の立場を貫き、様々な住民の意見を平場で聞きながら、小異を残し、中異を抱えて、大同につく、しなやかな姿勢により、適切な対応を図ってまいります。

 もう1点、県民に仕える知事とは、その県民の声を県政に反映させる実務者です。その意味でも私は、知事室を1階にも開設することといたしました。既に川上村と小布施町で行いました車座集会も、更に今後、県内の各地で開催してまいります。とまれ、県政に活かすべく、幅広く県民の皆様の声に耳を傾けてまいります。

 

 もとより、県政を取りまく情勢は必ずしも容易ではなく、解決の糸口を見い出しにくい課題に直面することもあるでしょう。また、施策を実施する課程では、解決まで長期にわたる場合や、県民の皆様に我慢をお願いせざるを得ないことも予想されるところであります。そのような中にあっても私は、長野県及び長野県民に対する情熱と勇気を持って、また、常に県民の皆様とともにいるという心強さを持って、私自身が県民の先頭に立ち、力を振り絞りながら、いかなる難局にも立ち向かって行く覚悟であります。

 他方で、220万人の命を守る県政には、連続性と安定性も必要であることは改めて申し上げるまでもないことです。県知事として私は、これまで積み重ねられてきた施策の方向性を十分に尊重しながら、更なる県民益の実現を目指して、新しいしなやかな発想により県政を推進してまいりたいと考えております。どうか御理解と御協力を、宜しくお願い申しあげます。

 

 次に、現下の経済状況と本県の財政状況について申しあげます。

 国の経済動向につきましては、個人消費が横ばい状態にあるものの、設備投資が増加するなど、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが継続し、景気は緩やかな改善が続いております。県内におきましても、業種間に格差はあるものの設備投資が着実に増加し、輸出が好調に推移するなど生産は増加基調にあり、景気は全体として緩やかな回復を続けております。一方、個人消費は回復感に乏しい状態が続き、厳しい状況を脱し切れていないことなどから、今後も我が国経済を取りまく諸情勢を含め、景気の動向を注視していく必要があると考えております。

 このような中、政府におきましては、景気を確実に自律的な回復軌道に乗せるため、更には、IT革命の推進など21世紀にふさわしい経済社会の構築に向けて、「日本新生のための新発展政策」を決定し、先般そのための補正予算が臨時国会において成立したところです。

 県におきましては、これまでも、国の経済対策に呼応して、必要な予算措置を講じながら、景気対策や雇用対策を実施し、その結果、緩やかな歩みとは言え、徐々に景気も回復のきざしが現れてまいりました。今議会におきましても、ただいま申しました国の動きに積極的かつ早期に対応するため、IT関係施策の推進をはじめ、社会福祉施設や県営住宅の整備、土木、農林関係の公共事業などに要する経費として193億円余を計上し、補正予算案を提出いたしたところであります。

 

 今年度の財政状況につきましては、最近の経済情勢を反映して県税収入に若干の持ち直しの動きが窺われるものの、依然として大幅な財源不足が続くなど、厳しい状況にあります。

 また、来年度につきましては、景気は回復傾向にあるものの、その動きは緩やかであることが予想されることから、主要な歳入であります県税、地方交付税の動向は不透明であり、一方、歳出面では、公債費などの義務的な経費の増加が見込まれるため、引き続き大幅な財源不足が予想され、厳しい環境におかれるものと考えております。

 このような中で、平成13年度の予算編成に当たりましては、歳入面では、税収や地方交付税の確保はもとより、様々な工夫を凝らしながら多様な財源の確保に、更には組織や個人の未納分を可及的速やかに納めていただけるよう努めてまいります。歳出面では、10パーセントのマイナスシーリングを設定するほか、行政改革大綱に基づいた組織・定数や事務事業の徹底した見直しを行い、県債の発行の抑制に努めながら限られた財源を重点的・効率的に配分するなど、中長期的な観点に立って健全財政の維持運営に取り組んでまいりたいと存じます。

 

 次に、本県の情報公開制度は、昭和59年の条例制定以来16年余を経過いたしましたが、県民の行政への参加意識はますます高まり、また、行政の様々な活動や手続きの透明性の確保が一層強く求められるようになってまいりました。本年3月に情報公開懇話会から今後の情報公開制度のあり方について提言をいただいて以来、制度の見直しについて鋭意検討を重ねてまいりました結果、このたび従来の公文書公開条例の全部を改正する条例案として、今議会に提出いたしました。その主な内容について申しあげますと、条例名を情報公開条例に改めるとともに、県民の知る権利と県の説明責任を明記すること、請求権者や公開対象情報の範囲を拡大すること、実施機関に公安委員会等を加えることなど、従来の内容を大きく見直し、情報公開制度の一層の充実を図ろうとするものであります。今後、新たな制度の適正な運用を通じまして、より開かれた県政の一層の推進に努めてまいりたいと存じます。

 

 さて、今回提出いたしました一般会計補正予算案その他の案件につきまして、その概要を申しあげます。

 補正予算案は、一般会計311億2,254万8千円、特別会計7億3,000万円であります。

 一般会計補正予算案には、先ほど申しあげました国の経済対策に関連した経費や災害対策費などを計上いたしました。

 経済対策関連経費のうちIT関係につきましては、情報通信技術講習推進特例基金を設置するため10億円余を計上するとともに、この基金を活用して住民がITを利用するための基礎技能の習得を、市町村と協力して促進するための本年度分の経費を計上いたしました。また、離転職者に対するIT職業訓練の実施に要する経費や、消費生活センターにおける消費者への情報提供の高度化を進めるための経費、生涯学習推進センター等社会教育施設においてパソコンを設置するなどIT学習のための環境整備に要する経費を計上いたしました。さらに、地域情報化を促進するため、地域CATVの光ファイバー化や県・市町村の行政情報ネットワーク化を推進するための経費を計上いたしました。

 公共事業費につきましては、県民生活に必要な社会資本の整備を進めながら県内景気の自律的な回復に向けて対応するため、道路や砂防、治山事業などに108億円余を追加計上いたしました。

 社会福祉関係では、特別養護老人ホームや知的障害者福祉施設、保育所などの整備を前倒しして、その進捗を図るため、社会福祉施設整備事業費として38億円余を追加計上いたしました。

 住宅関係では、県営住宅の建設を繰上実施して事業の進度を早めるため、建設事業費を増額いたします。

 その他経済対策に関連するものとして、北陸新幹線建設費などを追加するほか、自然環境の保全を図るため、山岳におけるし尿処理施設等の整備に要する経費を計上いたしました。

 このほか、災害復旧費や県営富士見高原産業団地の1区画を分譲するための経費などを計上するとともに、県単独事業につきまして、工事の発注時期の平準化と事業の円滑な執行を推進するため、明年度事業の繰上発注を行ういわゆる「ゼロ県債」を設定いたしました。

 以上申しあげました一般会計補正予算案の財源といたしましては、国庫支出金174億7,707万2千円、県債90億7,900万円、県税26億2,201万8千円、地方交付税9億円、その他分担金・負担金など10億4,445万8千円を見込み、計上いたしました。

 本年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと、1兆857億3,788万3千円となります。

 また、特別会計補正予算案には、経済対策の一環として、流域下水道の処理場や管きょの整備等に要する経費を計上いたしました。

 

 次に、条例案は、新設条例案1件、一部改正条例案10件と廃止条例案1件であります。

 新設する「職員の再任用に関する条例案」は、地方公務員法の改正に伴い、定年退職者等の再任用制度について必要な事項を定めるものであります。また、一部改正条例案につきましては、先ほど申しあげました「長野県情報公開条例案」のほか、「中央省庁等改革関係法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例案」は、中央省庁等の改革により省庁名などが改正されることに伴い、15の関係条例の規定について所要の改正をするものであります。 

 事件案は、当せん金付証票の発売額についてなど12件であります。

専決処分の報告は、道路上の事故に係る損害賠償の専決処分報告など3件であります。

 以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申しあげました。なにとぞよろしく御審議の程をお願い申しあげます。

 

 最後に、“県民益”を納税者の皆様にもたらす上での私の同志であります県職員に、日頃から繰り返し申し述べております幾つかの理念を、お話しさせていただく我が儘を、お許しいただければと思います。


 一般的にビジネスの世界では、より良い商品を編み出し、より優れた接客を行って初めて、お客様からお金を頂戴できます。一方、私たち県政に携わる者は、あらかじめ県民の皆様から税金という形でお金を頂戴しているのです。それも、使途の明細をご提示申し上げる前に。であればこそ、私たちには、出来る限り少ない金額で、出来る限り大きな幸福を、1人でも多くの県民の皆様にお届けする責務があります。
 また、1つの結果を出すためにこれだけ努力をしましたという弁解型のプロセスではなく、判りやすい言葉で説明を加え、行政と住民が直接話し合える機会を積極的に設ける参加型のプロセスを目指します。規模や構造、性能などをまとめた仕様書−つまりは数字至上主義に基づくスペックを公表するだけでは最早、情報公開や住民参加の理念は具現化しにくいのです。
 密かに甘い囁きを個別に行う行政ではなく、開かれた形で苦い話し合いを皆と十分に行う行政の新しい在り方。
 子ども未来センターを巡っての対話集会の際に1人のお母様が仰った言葉は、印象的でした。「世の中に物申すには、大人数で県庁まで陳情に出掛けたり、拳を振り上げて集会を行わねば駄目なのかしら。でも、そこまでするのは抵抗を感じるわ。と諦めていた私にとって、こんなに間近で県知事や部局長を始めとする県の職員の方々と、そして賛成、反対と立場を異にする地域の皆さんと、一堂に会して長時間、意見を交換できるなんて夢のようです」と。
 私は、賛成・反対、白黒、官対民といった旧来型の二項対立を超えた、第3や第4の選択肢も世の中には有り得るのだ、と皆で探索する心意気を尊びます。待った無しの幾つもの懸案事項を、私も1人の実務者として、職員や県民と一緒に実践問題として解いてまいります。それは、壁を壊すのではなく、壁を溶かす「しなやか」な作業が長野県で行われていくことを意味します。
 私たちの民主主義が近年、仮に些か疲弊気味だとするなら、その理由の一つは、立案から検討、説明、論議、決定へと至る一連のプロセスの踏み方が、何時の間にか形骸化しつつある、詰まりはプロセスをこなす為にプロセスを踏んでいる、こうした否定し切れぬ現実に求められましょう。
 法律を始めとする規則やマニュアルは、誰の為に存在するのでしょう? それは国家や組織の為ではない筈です。真っ当に暮らす一人ひとりの人々に幸せをもたらすべく、存在するのです。
 奇しくも59年前の本日未明、太平洋戦争が始まりました。星霜を経て先頃、大町市で開催の戦没者を追悼する式典に出席した私は、年老いた長野県民のお婆ちゃんやお爺ちゃんが、腰を折り曲げ、足を引きずって献花する後ろ姿に、涙を禁じ得ませんでした。私たちは戦争という過ちを2度と繰り返してはならないのです。のみならず平時に於いても、行政に携わる私たちは、真っ当に営み、学び、育む市井の人々を突如、奈落の底に突き落とす様な、凡そ人間としての体温が感じられぬ施策や決定を、断じて行ってはならないのです。
 20年前の学生だった時分、最初に上梓した本のタイトルに私が用いた「なんとなく」、而して鬼籍に入られた碩学の山本七平氏が「空気の研究」と題する著書でも看破した、正に「なんとなくの空気」で意志決定が行われ勝ちな、日本という社会に於いて、私たち一人ひとりは「しなやか」な気概を抱いて、歴史を心に刻み続けながら、未来を過たぬ様にと制御し続けねばならないのです。
 それは、何をするべきか、の前に、どうあるべきか、を常に私たちが自問自答する営為であり、出来る範囲で出来る事柄を一人ひとりが述べ、行う勇気であり、更には法律やマニュアルの存在如何に拘らず、御天道様の下では悪い事はしちゃいけないよ、との昔から語り継がれてきた唯一のルールを、一人ひとりの体内でサーモスタット−温度調節装置として機能させる、矜持と諦観であります。
 とまれ、私 田中康夫は、長野県の“パブリック・サーヴァント”として、全身全霊を220万県民の幸せの為に投じる覚悟を、ここで改めて表明いたします。日本の背骨に位置し、数々の水源をも擁する、この長野県から、新しい民主主義のスタンダードとしての「長野モデル」を、向上心に溢れる県民の皆様と共に構築して参ります。
 この12月県議会定例会の場でも、創造的議論−クリエイティヴ・コンフリクトが活発に交わされんことを。どうも、有り難う御座います。そして、どうぞ、宜しくお願いいたします。

(2000年12月8日)

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