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最終更新日:2006年07月07日
長野朝日放送株式会社の回答書に対して
再度回答を求めました

 平成18年(2006年)6月5日(月)に長野朝日放送が放映した「ABNステーション」の特集報道について、事実誤認に基づき制作された誠に遺憾な報道であることから、長野県は長野朝日放送株式会社に対し 6月9日付けで公開質問状を出し、回答を求めました。
 6月19日(月)、長野朝日放送から公開質問状に対する回答書をいただきましたが、その回答は質問に対して、何らお答えいただいていないことから、6月27日(火)付けで再度回答を求めました。
 それに対して、7月7日(金)長野朝日放送から再度回答書が送付されました。

◆今回の質問状の主旨(6月27日付け)◆

  御社が放映の「田中県政検証『脱ダム』後の浅川」に関し、公開質問状を平成18年6月9日付で送付し、6月13日までの回答をお願い致しました。この書状は、回答期限後の6月19日に当方へ到達した書面に対するものです 。
 頂戴した回答は、質問に対し、何らお答え頂けていない内容と言わざるを得ません。以下、具体的に疑問点を述べます。何れも文書にて明確にお答え下さい。

 
◆今回の質問状の内容(6月27日付け)

 「「内水」氾濫の映像に重ねて、『浅川にはダムが必要』とのコメントが流され……多くの視聴者は、ダムを造れば「内水」被害は防げるとの誤った認識を抱く結果」が生じた点に関し、ダム賛成派とダム反対派の二人の住民を取材報道した事を以て、「充分に公正であり視聴者に誤解を与えるような内容ではありません」と述べていますが、これは論理のすり替えに他なりません。
 浅川下流域の水害はダムでは防ぎ得ない、と国土交通省も認める客観的事実を無視し、恰もダムを造れば浅川下流域の浸水被害は防げるかの如き、事実と正反対の誤った認識を視聴者に抱かせる報道を、如何なる根拠に基づき、貴社は行ったのか。この点に関し、明確にお答え下さい。

 同じく、「住民の発言に罪があるのでしょうか」、「それを無視しなければならないのでしょうか」との文面も、その回答は居直りに近く、極めて理解に苦しむものです。小林光朗記者は出納長の青山篤司に対し、昭和58年9月の浅川下流域の水害が「内水」を原因とする事実を承知していた、と言明しています。にも拘らず、その浅川下流域に於ける浸水の映像部分に貴社は、「やっぱりダムが必要」なる住民のコメントを重ね合わせ、放映しています。この営為こそは、貴社が言うところの「自主的判断と責任ある編集権」の観点から、看過し得ぬ問題を内包しています。この点に関しても、明確にお答え下さい。

 「浅川の治水対策においては、「外水」と「内水」の理解が重要であるにも拘わらず、……説明が一切なかったのはなぜか」との質問に対し、「「田中県政検証」のテーマは浅川の氾濫が「内水」なのか「外水」なのかを詳細に検証することではありません」、「「内水」か「外水」かについては、言及する必要はありません」と返答されていますが、この見解も又、論理とも呼び得ぬ「論理」の掏り替えに他なりません。
 斯くの如き貴社の認識は、6月6日開催の知事会見で小林光朗記者が出納長の青山篤司に対し、「そうしましたら(青山が貴社から受けた)インタビューが使う秒数が少ないんじゃないかというお話なんでしょうか」と、単なる間尺の問題として捉えたのと相通ずる姿勢であります。
 「内水」「外水」なる単語を用いて報じたか否か、を問うているのではありません。言わずもがなの解説を加えれば、浅川の水害には、上流域からの「流量」に起因する水害と、千曲川の「流量」に起因する下流域での水害の二つの要素が存在します。この二つの要素の存在を冷静に住民が認識する事こそは、的確に・迅速に「浅川治水問題」を解決する上での大前提条件です。況んや、「新河川法」の精神は、住民参加の治水であります。流域住民を視聴者とする貴社には、客観的事実を正しく伝える報道機関としての社会的責務が課せられています。この点に関し、明確にお答え下さい。

 「放送局は県が望むことを望む通りに放送する機関ではありません。自主的判断と責任ある編集権を持って日々報道しています」との記述に関しても、詭弁に過ぎません。浅川下流域の内水被害はダムを造っても防ぎ得ない。これが客観的事実です。縦しんば、下流域の「長沼の住民の代表的な考え方」は未だ「ダムの早期建設」だ、と取材の過程に於いて貴社が痛感したなら猶の事、その「考え方」こそが「誤解」であり、内水被害の解消はダム以外の方策で初めて実現可能であるとの正しい「考え方」を「責任ある編集権を持って日々報道」する気概こそが、許認可事業の放送局に求められているのではありますまいか。この点に関しても、明確にお答え下さい。

 「小林光朗記者の事実誤認や認識に関して、どのような見解をお持ちか」の質問に対して、「回答書」に於いては一切言及が見られません。この点に関し、その理由も含めて、明確にお答え下さい。

 
◆長野朝日放送からの質問に対する回答 (6月27日付け)◆

  最後に、「知事の言う『捏造』の意味と発言がどのような事実に基づくものか根拠を示して下さい」との貴社の記述部分です。
 「脱ダム後の浅川」と銘打っての報道番組に於いて、上述の客観的事実を正しく伝えず、「ダムを造れば浅川下流域の浸水被害は防げる」という誤った認識を視聴者に抱かせ、あまつさえ社長名での「回答書」に於いて、「「事実誤認」なるものは一切ありません」と大見得を切る一連の営為を「捏造」と呼び得ぬなら、如何なる形容が相応しいか、後学の為にも明確にお答え下さい。

 
 ⇒今回の質問状(6月27日付け)はこちら(PDF形式:153KB/2ページ)
 
 
 ⇒長野朝日放送からの回答書(6月19日到達)はこちら(PDF形式:126KB/4ページ)
 
 
 ⇒長野朝日放送からの回答書(7月7日到達)はこちら(PDF形式:114KB/2ページ)
 
 

6月9日付け公開質問状の内容

◆質問状の主旨◆

 平成18年6月5日(月)午後6時24分から午後6時32分までの間、貴社が放映した「ABNステーション」の特集「田中県政検証 『脱ダム』後の浅川」は、貴社の事実誤認に基づき制作された誠に遺憾な報道であると、深い憂慮を表明せざるを得ません。
 今回の特集報道の冒頭に、浅川下流域における昭和58年9月28日の床上浸水の状況が映し出されました。この浸水は、いわゆる「外水」被害ではありません。遅々として河川改修が進まない千曲川の水位が上昇し、これに伴い千曲川から浅川への逆流防止の結果として発生する「内水」が原因であります。そして、この浅川下流域の「内水」被害は浅川ダム建設では防ぎ得ないことは、国土交通省も以前から公に認めているところであります。
 しかしながら、貴社の今回の特集報道では、当時の「内水」氾濫の映像に重ねて、『浅川にはダムが必要』とのコメントが流されました。この報道により、多くの視聴者は、ダムを造れば「内水」被害は防げるとの誤った認識を抱く結果となっています。
 かつて湾岸戦争当時、映像の取捨選択と巧妙な編集で戦争を美化した、アメリカ合衆国の報道姿勢が大きく問題視されたことは、貴社も十二分にご承知のはずです。今回の特集報道に関する以下の項目について、貴社の見解・認識を明らかにすることを強く求めます。

 
◆質問状の内容◆

 昭和58年9月28日の降雨における浅川の流量は、基本高水流量450トン毎秒のわずか1/3にあたる160トン毎秒であったとの極めて客観的な計算結果が出ている。拠って、映像で流された浸水は「内水」被害であり、例えダムがあったとしても防ぎ得ないことは明らかである。にも拘わらず、この「内水」氾濫の映像に『浅川にはダムが必要』との一住民の主観的な個人的コメントを重ねることにより、視聴者に誤った認識を植え付けたのはなぜか。

 浅川の治水対策においては、「外水」と「内水」の理解が不可欠にも拘わらず、番組において、そもそも「外水」・「内水」という言葉を使った説明が一切なかったのはなぜか。

 特集報道のまとめで「『脱ダム』宣言から5年あまりたっても浅川の治水対策はまだ途中である」とアナウンサーがコメントしている。一方、遊水池や放水路等を組み合わせたダムに拠らない浅川の河川整備計画により、将来的に1/100確率の治水対策を達成しようとしていることを正確に報じていない。加えて、整備計画の策定と平行して、長野県は天井川の解消、河床の掘削などを積極的に進め、中流部で100%、下流部で98%の河川改修が既に完了していることも報じていない。これらの事実を特集報道で報じなかったのはなぜか。

 従来のダム計画では対応できなかった内水対策にまで、現在、国と協議中の浅川の河川整備計画では踏み込んでおり、今回の報道で映像が流された昭和58年9月と同規模の降雨でも、床上浸水を防ぐ水準を目指していることを、この報道で一切報じなかったのはなぜか。

 この特集報道の制作にあたり、浅川の治水対策の責任者である出納長の青山篤司に貴社小林光朗記者が30分以上の取材を行っているが、この際、昭和58年9月の浅川下流域における浸水の映像を用いることを、小林光朗記者は説明していない。昭和58年9月の水害を取り上げるのであれば、ダムではなく内水対策の重要性がテーマになるにもかかわらず、小林光朗記者の事実誤認から、昭和58年9月の水害をダム建設に結びつける報道となっている。我々はこの小林光朗記者の看過し得ない事実誤認に対し、平成18年6月6日に開催した知事会見において、私 田中康夫と青山篤司から説明申し上げたところである。にも拘わらず、小林光朗記者は青山篤司の説明に対し、「出納長のそうしましたらインタビューが使う秒数が少ないじゃないかというお話なんでしょうか」と返答している。この小林光朗記者の事実誤認や認識に関して、どのような見解をお持ちか。

 
◆照会先◆
 長野朝日放送株式会社 代表取締役社長  永澤 征治 様
 
◆回答期限◆
 平成18年(2006年)6月13日(火)
 ⇒公開質問状(6月9日発送)はこちら(PDF形式:80KB/2ページ)
 ⇒平成18年6月6日の知事会見はこちら
 ⇒至急回答を求める旨の文書(6月14日発送)はこちら(PDF形式:28KB/1ページ)
 ⇒長野朝日放送からの回答書(6月19日到達)はこちら(PDF形式:126KB/4ページ)
 
■参考:信州・長野県が進める治水対策に関するページはこちら
 ⇒「脱ダム」宣言
 ⇒ダムをつくらない治水対策の成果と取り組み!
 ⇒治水・利水対策推進本部

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