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長野県知事 田中康夫
はい、大変お待たせをいたしました。失礼いたしました。本日、5月16日の知事会見であります。
お手元にお配りをしております、「社会福祉施設、私がコンシェルジュ事業の開始について」というものがございます。長野県内には多くの社会福祉施設がございます。昨年度、予算の編成の話をしております時に、ともすれば、こうした社会福祉という現場というものを我々が必ずしも熟知をしていない、また実体験をしていない中で、頭の中で、あるいは国からの補助金というもののフレームワークの中で事業を組み立てていくという形が往々にしてあるという大変に深い反省に基づいて、社会部に対しまして(指示し)、こうした社会福祉施設をですね、それぞれ自分がまさに担当をすると。それを現地機関の職員も、またこの県の本庁舎の職員もですね、複数のこうした施設を担当してそこを熟知し、その現場からのニーズというものを反映できるようにしていこうという新しいまさにゼロ予算事業でございます。この県の本庁舎の1階で近く始動をいたしますコンシェルジュ(concierge:ホテルなどの接客係)も、4名の職員が1カ月にわたって多摩市にあります京王プラザホテル多摩の方で研修を積んでまいりまして、私も激励のアポイントで出掛けましたが、大変に表情も変わり、物腰も変わり、よりお客さまのために働くという4人の職員の成長を見て、大変に頼もしく思ったところであります。この「私がコンシェルジュ」に関しては、実際に日々現場で仕事を行うということでは必ずしもございません。ボランティアの活動としてですね、こういった施設で働くということは自発的にこれらの職員は必ずや行うと思いますが、こうした形、入所施設から、291カ所に関して平成15年度は開始をいたします。順次、他の施設にも拡大していくものでありますし、これは衛生部であったり生活環境部でありましたり、その他の部署に関してもですね、同様の試みというものが程なく自発的に行われていくのではないかというふうに思っております。
「下請110番」に関しましては、いわゆる今まで入札等、あるいはそうした事業を受ける立場にあったいわゆる公共事業担当の3部、また住宅部でありましたり、企業局でありましたり、こうしたところに「下請110番」の方がご相談することはなかなか少し戸惑う部分もあるわけでして、こうした中から会計局の検査室の中にこうした部署を置くという形になっております。
あとはですね、地方分権改革推進会議というものがございまして、ここが何かいろいろと発表をしたわけなんでございますが、どうもこれは先ほども部長会議の時も(話題になりましたが)大変に不思議なものになっております。どのように不思議かというとですね、現在の日本のこの末期的な巨額の起債残高と、700兆円近い金額というものは、ある意味でいえばですね、ご存じのように6対4と、国が6集めて地方が4を最初は集める中でですね、国が6の中の3分の1、すなわち実際に地方が使うのは6で国が4と。この2の部分をですね補助金であったり交付税であったりを霞が関と永田町が分配する中において中央集権、あるいは地方をコントロールすると。地方との上下の関係というものを形づくってきたわけです。そしてこの中においてですね、地総債でありましたり、あるいは様々な起債であったり、それは先日のラウンドテーブルディスカッション(5月15日に開催された公開討論会)の際に副知事の阿部守一も申しておりましたように、国もまたある時期まではこうした起債というものは有利であると、面倒を国が見てくれると。あるいはまさにかつて「丸井」が言ったように、「欲しいものは、今」と、「お支払いは後で」という、「バイ・ナウ、ペイ・レイター」という形ですね。これがある意味でいうとモラルハザード(moral
hazard:倫理の欠如)な形で、少なくともクレジットカードの場合には1カ月後に、あるいは少なくとも最大でも十数回で支払うという形があったわけですが、起債の場合には一律国が定めた利率と支払回数で行うという、リボルビングシステムのカードの支払いよりもですね、モラルハザードに陥りやすかったのが日本の起債のあり方でして、これが700兆円もの借金になったと。行財政改革という言葉を長野県では使わず、行政改革・財政改革と、この二つに分けて使うと。同時にこの二つが決して無縁なわけではなくて、行政改革と財政改革をそれぞれ行う時に念頭としてこの二つをですね、きちんとアウフヘーベン(独Aufheben:止揚)して改革へともたらすということだったわけであります。どうも今語られてるのは、行財政改革という名前のもとにですね、省庁の数合わせの再編を行ったのと同様な形で、国にとって、つまりこの多くの借金というものは地方にも責任がありますが、同時にそれを半ば奨励をしてきた国の側に多くの責任というものが私はあると思います。この責任をあいまいにしたままですね、700兆円近い借金があって、この中でいかんともしがたいという中で補助金の削減。補助金に関しては長野県は総論だけではなくて、各論に関しても具体的に時代の要請を終わった補助金というものを廃止すべきだということを近く具体的に提言を、全国の都道府県の中で先駆けて出していく予定でありますが、他方でその地方の交付税というものをですね、非常に削減をしていくと。これは何かといえば、地元の自主的な財源というものを必ずしも担保をしないまま、こうした交付税の削減をしていくと言ってると。同時に、しかしながらその中で、これは地方が自律していけないということでありまして、地方の自律をそぐと。他方で合併をするというふうになびく市町村に関しては合併特例債という形で、またぞろ起債の残高を増やすと。しかも箱もの、ハードにのみ使うということを奨励をしているという不可解な状況の中で、行財政改革というですね、まさに省庁再編と同じように、市町村の数を再編をする中で中央集権化していこうという動きかと思っております。この5月8日のですね、地方分権改革推進会議で議論された意見書原案の試案というものはですね、今申し上げたように、地方分権の方向に沿った改革案とはほど遠いものであると、このように考えております。
もう一度繰り返すと、地方分権改革の推進における最も重要な課題であります、地方の歳出規模と地方税収との乖離(かいり)、今申し上げたように、地方税収が4で国が6で、その6の中から3分の1にあたる2の部分がやってくる形で地方の歳出規模がなってると。しかも補助金というような全国一律の下水道のフル規格のようなものに合致したものが行われると。栄村のように、身の丈公共事業という形で村道を造ろうとすると国からの補助はないと。このような形、こうした地方の歳出規模と地方税収の乖離(かいり)を解決するためにですね、自主財源としての地方税中心の歳入体系、つまり自治体が独自に地方税として歳入を確保し、その自治体のよい意味での裁量において、責任と判断において事業を行っていくというものを目指す方向になっておりません。単なる地方の歳出を削減をしていくということでありまして、これは地方の自己決定権の拡大というものとは逆ベクトル(vector:方向)であります。
長野県はご存知のように、財政改革推進プログラムに沿って財政改革を進めているわけです。しかしながら、この地方公共団体の財政運営は国の制度の枠組みに縛られております。日産のカルロス・ゴーン氏は、この3年あまりでいわゆる負債をゼロにしていったわけであります。民間と行政の違いは、逆にいうと、民間は良い商品をつくらなければお金がもちろん入らないわけでありまして、その分、死にものぐるいで商品開発をし営業をするわけですが、行政の場合はもちろん歳入はある形で自動的に確保はされてきております。その意味では恵まれておりますが、しかしながら、地方税中心の歳入構造になってないことは繰り返したまでです。そして他方でその財政を好転させようと思っても、ひとたび組んだ起債というものは組み替え直すというような形ができないわけでありまして、つまり短期間における自助努力による財政の好転ということが極めて民間企業と違って難しいと。それが結果的に、お支払いは後でという起債の増大になっていくというモラルハザードになってるわけです。ですから、地方公共団体の財政運営というのは、すべからく国の制度の枠組みに大変縛られています。ですから、長野県のみとしての努力というものにはおのずと限界もあるわけであります。でありますからして、三位一体の改革というものをですね、つまり国庫補助金、国庫補助負担金と交付税と税源移譲を含む税財源の配分のあり方を三位一体で改革するということが必要であるにもかかわらず、今回のような曖昧模糊(あいまいもこ)とした内容になってるわけです。これはとりわけ昨年12月に閣議決定されました「骨太の方針2002」というものがございましたが、この中で、「国庫補助負担金については改革と展望の期間中に…」、展望が今もあるかどうかという議論がありますが、「改革と展望の期間中に数兆円規模の削減を目指す」と、国庫補助金は。対してですね、「廃止する国庫補助負担金の対象事業の中で引き続き地方が主体となって実施する必要のあるものについては…」、例えばこれは教育の予算、教員の人件費というようなものはそうでございます。「移譲の所要額を精査の上、地方の自主財源として移譲すること」と、このように閣議決定されてるわけです。にもかかわらず、この試案と称する東芝の会長を務めている西室(泰三)氏が会長を務め、この会長代行を務めてる中小企業金融公庫の水口(弘一)氏という元野村證券副社長、野村総合研究所社長であった人物とは、昨日先方から求められて意見交換を朝食を取りながら行いましたが、残念ながら、その委員であります神野直彦氏のような、現場の実情というものを必ずしも踏まえてのこの試案の作成であったとはなかなか理解しにくい部分がございました。この試案というものは、国庫補助負担金の見直しに具体的なものがないわけでありまして、そして見直しに伴う財源措置にも言及がされていないわけでして、そして国庫補助負担金の削減のみを先行させようとしてることでして、これは非常に納税者の現場に大きな混乱をもたらすことだと思います。税源移譲を含む税源配分の見直しについては増税を含む税制改革の中で行うというふうに記されてるわけでして、まさにこれは危機管理庁のようなものを設ける、あるいは国民保護の具体的な法制化というものを行わないまま、いわゆる有事関連三法というものを先行成立させるということと似ておりまして、最も本来重要な市民のこと、この場合国庫補助金を削減する代わりに、いかに自主財源を設けるかという形、これによって教育や福祉の現場を混乱させず、独自の判断によってそれぞれの独自のより高いサービスを行えるようになるということを先送りしているわけであります。ここが大変に大きな問題であろうと。つまり地方を兵糧責めにしてですね、中央集権化をより図ろうという霞が関の思惑というふうに考えざるを得ないと私は思います。地方交付税についても、地方共同税と財政調整交付金に区分した上で大幅に削減するというふうに記しているわけでして、ここの個所だけを見ますと、何か大変に画期的なことを行うように見えておりますが、これは実は地方には様々な仕事を大変に権限移譲という名の下で多く仕事を義務付けていくと。地方には仕事をもっといっぱいやりなさいと言いながら財源の保証はせずですね、仕事はいっぱいやるけれども、地方のこういう財源はもっと日本全体が苦しいんだから健全財政にするために削減してあげましょうと言ってるわけでして、そうすると一体この痛みをですね、まさに分かつところの霞が関や永田町は分かち合ってんのかということになります。
でありますから、この地方分権改革推進会議においての試案というものは、国の財政再建のために地方財源の削減を強いるという、大変に私としては身勝手なものであろうと思います。これは鳥取県の片山知事のような総務省・自治省出身の県知事も同様に言ってるわけでして、あるいはまた新しく今回知事になられたですね、経済産業省の事務次官を務めておられた大分県の広瀬知事も、早速これはやはり地方の実情をわかってない試案であるということをおっしゃってるわけでありまして、このように霞が関においても働いていて地方の実情を踏まえた方がですね、一様にこのように批判をなさっているということを、やはりこの委員会、あるいは首相は重く受け止めるべきであろうと思っております。この国の財政再建を優先させるという試案でございまして、ただ仮によしんばそうするならば、国の今までの政策、交付税や補助金の至らなさ、あえて言えば過ちということをより明確にした上でなくてはならないわけであります。国や地方が財政危機であるというもとに、いわゆる国の義務付けや枠付けに基づいて財政を運営してきた地方にだけしわ寄せをすると。特に小規模な自治体は死活的な状況に追い込まれてしまうと。そして、ずうたいだけ大きなところでもモラルハザードが起きて、骨粗しょう症なずうたいになってっちゃうということだと思います。
大変にこの地方分権改革推進会議というものは、真に地方分権改革を進めるために設けられたものだろうと思いますから、三位一体の改革のより具体的なですね、そして抜本的な議論を行っていただきたいと思います。
いずれにしても、神野直彦氏をはじめとする4名の委員がですね、試案が出た当日に別途4人で会見を開くというのは、何か高速道路の問題の時のですね、ドタバタを再現してるかのようでございまして、このように委員の中の4人がですね、明確にそれも理由があった上で会見を開くような中でなぜ試案を出されるのかと。これは大変に不思議なことだと思います。この点に関しては以上であります。
その他、ご質問があればお伺いをいたします。はい、どうぞ。
すいません、ちょっと手がやっぱり春になって手袋外してたら、だいぶまた血が出てきてですね、ネクタイ等が汚れてしまうので手袋をして会見することをお許しください。
どうぞ。
中日新聞社 岩崎健太郎氏
岩崎健太郎と申します。中日新聞です。
臨時会に提案される教育委員と監査委員の人事についてなんですが、議会の一部にはまだ慎重審議を求める声ですとか、賛同しかねるといった声が聞かれるんですけれども、漠然としてて恐縮ですけど、知事としてはどんな新しい理解の議論を期待したいっていうか、思ってますか。
長野県知事 田中康夫
教育委員に関しては、随分と前回議場でご説明できなかったということで、2会派でございましょうか、無所属の方も入れると3グループからお招きいただいてお話をさせていただいております。その他のグループからは残念ながらお声が掛かっておりませんので、ぜひ議会の場においても私がですね、何故前島章良(のりよし)氏の選任を望むのかということをお話しさせていただく場が設けられれば大変うれしく思っております。先日、議会の無所属の方を中心とするグループが前島さんの講演会を企画されたようでございますが、出席された県民から非常に感銘を受けたと、このように素晴らしい人物が教育のことを考えてるということに長野県民として誇りに思うというようなお話をいただいております。残念ながら、議会の方はご出席なさった方が大変に少なかったということだと思います。ただ、そのような場を同僚の議員が開き、すべての方にご案内をしたということですから、会派で行動されるという方々は全員が出席できなくても、その中のどなたかがお出になってですね、お話をお聞きになるというようなご努力をなさるご意思がありながら、あるいは議会前で大変にお忙しくて、あるいはそれがかなわなかったのかなというふうに思っております。
監査委員に関しましてはですね、例えばご存じのように、いろんな企業が、例えば日本で大変に過去最大の利益を稼いだ最強の企業でありますトヨタ自動車は、今年からは国際諮問委員会というようなものを設置をしていくわけであります。社外取締役というようなものだけではなくてですね、やはり客観的に外部から見てくれる方というものを、よりその企業が企業市民として、それはユーザーだけでなく地球市民のためにも貢献をするという高い決意の現れであろうと私は思っております。長野県のみならず多くの自治体においては、監査委員というのは、その当該の自治体の職員OBでありましたり、その都道府県の中の市町村長や市長村議長を経験したというような方々というケースがございます。ただ、それはある意味でいうとですね、直接の何といいますか、利害関係者であったり、市町村長であったという方も、その当該の都道府県の中において、先ほどの今申し上げた、国と県の関係でいえば、長野県も今まで地方課と言っていたわけでして、県と市町村の関係も横ではなく上下の関係であったわけであります。やはりこうした広い意味での身内の方が監査をなさるのではなく、市民の方が監査をなさるということこそがですね、私は公正中立な立場の方がふさわしいというふうに、今回懸念を表明されている議員の方がおっしゃるそのせりふこそはですね、やはり広い意味での身内ではない方が監査委員を務めるということによってこそ公正中立なことであろうと思っております。まさに市民派というふうに表現なさってる表現者がおられましたけども、その市民派であるということこそが、まさに市民の税金によって行政は成り立っているわけでありますから、そうした方がまさに監査委員に就くということは、それこそが懸念なさってる方々の思いを解消する上においてはですね、これらお二人の方、内山卓郎氏、あるいは松葉謙三氏という二人の人物は大変に私はふさわしいということをご理解いただけるというふうに思っております。
その他のご質問を受けます。はい、どうぞ。
信濃毎日新聞社 東条勝洋氏
東条勝洋といいます。信濃毎日新聞です。
しなの鉄道の再建策についてなんですが、昨年103億円を放棄するということを決められて、実質的に放棄するということなんで、やや幅広い概念かと思うんですが、その後じゃあ、具体的にどのように支援していくのかっていうのは定まらずにきたかと思うんですが、今のところどこまで詰めているのかということをできるだけ詳しくお伺いしたいと思っています。
長野県知事 田中康夫
定まっていないわけではないと思います。今、東条さんがおっしゃられた、そうした再建放棄であると。またあの当時私が申し上げた、上下分離ではない方法というものをより具体的にするために様々な見地から専門家の意見も聞きながら具体的な検討をしております。
信濃毎日新聞社 東条勝洋氏
上下分離をしないというのは、常々知事は上下分離はあまり好ましくないということをおっしゃられているんですが、上下分離はもう可能性としてはあり得ないんでしょうか。またなぜいけないのかっていうことが正直言ってまだ理解できてないんですが、その点、今どのようにとらえてるのかお伺いしたいんですが。
長野県知事 田中康夫
杉野正社長のもとで、大変に自律的なサステナブル(sustainable:持続可能)な鉄道会社というものが実現しつつあるわけです。そしてこの鉄道はある意味で、長野県内に新幹線が通ることによって出現いたしましたが、この鉄道はより東北信地域の方々にとっての公共交通機関になってきているわけでありまして、このしなの鉄道というものが、よりそうした観点の上に立って自律的であるために、私は上下分離ではない方法を私たちはあらゆる手だてを使ってですね、その実現へと向けて努力すべきだと申し上げてきてるわけです。
信濃毎日新聞社 東条勝洋氏
上下分離することの弊害というのは、もしあるとすればどのように考えてるのか、具体的にお伺いしたいんですが。
長野県知事 田中康夫
上下分離をいたしました場合に、まずこれはイギリスで見られますように、多く資産というか施設と運行とが分離されますので、こうした中で安全という観点からのモラルハザードが起きやすいということがあります。そしてまた、この103億円という巨額な費用を投じて購入をしたわけでありますが、もちろんこれに関しましては、検証委員会というものを設置をするということで予算も認めていただいてるわけでして、そのメンバーの人選を進めているわけでありますけども、繰り返しますが、しなの鉄道がより地域の交通機関として、またしなの鉄道が、またその地域がですね、より自覚的にしなの鉄道の永続性というものを安全な運行のもとで行っていく上では私は上下分離という選択は好ましくないと思ってるわけです。
信濃毎日新聞社 東条勝洋氏
そうしましたら、例えば土地や建物の資産は県が持ったとしても、今の弊害の点でいうと、運行と所有が一体となっている形態が確保されれば、その弊害というのはある程度解消されるのではないかとも思うんですが、どうでしょう。
長野県知事 田中康夫
そういう見解を述べられる方もいらっしゃいます。いずれにしても様々な税制の上での検討、また今後のこうした国のレベルにおけるですね、資産評価や税制の検討ということを踏まえて最終的には判断はしていくわけです。ただ繰り返し申し上げますが、昨週申し上げた、基本方針のもとに私たちはその実現に向けて具体的な検討を続けております。
信濃毎日新聞社 東条勝洋氏
何かタイミングを考えてますですか。いつまでにとか、いつごろまでには決めなきゃいけないと考えているとか。
長野県知事 田中康夫
具体的に今申し上げるようなタイミングというものを設定をしているということではございません。
その他のご質問を受けます。はい、どうぞ。
あと先ほどですね、ある新聞に監査委員、市民派の監査委員への起用は異例でっていうふうにあったわけでございますけども、私からすると、広い意味での仲間が監査を務めるということの方が一般の納税者の感覚からすれば、あえて申し上げれば異例に近かったのではないかということでありますし、公正中立な立場の方がふさわしいと思うというふうに議会の方が発言なさったことを、この記事では引用されておりますけれども、公正中立な立場の方というものこそは、おそらくは今までの広い意味でのお仲間であった方ではない方が就くと。議会の方が監査委員に就くということは、これは法律の上で定められてきてることでして、これは2名から1名へと変更をするということであります。監査委員も議会においては議長・副議長と並ぶ、議会では三役というふうにおっしゃってるというふうに先日ある議員の方が意見表明されたということでございますが、何か今度は議長も立候補制で複数名の方が出られて、それぞれ議会改革を具体的にですね、議長候補の方が述べられて、そしてその上で議長選挙が行われるという、大変に、また1年という単年度ではない形で議長を務められるというような動きがあると聞いておりまして、これは大変に私としても賛意を示したいと思ってるところですが、監査委員に関しては議会側からのご推薦をいただくということでありますが、それは議会側の推薦の決定というものも、その三役というふうに議会で認識なさってらっしゃるのならば、望ましくは、その監査委員に関しても立候補をいただき、監査委員としてなさる公約というようなものをですね、お話になられて選ばれるというような形がもし実現できれば、これは大変多くの県民から拍手を議会がちょうだいできることじゃなかろうかと思っております。
どうぞ。
共同通信社 伊藤豪氏
共同通信の伊藤豪です。
有事法制について先ほどちょっとお話ありましたけど、ご見解をもう一度お話しください。
長野県知事 田中康夫
はい。この問題に関してはですね、ご存じのように、フジテレビの日枝久会長が会長を務めてる日本民間放送連盟が、日本テレビ放送網の会長でございましたっけ、氏家齊一郎報道委員長名でですね、「同制度の受け入れは難しい」というコメントを、有事法制関連三法案の衆院通過にあたって15日の日に発表をしておられます。このようにプロとしての表現者を務められてる方々もですね、まさに翼賛的な報道を強いられる、国家総動員法や治安維持法に近い形が起こり得る危険性というものを、こうした民間放送業界のですね、経営者の方がおっしゃられているということは、私はこれは一つの象徴的なことではないかと思います。やはりネイション(nation)と呼ばれる国家、ネイション・ステイト(nation
state:国民国家)なのかどうなのか、国家というものをいかに安全を維持をするかというような観点での議論になってんのではないかと。先ほど申し上げたように、国民保護法制であったりですね、あるいは私たちにとってはSARSでありましたり、それに類したこと、極論をすれば、そうした一般の国家の犯罪ではなくてですね、それはテロに関しては想定をしているようでございますが、もっと小規模な突発的な問題、こうしたことへの危機管理庁というようなものを設けていくということの方が先であるべきであります。これらのとりわけ国民保護法制は今後1年をめどに議論をしていくということでございますが、霞が関には膨大な役人の方々がいらっしゃいます。日本には多くの学者もいらっしゃいますし、国会議員もいらっしゃるわけでして、私が朝日新聞のインタビューで答えておりますように、国民保護法制というものが行われない現時点におけるですね、このような三法案というものは、ある意味では非常に極めて不完全なものであると。何故それが同時に、あるいは先駆けて危機管理庁やですね、国民保護法制というようなものが議論されるだけでなく、実現できないのかと。ここにやはり市民というものよりもですね、何か国家というものを保持する、維持するという形の今回の議論であるということを感じるわけです。「国破れて山河あり」という言葉がありますけれども、市民滅びて山河壊れて国が残ってもですね、これはまさに本来言っていたところの、国民の生命と財産を守るという名の下に進められてきたこの一連の動きというものが、実は国民の生命や財産を守るということにはないのではないかと。国家という概念をですね守るために行われようとしてんのではないかと。私たちも常々公共事業のあり方を変えようと言ってるのは、国民の市民と、国民の生命と財産を守るという名の下に今まで砂防や治山や治水をはじめとする様々な事業が行われてきたわけでありますが、他方で今度廃棄物に関しての条例を具体的に着手しますように、公園に突如としてもたらされた廃棄物の山というものは、廃棄した者を探し出してですね、その者にまず片付けさせるということから始めねばならないと。でもこれは一般の市民にとってはこのことの方が有事でありますし、生命や財産を脅かすことでありまして、いわゆる公共事業に象徴されるような治山・治水・砂防というような形にも増してですね行われるべきことであります。同様のことが今回も国民保護法制やですね、本来市民を守るための、そのためによい意味での民主主義のドラスティック(drastic:思い切った、徹底的な)な判断と執行ということを行うべき危機管理庁を設けるというような議論になってきてないということがとても私は残念なことだなというふうに思ってます。
今日の新聞の中で、アメリカの国防大学のシニアリサーチフェローを務めてるジェームス・プリスタップ氏という人が言っておりますが、やはり私は現時点において日本が日米安保というものをよい意味でですね保持をする、保持をするんでなくて、よい意味で日米安保というものをきちんと活用していくべきであるという考えに立っているわけです。彼は、「日本を核武装に駆り立てる唯一の事態は、日本が日米安保体制の信頼を失った場合である」というふうに言っておりますし、同様に「米国が韓国を守ることに失敗すれば日本の信頼を失い、その時日本が『我々の安全保障に必要な要件を見直さねば』という形に歩み出してはしまわないか」と言っておりまして、この見解は大変に面白いと思っております。
もう一つは、韓国の元副首相でありましたクォン・オギ氏という方が発言してるのも大変にこれは意味深く、「東アジアで有事となった時に日本にも何らかの役割があってしかるべきだが、万一の時に日本は果たして韓国を助けてくれるのか。逆に万一の時、韓国を侵攻するのか。あるいは専守防衛は守られるのか」と。「周辺諸国間の不安を払しょくできないでいるのは、日本という国の透明性のなさではなかろうか」と言っております。日本人、私たちは長野県民というのは外国籍の方も含めてだと言っておりますが、「日本人を守ることばかりが前面に出て、周辺諸国への視線が見えてこない」と。過去に多くの韓国人が徴用されたわけでありまして、こうした観点が大事だなと思いました。それともう一つ彼が言っておりますのは、「北朝鮮がミサイル実験をすると、保守も革新もなく大騒ぎになってしまう」と。「急激に世論が一つの方向に流れる姿は、逆に周辺を不安にさせるのではないか」ということで、逆にこうした不安というのは、一つの方向になってしまった昨今の「9.11」以降のアメリカというものに世界の人たちが何か少し逆の恐怖を感じるというのと似ているとこであろうなとは思います。
いずれにしても、これらに関しては今までも従前から述べてきたことではありますが、概略そうしたとこです。
はい、どうぞ。
粟野仁雄氏
神戸市の粟野と申します。無所属の物書きです。長野のことはあんまり知らないんですけど、
長野県知事 田中康夫
下のお名前もお願い申し上げます。
粟野仁雄氏
粟野仁雄と申します。知事と同い年です。
昨年の10月号の『中央公論』に栄村の地方の反乱っていうのでちょっとルポを書いたものです。今回ちょっとそれと関係ないんですけど、長野は長く南と北の方の地域のいがみ合いみたいのがあったと聞いております。それで、最近知事が塩尻の方に何か知事分室みたいなのを作られるとか、何か朝日村にちょっと行かれて、そちらで県庁を移転するっていうことじゃないんでしょうけど、そういう話がちょっとちらっと出たりとか伺っております。別にずっと長野市にいる必要もないと思うんですけど、そういうことについて、今どんなふうなお考えかということをちょっとお伺いしたいと思います。
長野県知事 田中康夫
長野県は南北に広いですから、先日もずっと天竜村から南信濃村、上村、大鹿村というふうに回ってまいりましたが、やはりそうした現場をじっくり回ってこそ気付くことがあるわけでして、そうした拠点として中南信地区への拠点にしたいということがありますし、またこの場所では多く市町村長のみならず県職員ともですね、語る場にしたいと思っております。やはり県のこの本庁舎内で語るということは、ある意味では現地機関に勤めていたり、あるいは職員になって間もないものにとっては、それが一つの精神的なある種圧迫にもなるわけでして、大変に美しい森林の中にあります林業総合センターの建物でですね、そうした職員とも私が面接をしたり議論をしたりするということは、よりその職員が普段感じてることを私がお聞きすることができるんではないかと。そうした場として活用できることを大変に期待しています。
前から申し上げたように、この間、朝日村の上條村長がお越しになられたように、やはりアメリカ、とりわけアメリカはそうですが、ヨーロッパもですね、州都であったり県都というのは、一番州や県の大きい町ではなくてむしろ小さな町にあるんですね。ラウンドテーブルの際にも申し上げましたけれども、例えば上伊那であっても地方事務所が高遠にあったり、建設事務所は宮田村にあったりですね、保健所は中川村にあったりすると。今はまさにウインドウズ型でなくリナックス型の分散型ですから、そうしたネットワークが電子メディアに、電子・電磁においてもですね、あるいは人の、職員それぞれがネットワークを設けていて、事務所は分散していても、ある一定の一つのやはり危機管理に関してですねネットワークが組めるというような形が望ましいと思ってます。
長野県が、これはもう財政的な余裕が(あり)、国から税源移譲が多くされて、この建物も対応年数もとおに過ぎていたりすればですね、それは全国で唯一小さな町村、朝日村に象徴されるような村にですね、木造で二階建てで地下一階建てくらいで、木造の300人くらいのスタッフの執務をするのが県庁であって、そのスタッフも同時に現場にも出掛けると。こうした形が本来のより小さな政府におきながら、よりきめ細やかなサービスを行う自治体で、それがたぶんアメリカやヨーロッパでは行われてるのではないかと私は思いますが。本当はそれは大変見果てぬ夢であります。
粟野仁雄氏
どうもありがとうございました。
長野県知事 田中康夫
そのほかのご質問を、はい、一番後ろの方。
長野朝日放送 草田敏彦氏
草田敏彦と申します。長野朝日放送です。
今日、熊本の川辺川ダムのですね、控訴審判決が福岡高裁で先ほど言い渡されたそうで、一審は原告の訴えが退けられたんですが、先ほど逆転勝訴と。住民側、農家側ですね、逆転勝訴の判決が出たそうです。手元に判決文などもありませんし、逆転勝訴という一報しか今私知り得ないんですけれども、知事の見解、感想でも結構なんですが聞かせていただければと思います。
長野県知事 田中康夫
とても画期的な判決であるというふうには思います。
実はその原告の弁護団の方からですね、勝訴が出た場合に法廷から出てこられた方が勝訴と掲げる字を書いてほしいと言われまして、大変私は字が上手ではないのですが、「勝訴」と。「『脱ダム』宣言」と。その「『脱ダム』宣言」の原点のヤッシーのマークも付けてほしいと言われて付けたんでございますが。それは余談ですが。
この判決はですね、もうご存じのように、一審の際にも農林水産省側が用意していた同意書というものが、現実には亡くなっている方であったり、あるいは自分はその同意を、署名をした身に覚えがないという方が続出をしてですね、その数の疑わしさが争点になったわけですが、今回、国の側がその数を大幅に減らして、他方でその原告の側がですね、実際にいわゆる筆跡鑑定やですね、実際に私はこの署名をしていないという農家の方々のですね、逆のそういう証言を取られた中で裁判に臨まれ、ある意味では裁判所も、書面での審査ではなくまさに現場主義と申しますか、そうした訴えが事実であるかどうかということを非常に具体的に審理なさってきたというふうに聞いております。そうした中において、ある意味では、地域の住民の意思というものの、必ずしも反映ではない中で、大変に匿名性の官僚の起案によって事業というものが始まって、その事業を実現するため、あるいは存続させるために後からその理由付けというものが設けられてきたと。多目的ダムというような形もそうだと思いますし、とりわけ今回の川辺川のダムの今回の裁判の勝訴というものは、いったん起案を匿名性のもとで誰も責任を問われない形で官僚が、まさに政官、官僚が起案をし、政官業の利権分配の中で巨大な金額へと膨れ上がっていくものが、地域の住民の理解を得られない時に、地域の住民があたかも理解したかのごとくですね、そうした今回の裁判で明白になったように、ある意味では公文書をも、何といいますか、創作できるというような形であったと。それが司法の場においてですね、匿名性の起案の政官業の利権分配のトライアングルの中で編み出された、そうした地元農民の同意書というものが、結果としてかぎ括弧でありますが、「虚構で」であったということが証されたという、大変に素晴らしい判決じゃないでしょうか。
これはやはり今まで行われてる様々な公害訴訟等も、今までは原告の側に立証責任があると言われたのに対して、それは企業側であったり行政側の訴えられた側に反ばく責任があるということが、このところ下級審のみならず上級審でもいくつも出てきてますけども、今回の場合には、逆に国の側がその数字を下方修正をした、その下方修正した数字が3分の2は辛うじてクリアしているという形だったわけですが、おそらく今回の裁判は、国側の下方修正をしたその数字も虚偽の署名であったりによって形づくられたもので、実質的には3分の2以下の署名しかなかったということを認めたわけでして、その意味でいうと、ひとたび、先日も諫早湾に出掛けましたけれども、ひとたび行政の側が匿名性のもとに始めたことをUターンをすることが勇気でなく、市民から疑問を抱かれようとも直進し続けることこそが勇気だと勘違いをしてる行政にですね、やはりUターンをする勇気と、Uターンをすることこそがそれが敗北ではなくて行政にとっても市民から賞賛される勇気なのだということを語りかける裁判の判決ではなかろうかと思います。
全体の文書をまだ読んでいないので、わかりうる範囲で申し上げますとそうしたことです。
その他のご質問。はい、どうぞ。
日本障害者創生会 須永恒氏
日本障害者創生会、須永恒と申します。
先ほどの塩尻分室に関連してちょっとお伺いいたしますが、実は私も日本障害者創生会の他に県下最大の身障団体、長野県身体障害者福祉協会に所属しております。私どもの市川理事長は、知事が再選された9月以降、知事に面談を求めて再三申し入れを行ってきましたが、忙しいということでいまだ会ってもらえない。2月になって社会部長と会いなさい。で、社会部長とお会いしたら、社会部長の奥さまも身障者で、「ああ、これは理解していただける」と、こういう段階になったら、社会部長はまた配置転換されてしまった。要するに、長野において長野県のやはり知事が一番福祉を目的としている障害者団体の理事長がお会いしたいと言っても忙しくて会えないという知事が、果たして塩尻に分室を設けて、民百姓と直接お会いして、知事の存在感を誇示なさるのは結構だけど、先ほどの、ちょっと戻りますが、お会いできない、理事長が会っていただけないということはどういうことで会わないのか。私はだから塩尻分室なるものができても、とても有効に機能するとは思っておりません。私の意見というふうに知事はお片付けになるでしょうが、そうではないと私は思います。
それから先ほどの教育委員の前島さんのことで一言お伺いしたいんですが、コモンズの再生というレポートを2月の13日、この場で知事は大変感動したと申されておりました。その場において、そのレポートの中に確か教育という分野においては、「盆栽型から栽培型」へと、たったこれだけで片付けております。そのどこに知事が教育の原点を見いだして感動したのか、それは簡単にご説明ください。
それから、塩尻分室と今申し上げたコモンズの再生との関連は、いわゆるどういうことになるでしょうか。長野モデルとの関連になるわけですね。その点を明確にお答えいただきたいと思います。
長野県知事 田中康夫
塩尻分室に関しては、私は大変にその効果を発揮するというふうに私が判断してるわけです。現に信濃毎日新聞の確か世論調査の際には、そうした塩尻分室を設けるということに関しても8割を超える方々が賛同なさってると。それは一つの世論調査の数字にすぎないわけですが、まさにそのことは、今後5月の末から塩尻においての執務を開始することによって、より県民の方がご判断なさっていくべきことであります。
コモンズの再生ということに関しては、これは宇沢弘文氏のもとで中長期のビジョンを策定する専門部会が行われているわけであります。これらにご出席の方々は、いずれも教育に関しても大変に深い実体験に基づいた哲学をお持ちの方々ですし、それらの方々のもとで議論されるコモンズの再生のより具体的な内容というものは、教育に関してもより深いものになろうと期待をしているところであります。
面談をご希望になられているということでございますが、これは私どもの当時の政策秘書室の広報広聴の人間が幾たびか須永さんとはご要望があられて、かなりの長時間お目に掛かり、そうした中において社会部長とお目に掛かっていただくという判断をしていることであります。
その他のご質問を受けます。
今日、サンケイスポーツの社会面に大変でっかい記事が載っておりまして、びっくりしたのが、奈良県川上村を流れてる紀の川上流に完成した大滝ダムというダムでございまして、これがですね、管理してるのが国土交通省近畿地方整備局なんだそうでございます。平成8年に着工した多目的ダムでございます、もちろん。今年3月初めに総事業費3千200億円で完成いたしましたが、まあダムの規模としては中規模って、これは共同通信が書いたんでしょうか。総貯水量は8千400万立方メートルなんだそうでございます。3月中旬から試験的に貯水を開始したんでございますが、ダム近くの集落で4月下旬から民家の地盤や道路などで地割れが見つかり、こうした中で急きょ貯水を国土交通省近畿地方整備局が中断をしたことが15日判明をしたということなんだそうでございます。3千200億円掛けたんですが、2カ月に満たない中で貯水は中断されたんだそうです。まあ、いいや。
じゃあ以上で終わりにしますかね。ですね。はい、どうもありがとうございました。
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