本日ここに、戦没者の御遺族並びに御来賓各位の御参列をいただき、長野県戦没者追悼式を挙行するにあたり、県民を代表して式辞を申し述べます。
新たな世紀を迎え、今ここに、先の大戦で亡くなれた皆様方を想うとき、哀惜の念に耐えません。
あの苛烈を極めた戦いの中で五万五千余の方々が、祖国を思い、家族を案じつつ戦禍に倒れ、あるいは戦後、遠い異郷の地に亡くなられました。これら長野県関係戦没者の方々に思いを馳せ、ここに心から御冥福をお祈りいたします。
また、最愛の配偶者、肉親などを失われました御遺族の皆様方には、尽きることのない深い悲しみに耐えながら、立派に家庭を守り、更に地域社会の発展に貢献されてこられましたことに対しまして、心から敬意を表する次第であります。
我が国は、戦後、幾多の困難を乗り越えて、国民一人ひとりの努力により、かつてない平和と繁栄を遂げてまいりました。
戦没者の皆様方が最後まで案じられた我が郷土長野県も、恵まれた自然環境のもと、県民のたゆみない努力により、文化に、産業に目覚しい発展を遂げております。
しかしながら、今日においても地球上では民族間の抗争やテロ活動による悲劇は絶えることがなく、人類は未だに恒久平和を実現するには至っておりません。
私たちは、我が国の発展が、戦没者の方々の尊い犠牲によってもたらされたことを次の世代に語り継いでいくとともに、再び戦争の惨禍を繰り返すことのないよう、恒久平和の確立にむけて最善を尽くしていかなければなりません。
二十一世紀の初めの年に行われるこの式典にあたり、私は、先の大戦から学びとった多くの教訓を改めて心に深く刻み、恒久平和の確立と、希望に満ちあふれ、心豊かに暮らすことのできる長野県を築いていくため、全力を尽くしてまいりますことを、ここにお誓い申し上げます。
終わりに、戦没者の御霊が安らかなることをお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様方の御多幸と御健勝を心から御祈念申し上げまして、式辞といたします。
平成13年10月12日
長野県知事 田中康夫 |